著者
海老 成直 小牧 弘
出版者
日本緬羊研究会
雑誌
日本緬羊研究会誌 (ISSN:03891305)
巻号頁・発行日
vol.1969, no.6, pp.25-31, 1969 (Released:2011-04-22)
参考文献数
3

不良乾草の利用率を高めるために甘味料, 飼料用フレーバーを添加しめん羊と山羊の嗜好性を観察したところ次のような結果をえた。1. めん, 山羊とも甘味のついた乾草を好み, めん羊にその傾向が強かったが, 甘味料の添加量はしょ糖10%相当が適当であった。2. しょ糖10%相当の甘味料とフレーバーを混合添加した乾草に対しては, 甘味料のみ添加したときより嗜好性は高くなり, めん羊はコーンサイレーヂフレーバー, 山羊は乾草様フレーバー添加した乾草を嗜好した。乾草様フレーバーの使用に当っては, 乾草の状態によって強く影響されるため添加量, 乾草様フレーバーの種類について検討を要した。3. 味覚と臭覚については山羊よりめん羊が鋭敏に感応する傾向がみられた。4. 甘味料添加により飲水量はめん, 山羊とも一定の傾向はなく, めん羊は増加し山羊は減少する傾向があった。しかし, 甘味料, フレーバーの両者を添加することにより飲水は増大したが, 添加剤の直接的影響でなく, 飼料摂取量に伴って増加するものと考察された。
著者
森田 二郎 大浦 良三 関根 純二郎 ハッサム エルディン モハメド カメル
出版者
Japanese Society of Sheep Science
雑誌
日本緬羊研究会誌 (ISSN:03891305)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.30, pp.22-24, 1993

めん羊および山羊の飲水量の違い, ならびに年間を通じての飲水の供給日量を推定する目的であん羊3頭および山羊3頭の年間を通じての飲水量の調査を行った。給与飼料の種類は異なるが, 乾物摂取量は, めん羊でほぼ700g/日程度, 山羊で, 900g/日程度であった。飲水量の平均日量はめん羊が山羊よりやや少ないが, 両種とも冬季に少なく, 夏季に多くなる変化を示し, 気温の変化のパターンと同じであった。乾物摂取量あたりの飲水量は, 両種ともほぼ同じであった。乾物摂取量あたりの飲水量の5日間の移動平均値による解析から, 日平均気温が15℃以下の時期では2.5~3.0g/乾物g, 15℃以上25℃以下の時期では4.0~6.0g/乾物g, 25℃以上の時期では7.0~8.0g/乾物g程度の飲水量が必要となると推察した。
著者
関根 純二郎 ハッサム エルディン モハメド カメル 森田 二郎 大浦 良三
出版者
Japanese Society of Sheep Science
雑誌
日本緬羊研究会誌 (ISSN:03891305)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.30, pp.17-21, 1993

乾草の種類がめん羊の飲水量に及ぼす影響を明らかにする目的で, 4頭のめん羊にイタリアンライグラス乾草 (IR), バーミューダグラス乾草 (BE), スーダングラス乾草 (SU) およびアルファルファ乾草 (AL) をラテン方格法により給与した。日平均飲水量は, BEおよびAL給与でIRおよびSU給与より多くなったが, 乾物摂取量あたりの飲水量は, 乾草の種類による違いはなく, 3.2~3.9g/乾物gの範囲にあった。しかし, 個体間の乾物摂取量あたりの飲水量には有意な違いが認められた。個体間の飲水量の変動の要因についての解析から環境温度以外の要因も関与していることが示唆された。
著者
苗川 博史
出版者
日本緬羊研究会
雑誌
日本緬羊研究会誌 (ISSN:03891305)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.45, pp.8-12, 2008-12-20 (Released:2011-04-22)
参考文献数
10

モンゴル国アルシャンツ・ブルト地区の夏営地における母子羊の音声構造について解析した。母羊においては, 発声タイプ/ηnaeee/の発声時間は/ηηηη/より0.7秒長く, /ηaee/より0.5秒長く, その差は有意であった (P<0.05) 。また発声タイプ/ηηηη/の基本周波数は, /ηnaeee/より120ヘルツ高く, /ηaee/は, /ηnaeee/より18ヘルツ高く, その差は有意であった (P<0.05) 。さらに, 発声タイプ/ηηηη/の音圧は, /ηnaeee/より6デシベル高く, /ηnaeee/は/ηaee/のそれよりも1デシベル高く, その差は有意であった (P<0.05) 。子羊においては, 発声タイプ/ηneeee/の発声時間は, /ηeee/より0.5秒長く, /ηηηη/より0.4秒長く, その差は有意であった (P<0.05) 。また発声タイプ/ηηηη/の基本周波数は, /ηeee/よりも170ヘルツ高く, その差は有意であった (P<0.05) 。子羊における発声時間の発声末型には, 発声タイプ間に有意差があった (χ2=10.8, P<0.05) 。母子羊は音声表記によって発声時間, 基本周波数, 音圧が異なり, 発声状況や行動により音声を使い分けていることが示唆された。
著者
宇佐川 智也 赤池 泰子
出版者
日本緬羊研究会
雑誌
日本緬羊研究会誌 (ISSN:03891305)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.39, pp.9-16, 2002-12-20 (Released:2011-04-22)
参考文献数
11

雑草の防除草にめん羊を利用する可能性を探るために, めん羊を繋牧した時の行動および食草量について調べ, めん羊の繋牧という方法の有用性について検討した。繋牧には, 比較的従順なタイプと幾分神経質なタイプの2頭の成雌めん羊 (平均体重 : 65.4kg) を供試し, ロープが絡まない程度の近い位置に繋いだ。繋牧時間は10 : 00から15 : 00までの日中5時間とし, 計6回繰り返して行った。供試しためん羊は繋牧試験の前日の夕方から畜舎に入れ, 畜舎内では水だけを給与した。繋牧は供試めん羊に犬用の首輪を装着し, 2mのロープで繋いで行った。供試めん羊の繋牧中の行動はビデオ録画し, その連続映像を用いて食草行動, 飲水行動, 休息行動, 探査行動について検討した。繋牧に先立って, 繋牧時と同じ時間帯に成雌めん羊3頭を用い, 紙オムツを装着しての放牧を2回繰り返して糞尿排泄量を予め測定しておいた。繋牧中の食草量は繋牧後のめん羊の体重増加量を求め, これと糞尿排泄量から算出した。食草行動に費やした総時間数では, 1号羊で3.35-4.57時間, 2号羊で3.03-4.55時間であった。2号羊では0.6-2.1分の範囲で1号羊より短い食草行動を頻繁に繰り返していた。休息行動は, 比較的従順なタイプの1号羊では4回目の観察日を除いて1-3回観察されたが, 幾分神経質なタイプの2号羊では2回目の観察日に2回観察されただけで, 探査行動についても1-5回目の観察日において1号羊では1時間あたり0.4-6.6回であったが, 2号羊では6.6-27.8回となり緊張して警戒している様子を示した。5時間の繋牧中の体重増加量は, 1号羊では3.0-4.8kgであったが, 2号羊では1.2-6.8kgと変動幅が大きく特に前半の観察日においてわずかであった。4回目の観察日では1号羊, 2号羊いずれも十分に食草しており, 予め測定しておいた糞尿排泄量から算出した推定食草量はそれぞれ5.5kgと7.5kgであった。幾分神経質なタイプの2号羊においても4回目の観察日以降, 繋牧に慣れて十分食草できたようであり, 6回目の観察日では周囲が少し騒がしかったが推定食草量は3.7kgであった。以上のように, 2頭を近くに繋牧することによってめん羊は繋牧という状況に次第に慣れること, 繋牧への順応性には個体差が見られること, 日中5時間の繋牧において4kg前後とかなりの食草量があることが示され, めん羊を繋牧することの有用性が十分に示された。
著者
福井 豊 合田 修三 片岡 史知 小野 斉
出版者
日本緬羊研究会
雑誌
日本緬羊研究会誌 (ISSN:03891305)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.28, pp.1-4, 1991

1985年から1989年にわたり, 本学とS牧場で飼養されていたブールーラ・ドーセット種雌羊, 延べ89頭の繁殖成績を調査し, その繁殖性を検討した。また, 1990年11-12月に, 本種雌羊9頭を用いて, 3回の連続性周期における排卵数を腹腔内視鏡で検査した。得られた成績は次のとおりであった。<BR>1) 4月を除き, 年間を通して発情が回帰しており, 交配, 分娩が可能であった。<BR>2) 延べ89頭の内, 単子分娩が57頭 (64.0%), 双子分娩が32頭 (36.0%) で, 3子以上の分娩例は見られなかった。平均産子数は1.36であった。<BR>3) 子羊の生時体重は, 単子分娩で平均4.4kg, 双子分娩で平均3.0kgであった。また, 生後3ケ月までの子羊の生存率は, 平均90.9%であった。<BR>4) 排卵数を検査した9頭の内, 3個排卵した雌羊が1頭観察された。この雌羊は, "F+" 因子を有している可能性が示された。この他, 3回の検査のいずれにおいても2個排卵した雌羊が3頭存在した。
著者
長島 彦衛 大竹 通男 勝田 金太郎
出版者
Japanese Society of Sheep Science
雑誌
日本緬羊研究会誌 (ISSN:03891305)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.19, pp.14-17, 1983

めん羊脱線血作製について, 従来から行われているビーズ玉法と, 今回考察したブラシ法について, 脱線血獲得量, Ht値, 血球抵抗性, 溶血度および無菌性について両法を比較検討した結果, 次のように要約される。<BR>1. 脱線血獲得量は, ビーズ玉法では平均52.1±15.0 (SD), ブラシ法では平均70.8±2.5 (SD) であり, ビーズ玉法に比べブラシ法が勝っていた。<BR>2. Ht値および血球抵抗性では, 両者に際立った差異は認められなかった。<BR>3. 溶血度は, ビーズ玉法で平均1.112±0265 (SD) に対し, ブラシ法では平均0.637±0.153 (SD) であり, ブラシ法のほうが優れていた。<BR>4. 無菌性においては, ビーズ, ブラシ法の両法に顕著な差異はみられなかった。<BR>以上の成績から, ブラシを使用しためん羊の脱線血製法は, ビーズ玉法に比較して有効な脱線血製法であることが認められた。