著者
小笠原 康悦 石井 智徳
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

自己免疫疾患は、遺伝的要因、環境要因、時間要因によって引き起こされると考えられる。しかし、環境要因や時間要因を含む診断方法は確立されていない。NK細胞は、自然免疫系の細胞群として知られている。NK細胞は、腫瘍、感染防御の除去の観点から、細胞表面分子と受容体が検討されてきた。したがって、今まで、NK受容体およびNK細胞は自己免疫疾患に関与しているかどうかは不明であった。本研究では、NKレセプターおよびNK細胞が自己免疫疾患に関与するというオリジナルのアイデアに基づいて実験を行った。私たちの目的は、全身性エリテマトーデス(SLE)やI型糖尿病などの自己免疫疾患に対する診断指標のための新たなバイオマーカーを探索することであった。本研究では、自己免疫疾患モデルマウスにおいて、正常組織でほとんど発現しないNKG2Dリガンドが異常発現することを見出した。また、自己反応性T細胞がNKG2D分子を異常に発現していた。したがって、これらの結果は、NKG2Dリガンドは、I型糖尿病の新しいバイオマーカーとして利用可能であることを示唆している
著者
小笠原 康悦 佐々木 啓一 中山 勝文
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年、医療用生体材料の多くが開発され、広く用いられている。金属は加工が容易であり、金属は剛性、弾性、及び延性を有するため、金属は、歯科治療における生体材料の構成成分として用いられる。歯科において、金属はしばしば義歯、インプラントと歯冠修復物の一部として使用される。また、それは、血管ステントおよび医学分野にいて人工関節の材料としても利用される。しかし、金属は、口腔疾患、炎症及びアレルギー性皮膚炎を引き起こすために、その危険性は、以前から指摘されてきた。近年、医療や歯科技術の向上により、金属材料の使用頻度が高くなっており、また、ネックレス、イヤリングなどの装飾品をつける人が増加しているために、金属によって引き起こされるアレルギー性皮膚炎または炎症の患者が増加している。しかしながら、金属によって引き起こされる疾患の病因はよく理解されていない。本研究では、実験動物モデルを用いて、金属により引き起こされる遅延型過敏症や炎症に対する新しい診断法を開発することを目指した。また、我々は、金属アレルギーや炎症の開発のための分子機構を探った。金属アレルギーの診断のためのリンパ球刺激試験において、我々は、CTLA-4を阻害することにより、患者の末梢血を使用することによって感度が向上することを見出した。この方法では、金属アレルギーの診断のためのリンパ球刺激試験の新しい方法を開発することができると考えられた。金属アレルギーマウスモデルでは、ヒト病理に近い金属アレルギーの新たな動物モデルを開発することができた。