著者
小林 良樹 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.887-894, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
10

近年、全国各地の「小京都」によって組織される「全国京都会議」を退会する自治体が見られるようになり、各自治体が独自のPRを模索していると考えられる。そこで本研究は、2016年10月時点で全国京都会議への入会または退会の経験がある、京都市を除いた62自治体を対象として、(1)旅行マーケットからの「小京都」へのまなざしの変化、(2)自治体の「小京都」を用いた地域ブランディングの姿勢・現状、(3)「小京都」を用いた地域ブランディングの変遷とその経緯、以上3点を明らかにすることで、今後の自治体の地域ブランディングに関する示唆を得ることを目的する。調査の結果、(1)外部からの「小京都」の意味合いが変化し、「小京都らしさ」の認識が拡大した。(2)以前「小京都らしさ」として認識されていた要素が、独自性を持つ別のブランドとして、他都市との差異化に採用されるようになった。(3)「小京都」は、新しいコンセプトを打ち出す1ステップや、様々な地域活動で別称として用いられる。ことが分かった。
著者
小森 美紗子 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.409-414, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
12

本研究では全国の温泉地を対象とし、量的変化及び観光振興上の課題を整理した上で、宿泊者数の変化パターンによる分類を行い、宿泊機能の変化や取組みの特徴が温泉地の盛衰とどのように関係しているか、を明らかにすることを目的としている。結論の概要は次の通り。1)全体の半数以上が宿泊者数が減少しており、全国上位の温泉地も集客に悩んでいる。個性づくり、新たな価値づけ、温泉地全体を考える視点、雰囲気作り等が温泉地の課題として常に指摘されている。2)93温泉地の宿泊者数の増減から、再生温泉地17か所、衰退温泉地18か所を抽出した。3)宿泊施設軒数、平均室数、最低単価平均を用いたクラスタ分析により、宿泊機能によって4タイプに分類した。その変遷を見ると、宿泊者数の増減に対応して宿泊機能を変化させる温泉地は少ない。3)再生温泉地である土湯温泉の特徴は、宿泊者数が減少から増加に転じた時期に、温泉地に関する提言を行う記事が多く、さらに温泉地内の連携や協力が必要であるという論調が全国的に先駆けて見られた点である。
著者
十代田 朗 野崎 哲矢
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.743-748, 1999-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
42
被引用文献数
1 1

本論文は, 立山黒部が電源開発と共に観光開発され, わが国を代表する自然探勝型の観光地と成るまでの歴史的展開過程と, その過程の中で起こった開発と自然保護との論争を明らかにしている。具体的には, 立山黒部アルペンルートの形成過程は, 電源開発準備期, 電源開発本格化・観光開発準備期, 行政主導開発期, 観光開発拡大期に分けられること, 大町ルートの完成により立山ルートの観光開発が優先されたが, アルペンルートが全線開通すると自然保護の動きが活発化し, 自然保護環境を巡る論点は, さらに, 開発が進むに連れ, 風景保護といった漠然としたものから, 動植物の保護, 工事後の緑化修景等個別の問題点に変化していったことなどである。
著者
足立 大育 十代田 朗 津々見 崇
出版者
一般社団法人 日本観光研究学会
雑誌
観光研究 (ISSN:13420208)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.145-151, 2021 (Released:2022-06-04)
参考文献数
11

本研究は 1980 年代にブームとなったまちづくり運動である「ミニ独立国運動」の持続性について調査したものであり、インターネット検索にて現在活動が確認できたミニ独立国 40 か国を対象にアンケート、ヒアリングを行った。本研究の調査より、持続にはミニ独立国運動の特徴である「パロディで楽しくやること」と「地域の一体感を作ること」が重要であり、持続性のためには住民のやる気と自治体の人材・資金を組み合わせる方法が考えられる。ミニ独立国の活動の持続に初期の施策の充実度は関連しないが、活動の派生には施策の充実度が重要であると考えられることが分かった。
著者
十代田 朗 渡辺 貴介 安島 博幸
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.331-336, 1985-10-25 (Released:2020-09-01)
参考文献数
31

This paper tries to explain the evaluating process of the seaside resorts in Shona region and Boso region since Meiji era. For this purpose, chronological information on the introduction of sea-bathing activities into Japan, the location of seaside villas, and the change of their land use was analyzed. This paper revealed the emerging process of Japan’s modern seaside resorts, the characteristics of their site location in a physical sense, and their subsequent development and transformation.
著者
永井 恵一 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第41回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.345, 2006 (Released:2007-01-05)

本研究では、東京都内のキリスト教会を対象に、教会の立地の変遷と移転の要因から、教会が都市空間においてどのような位置付けにあるのかを考察することを目的とする。その結果、(1)東京都内における教会立地の変遷は、築地居留地を起点に、徐々に西進、郊外化が進んでいる。(2)教会の移転理由として大きく5種類が抽出され、戦後には、区画整理等や財政・立地の問題等、内部的問題による移転が多く見られた。特に区画整理による移転は、戦後に教会の移転が減少する中で、大きな割合をしめるようになっている。(3)教会史から移転に関する議論を抽出することにより、初期においては、教会の財政や伝道の進展の問題の原因を、教会の立地の悪さに起因するものと見なし、会員の獲得のために移転を議論する傾向がみられた。また、震災後の議論では区画整理が多く見られるとともに、教会の周辺の「環境の変化」が議論されており、移転の要因のひとつとなっていることが明らかになった。
著者
白 りな 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.13-22, 2016-04-25 (Released:2016-04-25)
参考文献数
13

本研究は韓国ドンピランを対象とし、「地域住民が主体となる観光まちづくりは住民にも観光客にも魅力ある地域づくりにつながる」という過程の下、観光まちづくりの展開を整理し、住民意識、観光客の動態・評価、及びそれらの対応関係を明らかにし、住民参加による観光まちづくりの利点と課題を考察した。当地での観光まちづくりの展開を3期に区分して特徴を見たところ、発展期では住民参加による活動が見られ、こうした活動は観光公害の減少、経済的利益の還元など、観光の実利を伴いながら生活空間を向上させることから、利点として認められる。一方課題も表出しており、観光業従事者である一部住民のみが活動に主に参加しており、一部住民の意見が地域社会の総意として扱われる恐れがある。また、彼らの意識が経済面に集中してしまい、魅力的な生活空間の形成や観光地としての持続的な成長を防げる可能性があることが指摘された。
著者
阿久津 千晶 十代田 朗 津々見 崇
出版者
日本観光研究学会
雑誌
観光研究 (ISSN:13420208)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.81-92, 2016 (Released:2017-10-01)
参考文献数
10

本研究では、全国の都市・115 自治体の168 のまち歩きガイド組織を対象とし、アンケート調査およびその結果をもとにした数量化理論Ⅲ類とクラスタ分析を行うことで、若手ガイドが多く活動している組織の特徴とガイド個人の特性と意識を明らかにした。結論として、『若手(50 代以下のガイド)』の参加促進方策のひとつとしては、「『若手』も気軽に参加でき、知識の吸収欲を満たせるような、ガイドの前段階となる装置を用意すること」が提案できたとともに、ガイド活動は、より自地域への愛着を増幅させ、更なる地域活動への参画を促すものにもなりうることがガイド個人へのアンケート結果より推察された。
著者
直井 岳人 十代田 朗 飯島 祥二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.82-87, 2013-04-25 (Released:2013-04-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2

本研究は、歴史的町並みにおいて訪問客のまなざしの対象となりうる、住民の生活の様相を抽出すること目的とする。その為、訪問客を対象に質問票調査を実施し、彼らが、魅力的だと感じた事物、及びそれを通して地元の生活を感じた事物に関する自由記述回答の内容を分析した。また、住民を対象に別の質問票調査を行い、訪問客向けの調査で抽出した事物が、どの程度、現在高山の古い町並みに住む人々の暮らしぶりを表していると思うか、またどの程度、訪問客向けのものであると思うかに関する評定を求めた。その結果、訪問客が知覚する町並みの利用方法の重要性が示された。また、何を地元の様相と感じるかについて、訪問客と住民の間に類似点と相違点が見られた。本研究の結果は、地元の生活を考慮し、生かした観光地マネジメントに貢献するものだと考えられる。
著者
十代田 朗 渡辺 貴介 安島 博幸
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.436, pp.79-86, 1992-06-30 (Released:2017-12-25)
参考文献数
37
被引用文献数
3 7

This study tries to explain the development and types of villas in Japan (1860'-1940') for the period as the influence of the Western society. For this purpose, historical records on each resort area, owner of villas, locations and plans of villas are analyzed. This study revealed 1) the evolutional process of villas in the Kanto region, 2) the factors which caused such development, and 3) the grouping of villa types in Japan (1860'-1940') on the base of the locations and the purposes of possession.
著者
塚本 悠生 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.1123-1130, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
70

本研究は、江戸時代以前に命名された江戸墨引内の186の坂を対象とし、(1)江戸時代の切絵図等において名称が記載されている坂にはどのようなものがあり、また周辺の状況はいかなるものであったのか、(2)前述の坂の名称は、近代以降現代まで継承され続けているのか、を明らかにした上で、(3)現代まで名称が継承されている坂にはどのような空間的特徴や経緯があるのかを考察している。その結果、(1)幕末江戸では少なくとも186の坂が地図に表記されていること、(2)近代の旧東京15区内には174の坂で名称が継承されていたが、近代後期にはその数は少なくなっていったこと、(3)都区部では1972年以降、行政によって坂の名称や歴史を地域住民に伝える目的で標柱設置事業が行われ、それ以降、多くの名称が地図に表記されていること、(4)現在も坂の名称は消失しているが、明治から戦前、現代かけて消失する数は少なくなったこと、(5)武家を由来とした坂の名称は継承されやすく、一方で地名から名づけられた坂の名称は継承され難いと言えること、(6)坂の交通路としての格は、坂の名称の継承に対して強い影響を与えないこと、が分かった。
著者
高橋 正義 十代田 朗 羽生 冬佳
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.571-576, 2003-10-25
参考文献数
25
被引用文献数
1

本研究は、戦後まもなく制定された観光関係特別都市建設法(以下、「国観法」)及び国観法制定都市に着目し、まず、(1)国会での議論から戦後復興期の観光政策の中で国観法並びに国観法制定都市がどのように位置付けられていたのか。を把握した上で、制定都市では、(2)法制定前後の時期に観光都市建設を目指してどのような計画が描かれたのか。さらに、(3)その構想実現のためにどのような具体的整備計画が立てられ、その後どのように変遷していったのか。の3点を明らかにすることを目的としている。資料としては、国会議事録、計画案、関連新聞記事、市史、関連文献・研究等を用いている。<BR> その結果、以下のことを明らかにしている。まず(1)国会での議論から観光政策が縦割り行政を越えられず都市計画行政の枠組みにはめられていったこと、また発言内容を総合すると、各都市の個別法を支える基本法あるいは一般法を制定すべきだという議論が議員からなされたが、政府はそれに対して都市計画法の改正での対応を示唆するなど否定的な見方をしており、結果的に国庫からの助成措置もほとんどなされることはなかったことを確認している。次に(2)各都市の計画内容から、現状認識を6項目、コンセプト4タイプ、主要目標14項目に大凡まとめている。この内、都市内部の条件や計画コンセプトに共通性がある都市間では、主要目標にも共通性がみられる傾向がある。一方で、国が推進する広域的な都市の位置付けよりも、都市内部に目を向けた計画となっていることが読み取れる。さらに(3)具体的な方策を見ていくと、法案提出以前から観光都市建設のビジョンのある都市では方策の中に観光要素が盛り込まれ、ビジョンを持っていなかった都市では既存の制度に則った計画づくりが行われているという史実を確認している。例えば、別府では、構想実現のため計画を既存制度に当てはめることが行われ、その後、国策の重点が工業開発へと変わると方向転換を余儀なくされ、結局、多くの事業が実施されることなく現在に至っている。<BR> 以上総括すると、国側における制度的裏付けの欠落、都市側での計画技術(構想力、実現力)の不足から国観法は機能しなかったと考えられる。<BR>
著者
池田 佳和 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第38回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.146, 2003 (Released:2003-12-11)

本研究では、東京都目黒区の民俗信仰有形物を対象に、その立地、管理形態、状態、活動の実態を明らかにすることで、有形物が都市空間・コミュニティ形成に寄与し、存続していくための示唆を得ることを目的とする。その結果、1.都市化の影響により多くの有形物が寺社、墓地へ移転したこと、2.住民グループによる管理は状態の良い有形物を生むこと、3.管理・活動状態の良い有形物の管理者も高齢化、メンバーの減少といった問題を抱えていること、4.有形物は管理・活動面の実態から4タイプに分類され、「コミュニティ核タイプ」が都市空間、有形物双方にとって有益であること、が明らかになった。
著者
杉浦 佳奈 十代田 朗
出版者
一般社団法人 日本観光研究学会
雑誌
観光研究 (ISSN:13420208)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.59-68, 2022 (Released:2023-06-23)
参考文献数
21

近年、我が国ではアウトドアブームが再来し、キャンプ場とホテルの両方の利点を持つグランピングは特に開発が盛んである。一方で、本来のグランピングのあるべき姿からずれが生じている施設も見受けられる。本研究では、グランピングとはどのような特徴を持つのか知るために、英・米・日におけるグランピングの歴史や現在の施設の特徴を明らかにした。そして、豪華さ・地域振興・環境配慮のバランスのとれた施設を理想のグランピング施設と考え、計 578 施設を6つのタイプに分類した。各タイプにどのような特徴があるのかを明らかにしたところ、日本では〔豪華さ重視型〕と〔大型キャンプ場型〕といった贅沢志向の傾向が強いと言える。
著者
十代田 朗
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.105-108, 1996-03-29 (Released:2011-07-19)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

近代におけるわが国のリゾートの成立には, 西洋から輸入された「避暑」思想が深く関わっていた。そこで, 本研究は, 未だ解明されていない「避暑」がわが国で受容され普及し実践されていった過程を明らかにしている。主要な分析結果は, 以下の4点である。1) 外国人が気候風土の異なる地に「転地」してすごすという「避暑」を輸入し, 日本人がそれを模倣し, 浸透していった。2) 避暑地としては明治中期には, 既存温泉地が選ばれたが, その後, 外国人は高原を発見し避暑地とした。3) 明治後期から避暑地としての繁栄は海浜に移ったが, これは健康意識と深い関連があった。4) 避暑のための長期滞在を可能にする宿泊システムが存在していた。
著者
羽生 冬佳 渡辺 貴介 十代田 朗
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.223-228, 2001-10-25 (Released:2017-12-01)
参考文献数
36

This study aims to find out the functions and the spatial characteristics of "Daimyo"'s estates in Edo, and their relation to the development of Edo city and to the leisure life of the public. Based on "Ezu", map of old Edo city, and literatures in those days, with the assistance of findings from existing Edonology studies, the analysis was conducted. Finding are as follows, 1) More "Daimyo" estates had been located along trunk roads, waterways in suburban area after Meireki big fire, and after reaching the critical point of an city region, development progressed to an inner city. 2) "Daimyo" estates had taken, as a result, the roles of pioneers of land suppliers in several ways, and had also functions as temporary resort places for Edo citizens.
著者
永井 恵一 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.41.3, pp.935-940, 2006-10-25 (Released:2018-06-26)
参考文献数
10

本研究では、東京都内のキリスト教会を対象に、教会の立地の変遷と移転の要因から、教会が都市空間においてどのような位置付けにあるのかを考察することを目的とする。その結果、(1)東京都内における教会立地の変遷は、築地居留地を起点に、徐々に西進、郊外化が進んでいる。(2)教会の移転理由として大きく5種類が抽出され、戦後には、区画整理等や財政・立地の問題等、内部的問題による移転が多く見られた。特に区画整理による移転は、戦後に教会の移転が減少する中で、大きな割合をしめるようになっている。(3)教会史から移転に関する議論を抽出することにより、初期においては、教会の財政や伝道の進展の問題の原因を、教会の立地の悪さに起因するものと見なし、会員の獲得のために移転を議論する傾向がみられた。また、震災後の議論では区画整理が多く見られるとともに、教会の周辺の「環境の変化」が議論されており、移転の要因のひとつとなっていることが明らかになった。
著者
鶴田 一 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.723-730, 2017
被引用文献数
1

国内ではカジノ政策の成功例としてシンガポールが取り上げられる事が多いが、同国における合法化検討の歴史とそれに伴う観光政策、都市計画の歴史が同時に考察される事は少ない。同国では2005年にIRという概念の下、カジノが合法化されたが、本研究はその際に具体的な証拠を基に議論がなされたかを検証し、カジノ合法化過程を観光政策、都市計画の歴史と併せて分析することで、3つの要素が各時代にどのような関連性を持つのかを考察する。さらに2005年のリー・シェンロン首相の声明文との整合性を検証し、最終的にIRに関して、観光政策との関連を踏まえながら、都市計画上の知見を得ることを目的とする。分析の結果、シンガポールでは1965年の建国時から合法化を4回否決してきたが、第4回目以降の合法化検討過程において、シンガポールの都市計画、観光政策は類似した内容を打ち出し、実施していくという関連性が見られた。また声明文での、IRにより大型の都市開発を海外からの投資を得て自国の経済的リスクを負うことなく短期間で行えるとの言及は、観光政策と都市計画とを関連させて新しい観光資源を生み出していくという点で有益と考えられる。
著者
柿本 佳哉 津々見 崇 十代田 朗
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1320-1327, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
9
被引用文献数
1

全国各地の自治体レベルでは、独自の価値基準を設け選定を行う地域遺産の取組みが見られる。本研究では選定から年数の経過した全国16地域の地域遺産を対象に活用実態を明らかにした。さらに、継続的・多様な活用が行われている二戸市・にのへの宝、長岡市・地域の宝、沼津市・ぬまづの宝100選を対象に地域遺産の活用と関連がある行政計画で想定された活用方法を明らかにした。最後にこれらの地域が継続的・多様な活用に至った要因を考察した。本研究の結論は以下の通りである。①地域遺産の活用内容は幅広く、保全に取り組むものから教育への採用も見られる。選定後2年を境に新たな種類の活用はあまり見られない。②継続的・多様な活用をしている地域の行政計画には、観光産業への活用を図る旨の記載が見られ、地域外への宣伝を意図した活用が計画されていることが分かった。③継続的な活用には資源の価値を共有し、地域住民の参加を促した後、地域外へ情報発信して観光に活用するという段階移行が有効であることが分かった。地域住民の参加を促す際には、参加しやすい活動から取り組むことで、地域遺産に対する意識が徐々に育成され、継続的な活用に繋がるものと考えられる。
著者
十代田 朗 渡辺 貴介
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.19-24, 1995-10-25 (Released:2018-12-01)
参考文献数
20

THIS STUDY TRIES TO CLARIFY THE PLANNING CONCEPTS OF TYPICAL SEASIDE RESORTS IN THE MEIJI ERA ;'TORYUKAN' HOTEL BY JUN MATSUMOTO IN OISO AND 'KAIKIKAN' HOTEL BY NOBORU HAMANO IN INAGE. FOR THIS PURPOSE, BASED ON HISTORICAL DOCUMENTS, PICTURES AND PHOTOGRAPHS, INTERVIEW SURVEY, ETC., CHRONOLOGICAL INFORMATION ON THE INTRODUCTION OF SEA-BATHING INTO JAPAN, THE LOCATION OF THOSE HOTELS, AND THEIR CHANGE OF LAND USE WERE ANALYZED. THE COMPARATIVE STUDY WAS CONDUCTED AND THE MAIN FINDINGS ARE AS FOLLOWS; DR. MATSUMOTO AIMED AT MEDICAL EFFECTS PRODUCED BY THE WAVES DASHING AGAINST THE BODY, AND SO HIS HOTEL WAS LOCATED CLOSE BY THE SEASIDE TO APPROACH THERE EASILY. ON THE OTHER HAND, DR. HAMANO AIMED AT MEDICAL EFFECTS PRODUCED BY BREATHING OZONIC AIR, AND SO HIS HOTEL WAS LOCATED IN THE PINE WOODS.