著者
山中 康行
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.37-44, 2003-08-31 (Released:2017-12-12)

群馬大学附属図書館は,昭和41年新田岩松家の後裔である故新田義美(よしとみ)氏から旧新田男爵家に伝来された文献資料群の寄贈を受けた。寄贈時にもたらされた資料群の中に膨大な屑状の紙片があった。それらの紙片は屑としか見えない状態であったためにかえりみられることがなかった。平成13年春,この紙片の塊が廃棄寸前になって,日本画の下絵(粉本)であることが判明した。約1年半をかけて膨大な屑状の紙片の悉皆調査を行い,総点数1,265点の反故を画帳形式に復元整備した。寄贈者の遺族も知らなかった粉本の発見であった。平成15年3月には整理が終わるとともに群馬大学附属図書館所蔵「新田岩松家旧蔵粉本図録」が完成した。
著者
山中 康行
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
人間文化研究 = Journal of humanities research, St. Andrew's University (ISSN:21889031)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-22, 2018-11

This paper considers the modern historical stream of Japanese libraries.Most library teachers in this country have the same idea that there is a cleardiscontinuity made by Meiji-Ishin ( 明治維新). On the contrary, ToshioIwasaru told that Japanese library history has a just consistent continuoustimeline, and that there is not a break by appearance of Meiji bureaucratic emperor-centered government. The author could understand Iwasaru's opinion.
著者
山中 康行
出版者
京都女子大学図書館司書課程研究室
雑誌
京都女子大学図書館情報学研究紀要 (ISSN:21876991)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-71, 2016-02-29

この課題を取り上げた理由と目的 和本の装訂名称の用語には、粘葉装、綴葉装、列帖装、大和綴、結び綴等がある。しかし、同じ装訂1)の和本が人により、異なる装訂名称で呼ばれたり、異なる装訂の和本が同じ装訂名称で呼ばれるという、「同名異装、異名同装」の論争2)が、昭和初期から現在まで混乱が続いているので、これまでの混乱の状況と原因を解明し、混乱を解決するため、1900年から2006年までの間に、発行又は再版された単行本及び雑誌論文から、粘葉装、綴葉装、列帖装、大和綴、結び綴の説明の部分を抽出した。そして、和本の標準的な装訂方法を、外形の図版と装訂方法ともに示すことにより各人の説明に対応する装訂形態の図を時系列的にまとめ、一覧表に整理し、混乱の原因と問題点を集約し、解決策として各装訂に対して現在どのような装訂名称が相応しいかを提案した。和装資料の形態と装訂の名称について、これまでどのように呼ばれてきたかをたどり、同名異装、異名同装の混乱が生じた原因を考察することは書誌学上意義深いものがある。和装資料の名称はこれまで、①歴史文献にその根拠を求める方法と、②その形態から名称を解明する方法とがなされてきた。しかしそのいずれもが装訂名称の説明には不十分・不適切であり、不十分な説明が混乱を一層増す結果となった。本稿では、諸説を検証し、書き表し方、読み方についても言及し、製作の流れと使用材料による新たな観点を付加した装訂名称を提唱するものである。