著者
中山 治一
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.20, no.9, pp.783-797, 1968

(一)問題の所在 : 説明する必要もないことであろうが、クリミア戦争が、一八五三年のロシアとトルコの開戦にはじまり、途中でイギリス・フランス・サルディニアの参戦を経て、セヴァストポリ要塞の陥落、そして結局一八五六年のパリ条約によって終結をつげる戦争であることはいうまでもない。……
著者
小川 正彦 林 克弘 冨森 聡子 小西 信幸 中山 治
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.282-287, 2002-04-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
9
被引用文献数
3

ストロファンチジン配糖体及びジキトキシゲニン配糖体について,モロヘイヤ種子,モロヘイヤ及びその加工品の実態を調査するとともに,モロヘイヤの生育過程,世代交代における変遷を調査し,結果を検討し以下の結果を得た.(1) モロヘイヤ種子20試料を測定した結果,全試料からストロファンチジン配糖体及びジキトキシゲニン配糖体が検出され,その濃度は5080~7520μg/g, 40~160μg/gであった.また,原産国によって結果に差はなかった.(2) モロヘイヤ生葉を生育地別に18試料入手し,これを測定したが,ストロファンチジン配糖体及びジキトキシゲニン配糖体は検出されなかった.(3) 市場に流通するモロヘイヤ加工品15試料を測定したが,ストロファンチジン配糖体及びジキトキシゲニン配糖体は検出されなかった.(4) 原産国が明確なモロヘイヤ種子を栽培し,生育過程でのストロファンチジン配糖体及びジキトキシゲニン配糖体の消長を測定したところ,モロヘイヤ生葉からは検出されなかった.種子の世代間の差もほとんどなく,種子に特有の成分であると推察された.ただ,加工し食用とする場合は,双葉及び淡緑色未成熟莢の混入には注意を要する.以上のことから種子(未成熟種子及び発芽種子を含む)を喫食しなければ,ストロファンチジン及びジキトキシゲニンについては,特に安全性に問題はないと判断された.
著者
木内 利郎 冨山 栄輔 岡田 紘一 向井 雅俊 中山 治郎 今津 哲央 三宅 修 清原 久和
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.106, no.1, pp.12-17, 2015-01-20 (Released:2016-01-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

今回我々は前立腺全摘除術における切除断端陽性症例となる予測因子および,切除断端陽性症例においてPSA非再発生存率に寄与する因子について検討した.対象は2009年4月~2012年12月までに当科で前立腺全摘除術を施行した症例のうち,術後6カ月以上の経過観察が可能であった症例で,術前内分泌療法を施行した症例,pN1症例を除いた182例を対象とした.切除断端陽性を65例に認めた.切除断端陽性となる予測因子は多変量解析で,前立腺容積<40 cm3,生検陽性本数≧25%,BMI≧25.0であった.また切除断端陽性症例のうち,PSA nadir≧0.02 ng/mlまたはpT3の症例ではPSA非再発生存率が有意に低かった.
著者
池原 瑞樹 山田 耕三 斉藤 春洋 尾下 文浩 野田 和正 荒井 宏雅 伊藤 宏之 中山 治彦 密田 亜希 亀田 陽一
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.231-236, 2001-06-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

造影CT画像と単純GT画像におけるCT値の差によって, 肺野微小病変の質的診断を試みた報告はある. しかし造影thin-section CT (以下造影TS-CTと略す) 画像のみでのCT値の解析でその質的診断を試みた報告は少ない. 今回, CT画像上充実型を呈する肺野末梢微小病変を対象として, CT画像による質的診断を目的に造影TS-CT画像におけるCT値の解析を行った. 対象は, 最近3年間に当施設で切除された20mm以下の肺野微小病変47例である. 組織型は原発性肺癌が23例, 転移性肺腫瘍が6例であり, 非癌性病変は18例であった. CT画像は造影剤35mlを経静脈的に0.8ml/秒の速度で注入を開始し, その50秒後の画像である. CT値は病変内に真円に最も近い最小のROIを作成し, 病変の中心部と大動脈中心部の平均CT値を測定した. 結果は, 原発性肺癌では非癌性病変に比べて “病変部のmean CT値” および “病変部のmean CT値と大動脈のmean CT値の比” のいずれも高値を示し, 有意差を認めた. 以上より, 造影TS-CT画像でのCT値の計測は, 充実型を呈する肺野微小病変の質的診断に寄与する可能性が示唆された.
著者
濱中 瑠利香 村上 修司 横瀬 智之 中山 治彦 山田 耕三 岩崎 正之
出版者
The Japan Lung Cancer Society
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.253-258, 2011
被引用文献数
4

<b>背景</b>.Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema(RS3PE)症候群は腫瘍随伴症候群の一つとして知られているが,肺癌に合併した報告は稀である.RS3PE症候群様症状で発症し,外科的切除を施行することで症状軽快を認めた肺癌の1例につき報告する.<b>症例</b>.79歳,男性.2009年12月頃から両下肢と足背の浮腫を認め,次第に手指と両手関節の腫脹,手関節と足関節の熱感,疼痛を自覚した.2010年4月に検診の胸部X線写真で左中肺野に腫瘤影を指摘され当院紹介となった.胸部CT画像では左S<sup>4</sup>に40×37 mmの腫瘤を認め,気管支鏡検査にて肺癌と診断された.原発性肺癌に伴うRS3PE症候群の圧痕浮腫を伴った関節炎と診断し,左上葉切除を施行した.術直後より関節症状の速やかな改善を認め,術後8か月経過し無再発生存中である.<b>結論</b>.高齢者に急速に進行する浮腫を伴った関節炎では悪性腫瘍の合併も念頭におき,全身精査を行う必要があると考えられた.<br>
著者
伊藤 宏之 中山 治彦 藤田 敦 石和 直樹 池原 瑞樹 田中 学 山田 耕三 野村 郁男 野田 和正 亀田 陽一 密田 亜希
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.132-135, 2000
参考文献数
6

症例は34歳男性。5年前に近医で右肺野の腫瘤陰影を指摘され, mucoid impactionを伴ったcystic brochiectasisと診断された。1999年3月, 健康診断で胸部異常陰影を再度指摘され, 4月26日に当院を紹介受診した。胸部CTでは, 右B^6bを中心に経約4cmの気管支に沿って拡がる樹枝状の, 内部に一部空洞を伴った充実性腫瘤陰影を認めた。この空洞にcystic brochiectasisに特徴的所見とされるair fluid levelがないことから, 気管支鏡検査を行ったところ, B^6内腔を閉鎖する赤紅色の易出血性のポリープ状腫瘤を認め, 生検によりatypical carcinoidと診断された。6月10日, 右下葉切除およびR2a郭清を施行した。摘出標本の病理組織所見においても, B^6より出現した腫瘍が気管支を拡張しつつ, 長軸方向への気管支内発育をし, 樹枝状の形態をとっていたことが確認された。また画像上腫瘍内部に認められた空洞は, 腫瘍末梢の嚢状の拡張気管支であることが判明した。