著者
中山 勝文
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究で我々はNK細胞がDCと接触した際にDCのMHCクラスIIタンパクを引き抜くことを見出した。この分子メカニズムは不明であるが、trogocytosis (trogo:ギリシャ語で かじる という意味に由来)と呼ばれる細胞膜移動に依存すると思われる。このMHCクラスII分子を羽織ったNK細胞はDCのようにT細胞を活性化する可能性が考えられたが、補助刺激分子を発現しないため、T細胞を活性化せずむしろ抑制することが判明した。これらの結果から、免疫応答はtrogocytosisによって発生した新たな細胞群によっても制御されている可能性が示唆された。
著者
小笠原 康悦 佐々木 啓一 中山 勝文
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年、医療用生体材料の多くが開発され、広く用いられている。金属は加工が容易であり、金属は剛性、弾性、及び延性を有するため、金属は、歯科治療における生体材料の構成成分として用いられる。歯科において、金属はしばしば義歯、インプラントと歯冠修復物の一部として使用される。また、それは、血管ステントおよび医学分野にいて人工関節の材料としても利用される。しかし、金属は、口腔疾患、炎症及びアレルギー性皮膚炎を引き起こすために、その危険性は、以前から指摘されてきた。近年、医療や歯科技術の向上により、金属材料の使用頻度が高くなっており、また、ネックレス、イヤリングなどの装飾品をつける人が増加しているために、金属によって引き起こされるアレルギー性皮膚炎または炎症の患者が増加している。しかしながら、金属によって引き起こされる疾患の病因はよく理解されていない。本研究では、実験動物モデルを用いて、金属により引き起こされる遅延型過敏症や炎症に対する新しい診断法を開発することを目指した。また、我々は、金属アレルギーや炎症の開発のための分子機構を探った。金属アレルギーの診断のためのリンパ球刺激試験において、我々は、CTLA-4を阻害することにより、患者の末梢血を使用することによって感度が向上することを見出した。この方法では、金属アレルギーの診断のためのリンパ球刺激試験の新しい方法を開発することができると考えられた。金属アレルギーマウスモデルでは、ヒト病理に近い金属アレルギーの新たな動物モデルを開発することができた。