著者
升井 洋至 濱谷 風香 小泉 采音 黒瀬 真弓 渡邊 光
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】食物繊維は生活習慣病の予防に重要な役割を果たす成分として知られているが,現代の日本人の食物繊維摂取状況は,1日の摂取目標量に対して不足している。今回は,食品への水溶性食物繊維イソマルトデキストリン添加の調理品への影響について,テクスチャー測定,色差測定,官能評価による検討を実施した。<br><br>【方法】試料としては,レシピサイトを参考に作成した牛乳寒天,チーズケーキ,マフィン,マヨネーズを対象とした。食物繊維の栄養強調表示において「含む(3%)・高い(6%)」に相当するイソマルトデキストリン((株)林原)を添加した試料と未添加試料の三種類を作成した。テクスチャー測定はRHEONERⅡ(山電製,RE2-3305B,プランジャー直径20mm)により行った。色差測定は測色色差計(日本電色工業製,NE4000)により行った。<br><br>【結果及び考察】イソマルトデキストリン添加により色差測定では,チーズケーキ,マフィンで*a値が高くなり,焼き色がついた。物性測定では,無添加に対して,マフィンはかたくなったが,それ以外は軟らかくなった。官能評価では,牛乳寒天は添加によって,甘さ,飲み込みやすさが高い評価となり好まれる傾向を示した。マフィンでは,外観は高い評価となり,しっとり感,総合評価はやや評価が低くなった。牛乳寒天,チーズケーキ,マフィン,マヨネーズそれぞれで,イソマルトデキストリンを添加した試料であっても,無添加の試料に比して十分なものが作成できた。<br> 本実験により,イソマルトデキストリンの,幅広い食品への利用可能性が確認できた。
著者
小泉 采音 速水 彩瑛 升井 洋至
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成30年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.156, 2018 (Released:2018-08-30)

【目的】野菜を美味しく健康的に食べるには,栄養素の損失をできる限り抑え,不味成分を取り出すことが重要である。不味成分の中でもシュウ酸はえぐ味として知られ,美味しく食べるために除去することが望ましい。本研究では,調理操作における水溶性シュウ酸量の変化を求めるための基礎資料を得るために,野菜中の水溶性シュウ酸含量をキャピラリー電気泳動法によって測定した。【方法】試料にはホウレンソウ(生・茹で・蒸し),シュンギク(生・ゆで・蒸し),タケノコ(生・ゆで・市販水煮),キャベツ(生・ゆで・蒸し),サトイモ(生・市販冷凍)を用いた。分析試料は加熱・調理後,磨砕し水抽出した。ホウレンソウは葉と茎に,タケノコは先端部,中央部,元に分けて分析した。サトイモは表皮に近い部位を薄くそぎ落とし,振とう抽出した。市販冷凍サトイモも同様の操作を実施した。シュウ酸の分析には,キャピラリー電気泳動装置(BECKMAN COULTER PA800)を使用した。電気泳動液は陰イオン分析キット(BECKMAN COULTER)を用い,印加電圧-30kV,キャピラリー管の長さは60.2cm(内径0.075mm),吸光度232nmにて分析した。【結果】ホウレンソウのシュウ酸は葉に多く含まれ,茹で調理により半量近くまで減少した。蒸し調理では,若干の減少が認められた。シュンギクにおいても同様であった。タケノコは茹で操作により,シュウ酸含有量は大幅に減少した。タケノコの部位別の分析では,中央部が最も多かった。市販タケノコ水煮では,部位による差は見られなかった。キャベツは,シュウ酸が検出されなかった。サトイモ(生・ゆで)については,現在検討中である。