著者
住野 公昭 江原 一雅 山下 長司郎 石井 昇 正井 栄一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

通信設備など災害時に使用する設備は、災害直後に素早く稼動するものほど価値が高い。被災者は災害直後から2〜3日の間が一番困難な状況にある。阪神淡路大震災被災直後に医療機関は様々な情報を必要とした。他の医療機関/個人/災害対策本部/などに連絡をし、それらから情報を得、あるいは情報を提供したりするには、電話連絡よりも、メールやInternetのホームページのような形式の通信システムが優れている。その理由は、通信時間が短くて済む事、相手がいなくても情報を得る事が可能であるからである。そのような用途に使え、さらに、1)被災後すぐに使用でき、2)個人でも所有できる程度に安価で、3)電池で稼動し、4)可搬性が優れていて、5)画像も含めたメールが扱え、6)携帯電話/衛星電話/でも使用できるシステムを作成した。Internetと比較すると以下の点で、本システムの方が優れている。1)メール送受のリアルタイム性、2)メール受け取り確認の必要性、3)災害時のネットワーク資源の効率的利用、4)セキュリティが高い。例えば、Internet mailでは、メールがメールサーバに受信された時刻とメールが実腺に読まれる時刻の間には時間的ずれが生ずる。本システム(kU-Net)ではメールは直接相手のコンピュータに届くので、受信者はメールが届いたことを即座に知ることが可能であり、メール受信時刻とメールが読まれる時刻との間に遅れが生じにくい。セキュリティに関して、本システムでは、ネットワーク媒体に電話回線だけを使用するので、運ばれるデータがInternetのように多くのコンピュータを経由することがないので、覗き見される危険が少ない。ユーザーが勝手に電話番号の変更をできないので、送信者の確認がとりやすい。などの利点があり、災害時の通信システムとして適している。