著者
小田 竜樹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.35-39, 2005-01-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
18

新規物質の探索,設計,物性解析に不可欠とされている第一原理分子動力学であるが,磁性物質への適用に一歩踏み込んだ研究手法,ノンコリニアー磁性の第一原理分子動力学を紹介する.許される磁気構造の範囲が,コリニアー構造からノンコリニアー構造へ拡大されたことで,磁性体への応用が進むであろう.本稿では,ノンコリニアー磁気構造の鉄クラスターと液体酸素のシミュレーンョン結果を通して,計算手法の特徴を述べる.
著者
小田 竜樹
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

スピン軌道相互作用などほとんど全ての相対論効果を含む電子に対する擬ポテンシャルの開発を推進し、これらを既存の第一原理分子動力学法へ組み込む開発研究を行い、さらに開発された計算コードを用いて、スピントロニクス等で重要となる磁気異方性の電界効果や半導体のラシュバ効果といった新しい研究分野において計算科学的理論的研究を推進した。その結果、開発した計算コードがこれらの分野において重要な研究手段を提供することを実証した。
著者
坂本 一之 小田 竜樹 木村 昭夫 木村 昭夫 R.I.G. Uhrberg M. Donath
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

半導体表面上に作製した低次元ナノ構造体での巨大スピン分裂など、特異なラシュバ効果の観測とその起源の解明を目的に実験と理論の両面より研究を遂行した。その結果、固体表面の対称性に起因した、表面垂直方向に100%偏極したラシュバスピンや、不可欠だと思われていた時間反転対称性がなくてもラシュバ効果が起こることなど、それまでの常識を覆すようなラシュバ効果を報告した。また、ラシュバスピンの向きが原子核近傍の電荷分布の非対称性により決定されることも示した。