著者
大村 一郎 山崎 芳徳 小林 康記 三木谷 政夫 香川 和徳 鼻岡 浩 小泊 好幸 日野 理彦
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.127-131, 1977-02-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
10

健康成人, 看護学院の運動部員, 非運動部員, 高校女子バレー部員, 長距離マラソン選手の血清CPK値を測定した.この結果1)血清CPK正常値は男7.6±6.0u, 女子7.4±3.7uである.2)以下いずれも安静時のCPK値であるが, 看護学院の3年目運動部員では, 11.6±4.2uであり, 高校女子バレー部員では22.0±10.2uであつた. 実業団所属の長距離マラソン選手では, 39.5±20.7uであり, 運動経験が豊富なもの程安静時血清CPK値も高値であつた.3)次に運動前後のCPK値を見ると, 高校女子バレー部員で2時間の激しい練習の直前直後でのCPKの変動は, 直前19.1±9.2u直後は, 25.0±9.8uであつた. マラソン選手で1時間の練習前後でのCPK値はほとんど変動が見られなかつた. 4)以上の結果から指のバチ状化: Shadowgraphの分析による定量的観察バチ指の量的表現について, これまでPlethysmography, Unguisometer, Spherometerなどを用いての方法が行われてきたが, 1967年Reganによつて表現のParameterとしてはHyponychial angleが最良であることが示され, 著者らは1970年にBentleyとClineによつて発明されたShadow-graphを用いて各極疾患について, これを測定した. 疾患はCystic fibrosis 50人, 気管支喘息25人, 先天性心疾患25人で, チアノーゼ群5人, 非チアノーゼ群20人, 健康人25人で, 結果は正常のProfile angleは168.3±3.7°, Hyponychial angleは180.1±4.2゜で, Cystic fibrosisでは, これらの角度が179.0±6.2゜, 194.8±8.3゜と上昇, 気管支喘息は170.9±4.1゜, 185.4±6.4゜でわずかに上昇, 先天的心疾患では179.7±4.8゜, 195.5±2.5゜でCystic fibrosisによく似た上昇を示したが, チアノーゼのない先天性心疾患はコントロールに近い値を示した. Profile angleもHyponychial angleともにコントロール群, Cystic fibrosis群において年令と性に関連が認められた. 以上のようにProfile angleとHyponychial angleはバチ指に関係した疾患の鑑別に有用な方法であることが示された. なお著者は, WaringらがDigital phalangeal depth/Depth at the digital interphalngeal joint (DPD/IPD)が, バチ指を表現するのに正確な方法であるとしていることを述べている.疾病診断に際し, CPK値の高値をみた時には, スポーツ歴を聞くことも忘れてはならない.
著者
大島 美紀 粟屋 幸一 藤井 隆之 小泊 好幸 桑原 正雄
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.412-419, 2000
参考文献数
16
被引用文献数
2

Chlamydia pneumoniae感染の急性気管支炎や気管支喘息の発症, 増悪における関与を検討した.対象は1週間以上咳, 痰が持続した当科外来患者131例(急性気管支炎患者(AB)60例, 気管支喘息患者(BA)71例)とコントロールとしての健常人(NP)20例とした.血清を用いてChlamydia抗体価をELISA法にて測定し, 喀痰細菌検査を行った.抗体保有例はAB88.4%, BA73.3%, NP60%でABが有意に高率であった.IgA抗体価はABが, NPおよびBAと比較して有意に高値であった.急性感染例はAB20%, BA15.5%, NP10%で有意差は認めなかったC.pneumoniae急性感染症例のうち急性気管支炎例では58%, 気管支喘息例では36%がS.pneumoniaeとの混合感染であった.以上より, C.pneumoniaeは急性気管支炎の発症に関与している可能性が示唆された.また急性気管支炎と気管支喘息のC.pneumoniae急性感染症例のなかで高率に細菌(特にS.pneumoniae)との混合感染を認め, 症状の増悪に関与していると考えられた.