著者
岩井 大 宇都宮 啓太 小西 将矢 安藤 奈央美 宇都宮 敏生 藤澤 琢郎 馬場 奨 友田 幸一
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.235-241, 2014 (Released:2015-02-11)
参考文献数
13

甲状腺全摘後の甲状腺分化癌高リスク症例に対するI-131の外来内用療法が認可され,われわれの施設でも本法の適応と考えられた22例中19例で実施できた。当初,東日本大震災の福島原発放射能汚染事故に関連し,本法に躊躇される例があった。甲状腺ホルモン休薬法に比しrhTSH(Recombinant human thyroid stimulation hormone,ヒト遺伝子組み換え甲状腺刺激ホルモン)法では合併症が少なかった。19例中3例に局所再発と1例に遠隔転移が認められた。これらの症例はいずれも頸部再発歴があり,再手術のあとにI-131内用療法を受けた症例であった。したがって,今回のI-131内用療法は,甲状腺癌再発症例の再々発予防に対する効果は十分でない印象であったが,さらに十分な症例数と観察期間をもって判断すべきと思われた。
著者
岩井 大 小西 将矢 安藤 奈央美 馬場 奨 友田 幸一
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.228-231, 2014 (Released:2014-10-31)
参考文献数
10

高度肥満(BMI 52)の甲状腺癌手術症例を経験した。術後出血の診断や,出血に対する気管切開術の容易化のため,甲状腺手術の際に前頸部脂肪組織切除術を併用した。今後の高度肥満症例の増加が考えられるが,肥満症例でも積極的に甲状腺手術が行えるよう,前頸部脂肪組織切除術併用などの手術法の工夫が必要と思われる。
著者
岩井 大 島野 卓史 馬場 奨 金田 直子 岡崎 はるか 完山 理咲 小西 将矢 宇都宮 敏生 友田 幸一 福森 崇之
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.157-163, 2012 (Released:2012-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Forestier病は全身の靱帯・腱付着部の硬直・骨化を示す強直性脊椎骨増殖症 (diffuse idiopathic skeletal hyperosteosis) の1つである. 頸椎で生じたものでは喉頭や咽頭・食道を圧迫して咽喉頭違和感や呼吸障害・嚥下障害をきたす. 進行例には切除術が選択されるが, 十分な病変切除がされたにもかかわらず, 手術効果が即座に出ない例も認められ, 症状発生には, 病変の物理的な喉頭・食道圧迫だけでなく, 局所での浮腫や繊維化を含めた炎症の機序が考えられている.我々は今回, 本疾患の5例に対し手術的治療を行った. 病変部の正確な切除と上・下喉頭神経などの温存を図ったが, 症例1・2では不十分な手術成績であった. そこで, 手術に際し骨病変切除で生じる椎骨と骨膜間の死腔を減少させるため骨膜を寄せて縫合する処置を追加し良好な成績を得た. こうしたことから, Forestier病の手術に際し, 椎前部の死腔縮小処置が局所の炎症を低下させ, 術後の症状回復を早めるのではないかと考える.