著者
田中 秀数 小野 俊雄 栗田 伸之 佐藤 卓
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

我々はフラストレーションの強いスピン系での顕著な量子効果を調べた。まず,我々はBa3CoSb2O9の磁化過程を測定し,全磁場領域で磁化曲線が理論と一致することより,この物質が理想に近いスピン1/2三角格子反強磁性体であることを示した。続いて,スピン1/2籠目格子反強磁性体Cs2Cu3SnF12の磁気励起を中性子非弾性散乱で測定し,励起エネルギーが通常とは逆に,スピン波理論で求めた値よりも大きく減少する負の量子再規格化現象を発見した。更に,新規ダイマー磁性体Ba2CoSi2O6Cl2を合成し,その強磁場磁化過程を測定することより,磁場中でマグノン結晶ができることを見出した。
著者
田中 秀数 小野 俊雄 加倉井 和久
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

スピンダイマー系の混晶Tl_<1-x>K_xCuCl_3において,磁場中比熱測定と電子スピン共鳴(ESR)によって,3重項励起トリプロンの局在による新しいボースグラス相の存在とボースグラス-ボース凝縮転移に特徴的な臨界現象を観測した.外部磁場を加えると量子sine-Gordon模型で記述される1次元反強磁性体KCuGaF_6の素励起をESRで観測し,それが量子sine-Gordon場理論で定量的に理解できる事を示した.スピンの大きさが1/2の籠目格子反強磁性体Rb_2Cu_3SnF_<12>とCs_2Cu_3SnF_<12>を開拓した.また,基底状態が非磁性のRb_2Cu_3SnF_<12>ついて中性子非弾性散乱を行いシングレットが風車のように配置した構造を明らかにした.