著者
居神 浩
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.127-145, 2018-05-25 (Released:2019-05-25)
参考文献数
23

高等教育の根源的な変化を語るための視点として「マージナル大学」の概念を提起して以来7年になる.その間,思いがけず様々な方々から様々なご意見ご感想を頂いてきたが,痛感するのはそれぞれの「認識の準拠枠組み」の小さくないズレである.このズレが生産的な議論を展開するための大きな障壁となっている.本論ではその点を特に意識しながら,まずますます多様化する「ノンエリート大学生たち」に伝えるべき教育内容についての持論を再提示する.そのうえで,これを教授団として議論・実践する際の困難・展望について検討する.さらに高等教育政策の現状および今後の展開に鑑みて,学生の多様化を正面から見ようとしない大学論への絶望とささやかな希望を語りたい.