- 著者
-
小田原 悦子
- 出版者
- 日本作業科学研究会
- 雑誌
- 作業科学研究 (ISSN:18824234)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.1, pp.45-54, 2019-12-25 (Released:2020-02-11)
- 参考文献数
- 27
回復期リハビリテーション患者がグループセッションの集合的作業をどのように経験するかを理解する ために,Ricoeur(リクール)の筋立て(ミメーシス)概念に基づいたナラティブ分析を使って探索した. 探 索を通して以下のことが明らかになった. まず,グループセッションの参加メンバーは,共通のゴール,目的,機能を共有する一方で,それぞれに個別のゴール,目的,機能があり,グループにそれぞれの過去の経験を持ち込むこと. そして,個々のメンバーは,セッション中,集合的作業に従事し,現在の共通の経験を共有するが,持ち込んだ過去の経験を通して,その時の経験を意味づけること,さらに,将来への希望を見い出すために,現在の経験から作った意味を利用することである. 将来へのアクションという希望が現れることは,治療的グループ作業の主な結果であると考えられる. グループセッションには,作業と人間存在の社会的性質を利用して,各個人が自分の将来へ向かって動くように手助けする可能性があることが示唆される.