著者
小川 正彦 林 克弘 冨森 聡子 小西 信幸 中山 治
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.282-287, 2002-04-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
9
被引用文献数
3

ストロファンチジン配糖体及びジキトキシゲニン配糖体について,モロヘイヤ種子,モロヘイヤ及びその加工品の実態を調査するとともに,モロヘイヤの生育過程,世代交代における変遷を調査し,結果を検討し以下の結果を得た.(1) モロヘイヤ種子20試料を測定した結果,全試料からストロファンチジン配糖体及びジキトキシゲニン配糖体が検出され,その濃度は5080~7520μg/g, 40~160μg/gであった.また,原産国によって結果に差はなかった.(2) モロヘイヤ生葉を生育地別に18試料入手し,これを測定したが,ストロファンチジン配糖体及びジキトキシゲニン配糖体は検出されなかった.(3) 市場に流通するモロヘイヤ加工品15試料を測定したが,ストロファンチジン配糖体及びジキトキシゲニン配糖体は検出されなかった.(4) 原産国が明確なモロヘイヤ種子を栽培し,生育過程でのストロファンチジン配糖体及びジキトキシゲニン配糖体の消長を測定したところ,モロヘイヤ生葉からは検出されなかった.種子の世代間の差もほとんどなく,種子に特有の成分であると推察された.ただ,加工し食用とする場合は,双葉及び淡緑色未成熟莢の混入には注意を要する.以上のことから種子(未成熟種子及び発芽種子を含む)を喫食しなければ,ストロファンチジン及びジキトキシゲニンについては,特に安全性に問題はないと判断された.
著者
礒崎 真英 小西 信幸 黒木 誠 野村 保明 田中 一久
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.354-363, 2004-07-15
被引用文献数
5 10

慣行的なかけ流し方式のロックウールシステム(慣行区)と、我々が開発した培養液をできる限り栽培系外への廃棄量を減らすロックウールシステム(改良区)を用いて、トマト'ハウス桃太郎'の9段穫り栽培を行った。改良区の栽培系外への廃液量は慣行区の9.8%で、大幅に廃液量が削減された。各成分の廃棄量も著しく削減され、削減率はNO3-N 93%、P 99%、K 98%、Ca 87%、Mg 89%、NH4-N 99%であった。改良区の茎長、茎重、葉重および収量は慣行区のそれらと差異がなかったが、茎径は慣行区よりやや細くなり、3果房より上位の果房の平均果実収穫日が3-7日遅れた。改良区では、培地中のCa、Mg、S、Bは、慣行区より2-3倍高い濃度で推移したのに対して、Pは栽培全期間を通して、Kは栽培前半において、それぞれ慣行区より低い濃度で推移した。このPおよびK濃度の低下が茎径が細くなり果実収穫日が遅れた要因の一つであると考えられるので、給液の最適PおよびK濃度についてはさらに検討する必要がある。また、Na濃度は、慣行区では20mg・lier-1前後で推移したのに対して、改良区では栽培後半から次第に上昇し、栽培終了時には135mg・lier-1に達した。今後、改良ロックウールシステムでのトマトの生育・果実収量と原水のNa濃度との関係について明らかにする必要がある。