著者
山内 理恵 有田 憲司 阿部 洋子 森川 富昭 木村 奈津子 山口 公子 津田 雅子 福留 麗実 西野 瑞穂
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.506-513, 2003-06-25
被引用文献数
6

母親の年齢と乳歯の齲蝕発生との関連を検討する目的で,徳島県名西郡石井町の地域歯科保健管理データベースを利用して,1991年~2001年の間に生まれた第一子の小児を母親の初産年齢をもとにG1群(初産年齢22歳以下),G2群(初産年齢23~28歳),G3群(初産年齢29~34歳)およびG4群(初産年齢35歳以上)に分類し,齲蝕罹患状況を分析し,以下の結果を得た.<BR>1. 1歳6か月ではG4群で齲蝕有病者率および一人平均齲歯数が最も高かった.<BR>2. 2歳6か月ではG1群で齲蝕有病者率および一人平均齲歯数が最も高かった.<BR>3. 3歳6か月ではG1群で齲蝕有病者率および一人平均齲歯数が最も高かった.<BR>4. 5歳ではG3群で齲蝕有病者率および一人平均齲歯数が他の群に比べて著しく低かった.<BR>5. 1歳6か月で離乳の完了していない小児の割合は,G1群およびG4群で高く,G3群で低かった.<BR>6. 1歳6か月で哺乳瓶をくわえて寝る癖のある小児の割合は,G2群およびG4群で高く,G3群で低かった.<BR>7. 親による仕上げ磨きは,GI群ではどの年齢においても毎日する割合が低かった.G4群は2歳6か月では毎日する割合が最も高かったが,5歳では最も低かった.<BR>以上より,G1群およびG4群は齲蝕ハイリスク群で,G3群は齲蝕ローリスク群であり,母親の年齢が乳幼児期の齲蝕発生要因となることが示唆された.
著者
山内 理恵 大野 修司 中島 りり子 井上 信宏 久保 元 浅井 和範
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.2020-012, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

薬剤師国家試験の必須問題はCBTと共通点があり,その多くは4年次までに習得した基本的知識で対応できる.本研究では,星薬科大学の2015年度から2018年度に在籍した6年次生について,模擬試験等の成績を元に必須問題への学習到達度と国家試験成績との関連を検討した.各試験における必須問題の正答率は,6年次の9月以降大きな変動が認められなかった.また,国家試験合格者とそれ以外の学生との間には9月の段階で大きな差が生じており,合格者の正答率は常に70%以上を推移し,それ以外の学生ではほぼ70%を下回った.また,9月以降において必須問題の成績は大きく変動しなかった.これは全ての学生で必須問題に加え理論問題や実践問題への対策に多くの学習時間が費やされるためと考えられた.以上より,早期から基本的知識を身に付け,必須問題に対応できる能力を養うことが重要であると推測された.
著者
井上 信宏 中島 りり子 山内 理恵 大野 修司 久保 元 浅井 和範
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.2018-042, 2019 (Released:2019-06-08)
参考文献数
21

本研究では,薬学部6年生に対する改変型team-based learning(m-TBL)の成績向上効果を検討することを目的として,病態・薬物治療分野の問題を用いるm-TBL演習を実施した.従来のTBLと異なり,個人及びグループテストには難易度が同等になるように調整したそれぞれ別の問題セットを用いた.その結果m-TBL演習を行った試験群では,グループテストの得点が個人テストと比較して有意に高かった.また試験群と,同一課題を自主学習する対照群との,演習期間前後の試験成績を比較した結果,その得点向上率は試験群の方が有意に大きかった.さらにアンケートの顧客満足度分析の結果から各試験の難易度は同等と評価され,因子分析の結果と試験成績から,TBLに期待している学生ほど成績が高いことが明らかとなった.以上のことから,m-TBLが6年生の成績向上に効果的であることが示された.
著者
井上 信宏 大野 修司 山内 理恵 久保 元 浅井 和範
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.2022-044, 2023 (Released:2023-04-15)
参考文献数
18

学習効果を高めるために学生が実践する学習方法(認知的方略)が,薬学生の学習成果にどのような影響を与えているかを推察するため,薬学生の認知的方略と卒業試験成績との関連性について解析した.学年を区別して確認的因子分析を行う多母集団同時分析により,「深い処理方略」,「まとめ作業方略」,「反復作業方略」の3つの認知的方略が共通に使用されていることが抽出され,また因子間相関から各認知的方略の使用傾向が学年によって異なることが示された.これらの認知的方略と薬学科6年生の卒業試験との関連性について,「深い処理方略」の使用が卒業試験成績に対し正の影響を示した.一方「反復作業方略」を多く使用する学生ほど成績が相対的に低く,この方略による学習は卒業試験成績に反映され難いことが推定された.以上より,将来の卒業試験に向けた「深い処理方略」の使用促進のため,低学年のうちからその有効性を認知させることが重要であると考えられた.