- 著者
-
小野 崇人
江刺 正喜
- 出版者
- 東北大学
- 雑誌
- 萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2006
本研究では、テラヘルツ波を発生検出するデバイスをMEMS技術で作製し、ナノメートルの分解能をもつ顕微鏡に応用する。テラヘルツの発生と検出を半導体技術で小型、集積化することで、余計な光学系が不要で、自由度が高い計測システムが実現できる。熱型センサの最小検出能は、検出する輻射光の揺らぎによるショットノイズ、センサから恒温浴への熱伝導に起因する熱揺らぎ、センサ自身の熱機械ノイズなどによって制限され、原理的に理論的な限界が存在する。このため、高感度な熱型の輻射センサは液体窒素や液体ヘリウムで冷却して利用する。一方、熱量の変化を機械的なそりとして変化として検出するバイメタル式センサが知られている。しかし、この場合も同様に周囲の熱による熱機械ノイズが最小検出感度を制限する。そこで、本研究では、レーザー光を利用した光熱力を利用し、応答を増幅して高感度化を図った。テラヘルツ波の発生と検出のため、スパッタZn0を用いた光導電性アンテナを開発した。Siの上にアンテナ構造を作製するため、Siと相性のいい、Zn0をスパッタにより作製した光導電性アンテ光伝導層として利用した。このZn0膜上に金属のパターンを形成し、光導電性アンテナを形成した。作製したアンテナを評価した結果、Zn0膜がTHz波の検出および発生に使えることを示した。また、THzの近接場を形成するため、THzアンテナ上に金属で覆われたシリコンの探針を形成し、微小な開口を設けた。この近接場プローブにて信号が検出できることを確認した。