著者
海老 成直 小牧 弘
出版者
日本緬羊研究会
雑誌
日本緬羊研究会誌 (ISSN:03891305)
巻号頁・発行日
vol.1969, no.6, pp.25-31, 1969 (Released:2011-04-22)
参考文献数
3

不良乾草の利用率を高めるために甘味料, 飼料用フレーバーを添加しめん羊と山羊の嗜好性を観察したところ次のような結果をえた。1. めん, 山羊とも甘味のついた乾草を好み, めん羊にその傾向が強かったが, 甘味料の添加量はしょ糖10%相当が適当であった。2. しょ糖10%相当の甘味料とフレーバーを混合添加した乾草に対しては, 甘味料のみ添加したときより嗜好性は高くなり, めん羊はコーンサイレーヂフレーバー, 山羊は乾草様フレーバー添加した乾草を嗜好した。乾草様フレーバーの使用に当っては, 乾草の状態によって強く影響されるため添加量, 乾草様フレーバーの種類について検討を要した。3. 味覚と臭覚については山羊よりめん羊が鋭敏に感応する傾向がみられた。4. 甘味料添加により飲水量はめん, 山羊とも一定の傾向はなく, めん羊は増加し山羊は減少する傾向があった。しかし, 甘味料, フレーバーの両者を添加することにより飲水は増大したが, 添加剤の直接的影響でなく, 飼料摂取量に伴って増加するものと考察された。
著者
鈴木 麻実 岡部 愛子 清水 玲子 松本 力 宮原 晃義 武石 勝 石川 信幸 堀 弘義 小牧 弘
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.113-120, 2003-10-10 (Released:2012-09-24)
参考文献数
26

本実験は,異なる繊維源がコレステロールの吸収阻害効果に及ぼす影響をウサギで調べた。異なる繊維源であるビートパルプ,大豆皮,アルファルファー,サフラワー粕の4試験飼料に各々0.5%コレステロールを添加した供試飼料を給与し,消化試験を実施するとともに血漿コレステロール値を測定した。血漿中総コレステロール・遊離コレステロール値の経時的変化では,ビートパルプが他の繊維源に比して最も低い値で推移し,コレステロールの吸収阻害効果が高いことを示唆した。大豆皮,アルファルファミールの血漿中総コレステロール値は同程度に推移した。大豆皮を給与したウサギの糞中コレステロール排泄率が他の飼料区に比して高いことから,大豆皮はコレステロール排泄に有効であると推察した。以上の結果,ビートパルプと大豆皮は肥満予防効果が同様に期待できるものと考えられた。
著者
桑原 康 長内 尚 相木 寛史 間野 伸宏 佐伯 真魚 小牧 弘
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.160-164, 2012-12-26

ブタは臓器形態や生理代謝が人と類似している面のある動物である。特に実験用小型ブタ(ミニブタ)は小型で飼育管理も取り扱いやすく,1960年頃から(BUSTAD, 1966),実験動物として医薬品の開発研究などに利用されてきた。我が国でも小型イノシシと肉用豚種との交雑や肉用豚種における小型個体の選抜育種など多様な手法により(田中,2001),これまでにNIBS系,クラウン系,ユカタン系,およびマイクロ系などのミニブタの系統が作出されている。NIBS系はピットマンムーア系ミニブタ,タイワン小耳種,およびゲッチンゲン系ミニブタをかけ合わせ,約10年かけて平均体重が20kg程度となるように作出された均整のとれた形態を有する系統である(斉藤,2004)。またクラウン系は,ゲッチンゲン系ミニブタとオーミニ系ミニブタのF1およびランドレース種と大ヨークシャー種のF1を交雑することにより作出された(金剛ら,2008)。ユカタン系はメキシコ原産で皮膚は濃茶で体毛は殆ど認められない平均体重40kgになる系統である。マイクロ系は,富士マイクラ株式会社によって複数の系統の交配の結果作られた小型ミニブタであり,平均体重は10kg程度である。ミニブタは現在も様々な研究機関で開発が進められており,日本大学生物資源科学部飼養学研究室においてもNIBS系とマイクロ系を掛け合わせた平均体重30kgの体色が白色のミニブタ(NU系)を作出している。しかし,各系統の母系関係については不明な点が多い。そこで本研究では,各ミニブタ系統の母系起源を探ることを目的として,当研究室が作出したNU系を含む我が国で入手可能な6系統のミニブタを対象にミトコンドリアDNA(以下mtDNA)非コード(D-loop)領域の塩基配列を決定し,分子系統解析を行った。