著者
大平 恵 坂上 慎二 大平 洋 渡邊 安寿香 池田 大輔 吉田 和博 山口 佳奈 村井 毅 黒澤 隆夫 辻野 一三 大塚 吉則 西村 正治
出版者
ライフ・サイエンス
雑誌
Progress in Medicine (ISSN:02873648)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.2043-2048, 2009

近年,胆汁酸吸着レジンであるコレスチミドには,血中コレステロール値を低下させるだけでなく,血糖値を低下させる作用を併せ持つことが報告されている. 胆汁酸とエネルギー代謝との関連が明らかになってきており,コレスチミドの血糖降下作用のメカニズムにも胆汁酸分画の変化が関与している可能性もある. われわれは,外来通院中で高LDLコレステロール血症を伴う2型糖尿病患者19例に対しコレスチミドを12週間投与し,血中胆汁酸分画の変化と血糖降下作用との関連を検討した. 投与後,血中LDLコレステロール値の低下とともに,臍周囲径,空腹時血糖値,HbA_[1C],HOMA-Rの有意な低下を認めた. しかし, 血中総胆汁酸濃度とその分画の濃度には変化を認めず,HbA_[1c] や臍周囲径の変化との相関関係も認められなかった.コレスチミドによる血糖降下作用は,血中胆汁酸分画の変化とは関連せず,他の機序が関与していることが示唆された.
著者
黒崎 瞳 小島 慶子 山本 貴子 山口 佳奈江 関田 洋子 田内川 明美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.301, 2011

<はじめに><BR>脳疾患患者は呼吸筋の麻痺や委縮・咳嗽反射の低下、長期臥床により肺合併症発生リスクが高くなる。<BR>A病棟は2010年1年間で脳疾患患者のうち意識レベルJCS_III_桁・挿管患者の40%が肺合併症を発症していた。そこで、スタッフの呼吸ケアに対する意識の向上が必要だと感じ勉強会・チェックリスト表を用いた結果、呼吸ケアに対する意識向上につながったので報告する。<BR><研究方法><BR>1 期間:2011年1月~4月<BR>2 対象者:病棟看護師23名<BR>3 方法:<BR>(1)呼吸理学療法の勉強会<BR>(2)呼吸ケアチェックリストの作成・活用<BR>(3)勉強会・チェックリスト使用前後でのアンケート調査<BR><倫理的配慮><BR>アンケートは個人が特定できないように無記名とし、知りえた情報は研究以外に使用しないことを説明した。<BR><結果><BR>勉強会への出席率は52%。欠席したスタッフにも勉強会のプリントを配布した。<BR>呼吸ケアはチェックリストを用い清潔ケア時・検温時に観察した。<BR>アンケート回収率は勉強会前後ともに95%であり、チェックリスト使用率は78%だった。<BR>アンケート結果では背部の聴診・正しい部位を聴取しているスタッフは勉強会前0%、勉強会後95%であった。<BR>またチェックリスト活用後はステートを持ち歩くようになったと100%回答し、チェックリスト以外でも肺音を聞くようになったスタッフ90%であった。<BR><考察><BR>勉強会後に背部の聴診・正しい部位を聴取しているスタッフが増加した事から、実施不十分だった背景には知識不足や意識が低かった事、が考えられる。また、一人では体動不能な患者の背部聴取が困難であったが2人で実施することで統一が図れた。このことから多忙な業務の中でも日常業務の1つとして根拠をもって呼吸ケア実施することで、意識付けにつながったと考えられる。<BR><まとめ><BR>肺ケアに対する看護師の意識向上には、観察やケアの根拠や必要性を理解し、日常業務の中にとりこみ継続していく事が有効である。