著者
小瀬木 一真 友竹 浩之
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.202, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】長野県は様々な山菜が食べられている地域である。長野県で採れる山菜には、ナズナ、フキノトウ、ノビル、タラ ノメ、コシアブラ、コゴミ、ゼンマイ、ワラビ、ウド、ギョウジャニンニク、オオバギボウシ、ウコギなどがある。その中 でもウコギは、長野県南部の飯田・下伊那地方を中心に消費されており、地域性のある山菜である。地元では「ウコギ」の ことを「オコギ」と呼び、昔から人々に親しまれている。ウコギの調理法としては、おひたしが最も一般的である。本研究 では、地域食材としてのウコギの価値を高め、普及を行うことを目的とし、ウコギの抗酸化活性及びポリフェノールの解析 を行った。また、ウコギの地域性を確認するために、アンケートを行った。【方法】ウコギに 70%メタノールを加え、75℃の湯浴中で 30 分間抽出を行った。得られた抽出液及びポリフェノール標品を薄層クロマトグラフィーに供し、n-ブタノール:酢酸:水(62.5:12.5:25,v/v/v)で展開した。発色剤には 0.04%DPPH エタノール溶液及びフォーリンチオカルトフェーノール試薬:水:エタノール(1:1:2,v/v/v)を用いた。抗酸化活性は DPPH 法、総ポリフェノール量はフォーリンチオカルト法で測定した。また、I 短期大学の学生 81 名に対し、(ウコギを知っ ているかどうか、ウコギを食べたことがあるかどうか)アンケート調査を行った。【結果】薄層クロマトグラフィーの結果から、ウコギにはケルセチンやケンフェロールは含まれていなかった。また、アン ケートの結果から、ウコギを知っている人の割合は、上伊那地方 25.0%、飯田・下伊那地方 70.6%であった。ウコギを食べ たことがある人の割合は、上伊那地方 25.0%、飯田・下伊那地方 55.9%であった