著者
小柳 憲司
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.625-628, 1998-12-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
7

鉄欠乏性貧血による異食症の影響が大きいと考えられた抜毛癖の症例を経験した.患児は毛髪を抜いては口に入れる行為を繰り返していたが, 経過中, 抜毛できないように髪を短くカットしたところ, 飼い犬の毛を切ってまで口に入れる行為が出現したため, 鉄欠乏性貧血の存在が疑われた.そして, 鉄剤の投与によって, 抜毛および(毛髪)異食症は急速に改善した.一般に, 抜毛癖は体毛を抜くという行為自体が快感であると考えられているが, 本症例の場合には, 抜く時の感覚そのものより, 抜いた体毛を口に入れる行為を快感に感じていたと思われる点で, 抜毛癖としてはやや特異なカテゴリーに入るといえるだろう.
著者
小柳 憲司
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.1019-1022, 2018-09-01

器質的・機能的にかかわらず,効果の高い治療法のない疾患は慢性に経過しやすく,心の影響を強く受けるため,心身症化しやすい。そのなかで思春期女子に多いものとして,起立性調節障害,過敏性腸症候群,慢性連日性頭痛,過換気症候群などがある。このような疾患の治療においては,原因を1つに限定するのではなく,身体面・心理面を含んだ心身医学的アプローチが重要となる。