著者
友竹 浩之
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

1 タンパク質含量の測定(ケルダール法)タンパク質含量はクロスズメバチ幼虫15g/100g、キイロスズメバチ幼虫23g/100g、トビケラ幼虫16g/100g、イナゴ21g/100g、蚕サナギ27g/100g、カミキリ虫幼虫lOg/lOOgで、肉類、魚介類に匹敵する含有量であった。2 アミノ酸分析1985 (FAO/WHO/UNU) (2-5歳)パタンによると、スズメバチ幼虫、トビケラ幼虫、蚕サナギのアミノ酸スコアはほぼ100であり、良質な動物性タンパク質であることを確認できた。一方、イナゴとカミキリ虫幼虫は含硫アミノ酸の含量が少なくスコアも低かった。3 生理活性物質の探索(1)抗酸化性試験 蚕サナギ、クロスズメバチ幼虫、イナゴのリン酸緩衝液抽出物に強いラジカル捕捉活性がみられた。(2)抗菌性試験 イナコ、トビケラ幼虫、蚕サナギのメタノ叫抽出物に黄色ブドウ球菌に対する増殖阻害作用がみられた。(3)α-グルコシダーゼ阻害作用 蚕サナギの熱水抽出物に強いα-グルコシダーゼ阻害作用がみられた。品種別に活性を比較した結果、「青白」、「世紀二一」の抽出物に強い活性がみられた(50%阻害濃度150μg/ml)。4食用昆虫(蚕サナギ)の安定供給の検討群馬県の製糸工場と情報交換を行った。製糸後に残るサナギは鯉の飼料として出荷している。以上のことより、食用昆虫の中には栄養学的に優れているものや、強い生理活性成分を含むものがあり、新しい食品素材として利用できる可能性が示唆された。特に、蚕サナギは良質タンパク質、α-リノレン酸を多く含み、a-グルコシダーセ阻害作用も有することから、生活習慣病予防型の素材として期待がもてる。
著者
友竹 浩之 安富 和子 富口 由紀子 山下 紗也加 郡 俊之
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.207-213, 2020 (Released:2020-10-19)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

約2カ月間の健康増進教室参加者28名 (75±5歳 女性) の咀嚼能力, 握力, 食意識などを教室前後で比較し, 咀嚼, 栄養, 運動の指導の有効性について調べた。教室前後の調査項目は, 体重, 上腕周囲長, 下腿周囲長, 握力, 咀嚼能力 (チューインガム・グミゼリーを使用) , 食意識調査 (質問紙) , 栄養状態評価 (質問紙) とした。教室はテーマにそって, 講義と実習を行った (第2回「噛むことの大切さ」, 第3回「低栄養を予防する食べ方」, 第4回「運動の大切さと筋肉を鍛えるコツ」) 。教室実施期間中は, 咀嚼および栄養強化食品として高野豆腐を参加者全員に提供し, 摂取状況や噛むことの意識を毎日記録してもらった。参加者の教室前後の咀嚼能力を比較した結果, 有意に高くなっていた (チューインガム判定p=0.004, グミゼリー判定p=0.009) 。握力 (p=0.049) , 上腕周囲長 (p=0.012) も有意に増加していた。咀嚼の意識についての得点は, 教室前と比較して有意に高かった (p=0.016) 。
著者
友竹 浩之
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、蚕サナギの栄養価、生理活性成分および糖質分解酵素阻害活性について調べた。蚕サナギ粉末の熱水抽出物はアンギオテンシン変換酵素、糖質分解酵素、そしてラットの血糖上昇を阻害した。また、蚕サナギ粉末のリン酸緩衝液抽出物は、DPPHラジカル補足活性を示した。さらに、蚕サナギ粉末のメタノール抽出物は、黄色ブドウ球菌に対する抗菌作用を示した。これらの結果により、蚕サナギは糖質分解酵素阻害作用およびその他の生理活性を有する新規素材となることが示唆された。
著者
片桐 充昭 友竹 浩之 奥山 涼子
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.67-72, 2004-05-27

伊那地域(長野県上伊那郡,下伊那郡等)では食文化の一つとして,昆虫食の習慣がある.本研究では,食材としてのスズメバチ幼虫の栄養学的特性を明らかにすることを目的とした.今回用いた試料はクロスズメバチおよびキイロスズメバチの2種の幼虫および蛹であった.スズメバチ幼虫のタンパク質含量はクロスズメバチ15.1g/100g,およびキイロスズメバチ22.7g/100gで,肉類,魚介類に匹敵する含有量であった.タンパク質構成アミノ酸を分析するため,6N塩酸加水分解法でタンパク質を分解し,アミノ酸自動分析装置で,個々のアミノ酸量を求めた.アミノ酸スコアは1985(FAO/WHO/UNU) (2~5歳)パタンおよび1973(FAO/WHO)パタンによって求めた.1985(FAO/WHO/UNU) (2~5歳)パタンによると,クロスズメバチおよびキイロスズメバチの幼虫は共にアミノ酸スコアが100であり,良質な動物性タンパク質であることを確認できた.
著者
岩瀬 彩香 友竹 浩之 安富 和子 木下 智恵子 竹村 香 奥井 現理 武分 祥子
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 = Bulletin of Iida Women's Junior College (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
no.34, pp.89-95, 2017-05-27

第21回学内研究集談会抄録(抜粋)、会場:飯田女子短期大学視聴覚室、日時:平成29年2月9日(木)9:00~12:10
著者
友竹 浩之 安富 和子 富口 由紀子 山下 紗也加 郡 俊之
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.207-213, 2020
被引用文献数
2

<p>約2カ月間の健康増進教室参加者28名 (75±5歳 女性) の咀嚼能力, 握力, 食意識などを教室前後で比較し, 咀嚼, 栄養, 運動の指導の有効性について調べた。教室前後の調査項目は, 体重, 上腕周囲長, 下腿周囲長, 握力, 咀嚼能力 (チューインガム・グミゼリーを使用) , 食意識調査 (質問紙) , 栄養状態評価 (質問紙) とした。教室はテーマにそって, 講義と実習を行った (第2回「噛むことの大切さ」, 第3回「低栄養を予防する食べ方」, 第4回「運動の大切さと筋肉を鍛えるコツ」) 。教室実施期間中は, 咀嚼および栄養強化食品として高野豆腐を参加者全員に提供し, 摂取状況や噛むことの意識を毎日記録してもらった。参加者の教室前後の咀嚼能力を比較した結果, 有意に高くなっていた (チューインガム判定<i>p</i>=0.004, グミゼリー判定<i>p</i>=0.009) 。握力 (<i>p</i>=0.049) , 上腕周囲長 (<i>p</i>=0.012) も有意に増加していた。咀嚼の意識についての得点は, 教室前と比較して有意に高かった (<i>p</i>=0.016) 。</p>
著者
小林 理恵 原田 萌香 笠岡 宜代 友竹 浩之
出版者
東京家政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

災害時における食物アレルギー患者は栄養不足やアレルギー症状の面で致死的状態になる可能性が非常に高い。3年計画の初年度である2018年度は食物アレルギー患者の災害食支援に「パッククッキング法」を活用するために,熱源と飲用水が制限される状況を想定し,炊き出し料理の中でアレルゲン除去食をパッククッキングした際のアレルゲン混入の実際を明らかにすることに取り組んだ。東日本大震災において提供された頻度の高いアレルゲン食品(小麦、乳、卵)を使用し,パッククッキング法の利用が想定できる炊き出しメニューとして「シチュー」を抽出した。炊き出しシチューの中で,ご飯とアレルゲン除去シチューをパッククッキングした。この時,ポリ袋は1枚及び2枚重ねの2条件で比較した。調理品は凍結乾燥後,専用ミルにて粉末試料とした。検査対象アレルゲンはグリアジン,β-ラクトグロブリン,オボアルブミンとし,アレルゲンアイELISA IIのプロトコルに従いスクリーニング試験を行った。この時,8点での検量線の直線性はr=0.9以上を条件とした。アレルゲン除去食における各アレルゲンの検査結果はポリ袋の使用枚数に関わらず10μg / g以下であり,アレルゲン混入は認められなかった。すなわちパッククッキング法を用いることにより,炊き出しシチューの中で上記の各アレルゲンフリーのシチューとご飯を調製することは可能であり,この方法は自助・共助・公助のいずれの場面でも応用可能と考える。しかし,粘度の高い炊き出しシチューの中でパッククッキングを実施すると,炊き出しシチューがポリ袋に付着する。実験過程では注意を払いポリ袋内部からアレルゲン除去食試料を採取したが,災害時には同様の配慮は期待できず,調理後の開封時にポリ袋に付着したアレルゲンが混入するリスクが高い。これを回避するためには,ポリ袋を2重使用することが望ましいと考える。
著者
友竹 浩之
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成30年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.144, 2018 (Released:2018-08-30)

【目的】そばタンパク質は必須アミノ酸含量とバランスが優れた良質のタンパク質とされてきたが、消化性が低いことが欠点であると指摘されてきた。一方、そばに含まれる消化抵抗性タンパク質(レジスタントプロテイン)は、脂質代謝改善作用などの有用な機能性をもつことが明らかにされている。本研究では、そば加工品に含まれる消化抵抗性タンパク質(レジスタントプロテイン)を定量し、加工方法がタンパク質の消化性に及ぼす影響について調べることを目的とする。【方法】そばの実、そば粉またはそば製品を試料として用いた。各試料のタンパク質含量を、ケルダール法にて測定した後、2gをトリス緩衝液に懸濁し、耐熱性アミラーゼ、タンパク質分解酵素で数時間処理した。遠心分離後、沈殿を蒸留水で2回洗浄し、熱風乾燥した。ケルダール法にて沈殿物のタンパク質含量を測定し、未消化タンパク質の割合を算出した。【結果と考察】そばの実やそば粉を試験管内でタンパク質分解酵素と反応させた結果、全タンパク質のうち、約10~20%が未消化、不溶性のタンパク質(レジスタントプロテイン)として、残存していた。全体的には、タンパク質含量が高い製品ほどレジスタントプロテインの含量も高かった。また、そば加工品の中では、蒸し加熱したそば実よりも焙煎したそばの実の方が、消化性が低くなっていた。以上のことより、そばレジスタントプロテインは、加工処理方法によって影響を受ける可能性が示唆された。
著者
小瀬木 一真 友竹 浩之
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.202, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】長野県は様々な山菜が食べられている地域である。長野県で採れる山菜には、ナズナ、フキノトウ、ノビル、タラ ノメ、コシアブラ、コゴミ、ゼンマイ、ワラビ、ウド、ギョウジャニンニク、オオバギボウシ、ウコギなどがある。その中 でもウコギは、長野県南部の飯田・下伊那地方を中心に消費されており、地域性のある山菜である。地元では「ウコギ」の ことを「オコギ」と呼び、昔から人々に親しまれている。ウコギの調理法としては、おひたしが最も一般的である。本研究 では、地域食材としてのウコギの価値を高め、普及を行うことを目的とし、ウコギの抗酸化活性及びポリフェノールの解析 を行った。また、ウコギの地域性を確認するために、アンケートを行った。【方法】ウコギに 70%メタノールを加え、75℃の湯浴中で 30 分間抽出を行った。得られた抽出液及びポリフェノール標品を薄層クロマトグラフィーに供し、n-ブタノール:酢酸:水(62.5:12.5:25,v/v/v)で展開した。発色剤には 0.04%DPPH エタノール溶液及びフォーリンチオカルトフェーノール試薬:水:エタノール(1:1:2,v/v/v)を用いた。抗酸化活性は DPPH 法、総ポリフェノール量はフォーリンチオカルト法で測定した。また、I 短期大学の学生 81 名に対し、(ウコギを知っ ているかどうか、ウコギを食べたことがあるかどうか)アンケート調査を行った。【結果】薄層クロマトグラフィーの結果から、ウコギにはケルセチンやケンフェロールは含まれていなかった。また、アン ケートの結果から、ウコギを知っている人の割合は、上伊那地方 25.0%、飯田・下伊那地方 70.6%であった。ウコギを食べ たことがある人の割合は、上伊那地方 25.0%、飯田・下伊那地方 55.9%であった