- 著者
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小河 浩
- 出版者
- 独立行政法人 国立高等専門学校機構 広島商船高等専門学校
- 雑誌
- 広島商船高等専門学校紀要 (ISSN:18839908)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, pp.93-106, 2017 (Released:2020-08-29)
本研究では広島商船高等専門学校が実施している地(知)の拠点事業(以下,「COC事業」と言う) の一環として, 大崎町郷土資料館の中に保存してある民間伝承のうち, 神峰にある「さいのかわら」と 「はさみ岩」伝承の背景を探るものである。そのうえで, 地域振興のための行政的課題の考察を行った。 「さいのかわら」と「はさみ岩」は, 聖域である山頂部とその下の俗界を分ける結界の役目を担ってい た。「さいのかわら」は, 一時期神峰山頂部が, 死者の魂がとどまる聖域として認識されていたことを 示唆する。しかしながら,「さいのかわら」が神峰に成立した時期は比較的新しく, 近世中後期以降の比 較的短期間のことであろうと考えられる。歴史文化的資源は地域振興のための基盤であり, これらの保 存が今後の行政的課題の一つであろうと考えられる。