著者
小森 美紗子 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.409-414, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
12

本研究では全国の温泉地を対象とし、量的変化及び観光振興上の課題を整理した上で、宿泊者数の変化パターンによる分類を行い、宿泊機能の変化や取組みの特徴が温泉地の盛衰とどのように関係しているか、を明らかにすることを目的としている。結論の概要は次の通り。1)全体の半数以上が宿泊者数が減少しており、全国上位の温泉地も集客に悩んでいる。個性づくり、新たな価値づけ、温泉地全体を考える視点、雰囲気作り等が温泉地の課題として常に指摘されている。2)93温泉地の宿泊者数の増減から、再生温泉地17か所、衰退温泉地18か所を抽出した。3)宿泊施設軒数、平均室数、最低単価平均を用いたクラスタ分析により、宿泊機能によって4タイプに分類した。その変遷を見ると、宿泊者数の増減に対応して宿泊機能を変化させる温泉地は少ない。3)再生温泉地である土湯温泉の特徴は、宿泊者数が減少から増加に転じた時期に、温泉地に関する提言を行う記事が多く、さらに温泉地内の連携や協力が必要であるという論調が全国的に先駆けて見られた点である。