著者
田中 俊次 永島 俊夫 黒瀧 秀久 小林 道明 堀内 淳一 高井 寛 小川 昭一郎 小松 輝行
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究プロジェクトは、「環オホーツク海圏交流」を促進するため、環境科学的学術交流に的を絞り、持続的可能な経済発展交流の研究を追求することを目的とした。研究計画及び研究成果については研究分担者が所属する5大学の、1995年以来の各種の地域とのコンソーシアム開催事業によって、その課題を絞り込んで環境科学研究のテーマを設定してきた。そこで具体的な対象地域を設定し、社会科学的アプローチ、人文科学的アプローチ、自然科学的アプローチといった多種多様の切り口から分析を行ってきた。主な研究実績は下記の通りである。1.分析視点を深めるとともに、調査研究方法の検討会議を開催した。具体的には、これまでに先駆的に海圏交流研究を行なっている研究者に講演して頂き、研究手法・論理展開を参考としつつ、国際的見地からの環境問題への視座や、伝統的地域圏交流の再確立、広域圏交流へむけた新たな研究の視座を盛り込む研究手法を検討した。2.環オホーツク海圏における環境科学研究に関する基礎資料及び比較のための環日本海圏域における基礎資料の収集及び国内調査を実施した。3.「環オホーツク海圏広域交流」形成の課題を明らかにするため、北東アジア(モンゴル、ロシア・サハリン、中国東北部)を対象に、環オホーツク海圏における農畜産業の展開や環境汚染の状況、国際交流に向けての取り組みなどについて、各国の関係機関を中心に聞き取り調査を実施し、また関係機関からの提供資料や広域交流関連の文献などを用いながら、研究を深化させてきた。本研究の主な研究実績としては、「越境広域経営」や「環境ガバナンス論」を土台に、環オホーツク海圏の持続的な資源の利用と管理のための環境ガバナンスの構築を目指して、学術的なグランドデザイン「(仮称)OSERIEG(The Okhotsk Sea Rim for Environmental Governance)ビジョン」のモデルを検討し、「環オホーツク海圏」の位置づけを明らかにしたことがあげられる。