著者
木内 淳子 江原 一雅 佐久間 正和
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.753-757, 2019-11-15 (Released:2019-12-17)
参考文献数
9
被引用文献数
1

民事裁判と異なり,医療における刑事裁判の全貌は公表されていない.しかし公刊資料で収集すると業務上過失に関する医療刑事裁判では,1950年から2017年末までの被告人数は444名で,そのうち127名が公判請求され23名が無罪となった.一般的な刑事裁判では検察庁に送付された中で,8.3%が公判請求され,99.8%が有罪となっている.最近医療水準が問題となった事件では無罪判決が続いた.しかし年代別の無罪の比率には大きな変化は見られなかった.2015年以降医療機関からの警察届出件数は減少したが,司法解剖に至った事例が58件あり,刑事裁判になる可能性は依然として残る.事故発生後の医療機関としての対応についても検討を行った.
著者
川口 なぎさ 笠原 聡子 江原 一雅
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.496-504, 2021-08-31 (Released:2021-08-31)
参考文献数
12

目的:院内迅速対応システム(rapid response system;RRS)導入後の内容拡充と,看護師の行動との関連を明らかにする。方法:2013〜2018年にA病院の一般病棟に入院した成人患者のうち,専門チームが初回対応した863件を対象とした。システム拡充(ラウンド経験病棟数,研修受講者数)と看護師の行動(コール要請割合など)6項目を設定した。システム拡充の年次変化を認めたため暦年を代替指標とし,看護師の行動との関連を多重ロジスティック回帰分析と重回帰分析にて検討した。結果:看護師の行動のうち「コール要請割合」と「呼吸数測定割合」が増加し,「気づきからチーム要請までの時間」と「起動基準該当からチーム要請までの時間」が減少する年次効果がみられた。結論:RRS導入後のシステム拡充に伴い看護師の行動が変化し,RRSの迅速な起動の促進が認められた。
著者
住野 公昭 江原 一雅 山下 長司郎 石井 昇 正井 栄一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

通信設備など災害時に使用する設備は、災害直後に素早く稼動するものほど価値が高い。被災者は災害直後から2〜3日の間が一番困難な状況にある。阪神淡路大震災被災直後に医療機関は様々な情報を必要とした。他の医療機関/個人/災害対策本部/などに連絡をし、それらから情報を得、あるいは情報を提供したりするには、電話連絡よりも、メールやInternetのホームページのような形式の通信システムが優れている。その理由は、通信時間が短くて済む事、相手がいなくても情報を得る事が可能であるからである。そのような用途に使え、さらに、1)被災後すぐに使用でき、2)個人でも所有できる程度に安価で、3)電池で稼動し、4)可搬性が優れていて、5)画像も含めたメールが扱え、6)携帯電話/衛星電話/でも使用できるシステムを作成した。Internetと比較すると以下の点で、本システムの方が優れている。1)メール送受のリアルタイム性、2)メール受け取り確認の必要性、3)災害時のネットワーク資源の効率的利用、4)セキュリティが高い。例えば、Internet mailでは、メールがメールサーバに受信された時刻とメールが実腺に読まれる時刻の間には時間的ずれが生ずる。本システム(kU-Net)ではメールは直接相手のコンピュータに届くので、受信者はメールが届いたことを即座に知ることが可能であり、メール受信時刻とメールが読まれる時刻との間に遅れが生じにくい。セキュリティに関して、本システムでは、ネットワーク媒体に電話回線だけを使用するので、運ばれるデータがInternetのように多くのコンピュータを経由することがないので、覗き見される危険が少ない。ユーザーが勝手に電話番号の変更をできないので、送信者の確認がとりやすい。などの利点があり、災害時の通信システムとして適している。