著者
村井 政史 伊林 由美子 堀 雄 森 康明 古明地 克英 八重樫 稔 今井 純生 大塚 吉則 本間 行彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.227-230, 2017 (Released:2017-12-26)
参考文献数
12

症例は31歳の女性で,出産後に上下の口唇に黄白色の痂皮ができ,剥けるようになった。剥脱性口唇炎と診断し,陰証および虚証で,出産後で気血ともに虚した状態と考え帰耆建中湯で治療を開始したが無効で,同じく気血両虚の十全大補湯に転方したが改善せず,胃の調子が悪化した。胃腸への負担が少ない虚証の方剤がよいと考え補中益気湯に転方したところ,口唇の痂皮は著明に改善しほとんど目立たなくなった。剥脱性口唇炎は慢性に持続した炎症性疾患であることから少なくとも口唇の局所は陽証と考えられ,少陽病をもカバーしうる補中益気湯が奏効したものと思われた。また,剥脱性口唇炎には何らかの精神医学的要因が関与している可能性があり,柴胡の解鬱・抗ストレス作用や陳皮の理気・鎮静作用もまた,本症例で補中益気湯が奏効した一因であると思われた。
著者
桜井 みち代 石川 由香子 大塚 吉則 八重樫 稔 宮坂 史路 今井 純生 本間 行彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.155-159, 2009 (Released:2009-08-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

漢方治療をおこなって著効を得た脂漏性皮膚炎の5症例を経験した。うち3例は1ないし2年前から,顔面に皮疹がみられ,ステロイド剤やケトコナゾール外用剤による治療をうけていたが効果なく,十味敗毒湯により数カ月でほぼ完治した。他の2例はそれぞれ10年と25年前から被髪頭部に皮疹が続いていたが,荊芥連翹湯,麻杏よく甘湯,抑肝散加陳皮半夏の合方で,それぞれ2カ月後と8カ月後に著しく改善した。

5 0 0 0 OA 漢方と温泉

著者
大塚 吉則
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.159-167, 2012 (Released:2012-10-11)
参考文献数
14
被引用文献数
1

古代中国においては,時の権力者は温泉を憩いの場として利用していた。玄宗皇帝は温泉を引いて宮殿(華清宮)を建てて内部に池を配置し,楊貴妃を伴ってこの地で時を過ごしていた。温泉の効能は古代中国でも知られており,漢の科学者張衡の温泉賦をはじめとして多くの記載が残っているが,漢方医学と直接関連した書物としては,李時珍の本草綱目が有名である。温泉は「温湯」として地水類の一つに数えられており,硫黄の臭いを発する地表からわき出る(沸泉)熱い湯として認識されている。日本においては江戸時代,貝原益軒が養生訓に温泉入浴についての注意事項を記載している。その後,後藤艮山が高温泉に入ることが重要であるとし,彼の弟子香川修徳はその著書一本堂薬選で,温泉入浴方法にまで言及している。温泉療法は「気血水」のすべてに影響を与えており,漢方とともに用いればさらにお互いの効用を増強させうるものと思われる。
著者
辻野 一三 林下 晶子 渡部 拓 山田 安寿香 佐藤 隆博 板谷 利 高階 知紗 大塚 吉則 清水 祐輔 西村 正治
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.722-728, 2014-09-30 (Released:2014-10-07)
参考文献数
36
被引用文献数
1

症例は35歳,男性.糖尿病,うつ病にて当院通院中の平成25年5月,自殺企図にてインスリングラルギン300単位を皮下注したところを家族に発見され,当科へ救急搬送となった.血糖値の頻回モニタリングと経口および静脈内グルコース投与にて,皮下注射から約50時間の経過で重篤な合併症や後遺症なく低血糖状態から脱した.入院中の精査にてミトコンドリア病の診断基準を満たし,うつ病および糖尿病は同疾患によるものと考えた.うつ病と糖尿病の合併は臨床的に重要な問題であり,本報告ではうつ病合併糖尿病の診療上の問題点,インスリン大量投与時の対処と病態,さらにミトコンドリア病の本症例における関与について若干の文献的考察を加え報告する.
著者
齋藤 正美 大塚 吉則 若林 秀隆
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.301-306, 2017 (Released:2017-05-02)
参考文献数
16
被引用文献数
1

〔目的〕総合診療医を目指す専攻医の,リハビリテーション(以下,リハ),診療およびリハの教育研修に対する意識からそのあり方を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象者は,家庭医・総合医後期研修プログラムを実施している総合診療専攻医7名と循環器内科専攻医1名の計8名とした.面接によるフォーカスグループインタビューを行い,分析方法にSteps for Coding and Theorizationを用いた質的研究とした.〔結果〕「総合診療医の備えるリハ能力」,「リハ職との関係性の希薄」,「講義受講後の成果」,「総合診療専攻医のリハ教育研修のあり方」の4つの概念が抽出された.〔結語〕かかりつけ医やその役割を期待される専攻医へのリハ教育研修の体制が必要である.
著者
大平 恵 坂上 慎二 大平 洋 渡邊 安寿香 池田 大輔 吉田 和博 山口 佳奈 村井 毅 黒澤 隆夫 辻野 一三 大塚 吉則 西村 正治
出版者
ライフ・サイエンス
雑誌
Progress in Medicine (ISSN:02873648)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.2043-2048, 2009

近年,胆汁酸吸着レジンであるコレスチミドには,血中コレステロール値を低下させるだけでなく,血糖値を低下させる作用を併せ持つことが報告されている. 胆汁酸とエネルギー代謝との関連が明らかになってきており,コレスチミドの血糖降下作用のメカニズムにも胆汁酸分画の変化が関与している可能性もある. われわれは,外来通院中で高LDLコレステロール血症を伴う2型糖尿病患者19例に対しコレスチミドを12週間投与し,血中胆汁酸分画の変化と血糖降下作用との関連を検討した. 投与後,血中LDLコレステロール値の低下とともに,臍周囲径,空腹時血糖値,HbA_[1C],HOMA-Rの有意な低下を認めた. しかし, 血中総胆汁酸濃度とその分画の濃度には変化を認めず,HbA_[1c] や臍周囲径の変化との相関関係も認められなかった.コレスチミドによる血糖降下作用は,血中胆汁酸分画の変化とは関連せず,他の機序が関与していることが示唆された.
著者
橘内 勇 大塚 吉則
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.205-211, 2008-03-31

“猫背”と呼ばれる不良姿勢は,腰や背中にかけての鈍痛をもたらす腰痛症,頚・肩凝りを主訴とする頚肩腕痛の原因となり,小・中学生の若年者から高齢者まで幅広い年代を悩ませる要因となっている。とくに近年,運動不足や不良姿勢が原因とみられる子供の肩凝りの報告も多い。今回,学童期の影響も関連すると思われる大学生を対象に,不良姿勢を自覚する者の割合やそれに伴う有訴率,各自の対処法についてアンケートを実施した。なお,得られた結果を要約すると下記の通りである。 1.自分の姿勢が悪いと思う男子学生は54%・女子学生は67%であった。 2.腰背部痛を有する男子学生は39%・女子学生は46%であった。 3.頚・肩凝りを有する男子学生は31%・女子学生は40%であった。 これらの結果は,「平成16年国民生活基礎調査の概況」による同年代の有訴率より極めて高いものであった。この背景には,授業中は座位を取り続けなければならない学生の特殊な環境要因も大きいと考えられた。
著者
橋本 好弘 森谷 きよし 大塚 吉則
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.109-119, 2008

消防活動は重装備の激しい活動であり,過労・ストレスによる隊員の死傷者が多い.本研究では,寒冷環境下における消防活動が隊員に及ぼす身体負担を経時的に分析し,休憩の必要性を検討した.北海道 S 市の消防隊員 71 名に対して 24 時間の拘束勤務中にホルター心電計を装着させ,消防活動中の心拍数変化を測定し,Wu <i>et al.</i>(2001)の maximum acceptable work duration(MAWD)でその負担を評価した.出動途上の平均最高心拍数は 145.5 拍/分であり,急激に心拍数が上昇していた.現場活動中の最大心拍数と活動時間には正の有意な(P<0.01)相関が認められた.小規模火災 2 件で MAWD を大きく超え,活動開始 5 分間の負担は平均で 92.6 並びに 93.6% heart rate reserve (HRR),活動全体の平均でも 72.3 と 70.2% HRR であった.災害現場での消防隊員の死傷事故減少には,寒冷環境下の小規模火災でも,火勢制圧後,隊員に休憩・交替を与え,過労・ストレスを軽減させる必要がある.<br>
著者
大塚 吉則 中谷 純 及川 隆司
出版者
日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.121-127, 2002-05-01

It is reported that changes in immunological system are one of the underlining mechanisms of balneotherapy effects. Since there is no study concerning the mechanisms how balneotherapy with a simple thermals works, we tried to examine both the changes of immunological functions and stress relieving effect of balneotherapy. Fourteen inpatients (mean age 63 years) suffering from such as cerebrovascular diseases participated in the present study. Before and after 6-week balneotherapy, lymphocyte subset counts, levels of cytokines (IL-4, IL-6, IF-γ etc.) were determined and lymphocyte blastogenetic tests were also performed . In addition, stress barometers (urinary 17-ketosteroidsulfate (17KSS) / 17hydroxycorticosteroid (17OHCS)) were measured. As a result, no significant changes in cytokine levels were observed. Percentage of T cell count decreased and that of B cell increased. Percentage of suppressor T cell count decreased and that of helper and killer T cell tended to increase (not significant). Lymphocyte blastogenetic tests by ConA and PWM showed enhanced responses and urinary 17KSS / 170HCS levels increased after balneotherapy. From these findings, it is suggested that 6-week balneotherapy with a simple thermals has a potential of augmenting immunological functions and also possesses stress relieving effect.
著者
村井 政史 堀 雄 森 康明 古明地 克英 八重樫 稔 今井 純生 大塚 吉則 本間 行彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.29-34, 2019 (Released:2019-08-26)
参考文献数
13

症例1は72歳男性で,重たいものを持ち上げるなどの重労働を約半年間行い,全身に痛みを自覚するようになった。肩の凝りと痛みが著明なことから葛根湯を,瘀血が存在すると考え桂枝茯苓丸料を合方して治療を開始した。 尿の出が悪化し麻黄の副作用と考え減量し,治療効果を高める目的で蒼朮と附子を加味したところ,体の痛みはほぼ消失した。症例2は53歳男性で,頚椎捻挫受傷や外科的手術歴があり,全身に痛みを自覚するようになった。左右の胸脇苦満が著明なことから大柴胡湯を,瘀血が存在すると考え桂枝茯苓丸料を合方して治療を開始した。便が出過ぎて日常生活に支障を来すため大黄を減量し,肩凝りが著明なことから葛根を加味したところ,体の痛みは消失した。線維筋痛症は治療に難渋することが多いが,煎じ薬ならではのさじ加減により,副作用を軽減し治療効果を発揮させることができた。
著者
村井 政史 伊林 由美子 八重樫 稔 今井 純生 大塚 吉則 本間 行彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.41-44, 2013 (Released:2013-07-20)
参考文献数
22

ホットフラッシュに陰証の方剤が奏効した1例を報告する。症例は56歳の女性で,閉経後に顔面のほてりと発汗を認めるようになった。加味逍遙散と苓桂朮甘湯で治療を開始したところ,ホットフラッシュはやや改善したが,疲れた時に増悪した。そこで証を再考し,陰証で虚証と考え小腹不仁が著明であったため,八味丸に転方したところホットフラッシュはほとんど出現しなくなった。しかし疲れやすく,疲れた時にホットフラッシュが増悪したため,心下痞鞕を目標に人参湯を併用したところ,疲れにくくなりホットフラッシュは出現しなくなった。ホットフラッシュには陽証の方剤が有効な場合が多いが,病態に応じて陰証の方剤も考慮すべきと思われた。
著者
村井 政史 伊林 由美子 堀 雄 森 康明 古明地 克英 八重樫 稔 今井 純生 大塚 吉則 本間 行彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.34-37, 2016

症例は48歳の女性で,高層ビルで勤務中に地震が発生してビルが大きく揺れ,その後から動揺性めまい感が出現するようになった。陰証で虚証と考え真武湯で治療を開始したところ,動揺性めまい感は改善した。ところで,この患者の職場は入退室管理に指静脈認証によるセキュリティシステムを導入しており,当院を受診する前までは認証エラーが多かったのが,真武湯を服用するようになってからは調子よく認証されるようになった。静脈認証エラーの原因の一つに,冷えで血管が収縮して血流が低下し,血管パターンが変化することが知られている。そのような血流が低下した状態を,陰証の方剤で温めることによって解消し得ると思われた。
著者
山崎 律子 本多 泰揮 原田 潮 鈴木 裕二 大塚 吉則
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.165-171, 2007 (Released:2010-04-30)
参考文献数
21

PurposeHalf body bathing is popular among young women as well as elderly people. As a matter of fact, it is reported that half body bathing has a smaller burden than whole-body bathing from the point of physical influence. To clarify the relation between bathing habitude and health maintenance, that is, as an approach to general understanding the physiological effects by repeating bathing stimuli, the physiological changes by continuing half body bathing were studied.MethodsHalf body bathing was repeated for 4 weeks in healthy female subjects (N=10, age: 30.1±4.8, height: 160.4±6.1cm, weight: 55.6±7.0kg, body mass index: 20.9±1.6kg/m2, mean±SD).Bathing was performed for 30 minutes and 3times a week, with a level of epigastrium without immersing arms. Changes of blood flow and energy expenditure were measured during bathing at 0W and 4W.Results and DiscussionBy continuing bathing, blood flow increased more rapidly and higher during bathing, in addition, resting energy expenditure increased by 200kcal/day with a significant difference.From these findings, it is assumed that repeated half-body bathing enhances the increase of blood flow through repeating thermal stimuli, which leads to elevated basal metabolism.
著者
渡邊 智 今西 宣行 藤原 敏雄 川崎 義巳 大塚 吉則
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.135-140, 1998 (Released:2010-08-06)
参考文献数
11
被引用文献数
1

In this study, we investigated the effect of bathing with cut crude drugs on thermal preservability, water holding capacity, and smoothness of the feel. After immersion with cut crude drugs of 5min at 41°C, the forearm skin core temperature was significantly higher than after plain water bathing. Water sorption-desorption tests on the skin in vivo with cut crude drug extract for the functional assessment of the stratum corneum revealed that the GARENIAE FRUCTUS extract, all of cut crude drugs extract, and FOENICULI FRUCTUS extract are significantly superior to plain water bathing in water holding capacity.Furthermore, an evaluation using a skin model revealed that cut crude drugs have effects significantly superior to that of plain water bathing in increasing the smoothness of the feel. The above results clarified that bathing with cut crude drugs has a stronger effect on thermal preservability and that their extract increases water holding capacity and smoothness of the feel.
著者
大塚 吉則 藪中 宗之 野呂 浩史 渡部 一郎 阿岸 祐幸
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.827-832, 1994-11-30 (Released:2011-08-04)
参考文献数
16
被引用文献数
1

環境温度のアルドースレダクターゼ (以下ARと略す) 活性値に与える影響を明らかにする目的で, 水温を変化させて健常人を浸漬し, 末梢血中の赤血球を用いて検討した. AR活性の基礎値は健常人で1.11±0.12 (mean±SEM, U/gHb, n=34), 糖尿病患者で2.07±0.14 (n=45) であった (p<0.0001). またAR活性はHbA1と有意の相関があったが (P<0.01), 空腹時血糖値とは相関しなかった.次に水温の影響を検討したところ, 42℃10分間の水浸でAR活性は37.6%増加し (p<0.01), 39℃, 25℃ではそれぞれ52.2%(p<0.01), 47.0%(p<0.05) 減少した.また, 赤血球ソルビトール濃度は42℃において36.0%の増加を示した (p<0.05). これらのことから, 環境温度により糖尿病性合併症は何らかの影響を受ける可能性のあることが示唆された.
著者
金澤 康子 森谷 [キヨシ] 百々瀬 いづみ 古橋 卓 大塚 吉則
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 (ISSN:13464388)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.23-34, 2010-03-31
被引用文献数
1

ストレスを軽減する可能性をもつ食品としてカモミール茶(C茶)およびペパーミント茶(P茶)の午前中の連続摂取効果を検討した。50〜70歳代女性13名を対象に、午前中にC茶またはP茶の摂取実験を行い、その後3週間C茶またはP茶を毎朝食後に自宅で摂取させた後に同じ摂取実験を行った。実験時に前頭部脳波、唾液アミラーゼ活性、および感情状態を測定した。標準化された質問紙MCL S.1で快感情、リラックス感および不安感得点を求めた。α波の増加はその部位のリラックスを示す。C茶を摂取した後、およびP茶の1回目の摂取後に、前頭部α波パワー値が有意に高くなった。快刺激で活性が低下する唾液アミラーゼ活性は、C茶を3週間摂取した後、およびP茶の1回目の摂取後に、活性が有意に低下した。感情状態は、P茶の1回目の摂取でリラックス感が有意に増加した。午前中のC茶の連続摂取は、夕方の摂取と同様、ストレスを軽減する可能性が示唆された。一方、P茶の1回目の摂取はストレス軽減効果を示したが、3週間の連続摂取後では効果が消失した。

1 0 0 0 OA 気候療法

著者
大塚 吉則
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.5-10, 2012 (Released:2012-03-24)
参考文献数
12

日常生活とは異なった気候環境に転地し,病気の治療や保養を行う自然療法を気候療法という.心身に作用する気候要素には,気温・湿度・風・気圧・日光そして森林内環境ではフィトンチッド(芳香性テルペン類)などがある.地形分類上は海岸,森林,平地,高山などがあり,それぞれ特色のある保養地気候を呈している.気候療法には,転地により有害な気候環境から心身を保護する作用と,新しい気候刺激に心身が反応して疾病の治癒や健康増進が促される作用とがある.気候療法の例としては,森林気候を利用した森林浴,山岳・高地気候で,標高差や勾配を利用して歩行運動を行う地形療法,海洋性気候の下で,寒さへの適応と運動を行うタラソテラピーなどが挙げられる.超高齢社会,ストレス社会の現代,気候療法を用いた健康増進,疾病治療などは幅広い適応があるためより一層の利用が望まれ,そのためには気候保養地の整備が必要である.
著者
山崎 律子 本多 泰揮 原田 潮 鈴木 裕二 大塚 吉則
出版者
日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.165-171, 2007-05

Purpose: Half-body bathing is popular among young women as well as elderly people. As a matter of fact, it is reported that half-body bathing has a smaller burden than whole-body bathing from the point of physical influence. To clarify the relation between bathing habitude and health maintenance, that is, as an approach to general understanding the physiological effects by repeating bathing stimuli, the physiological changes by continuing half-body bathing were studied. Methods: Half-body bathing was repeated for 4 weeks in healthy female subjects (N=10, age:30.1±4.8, height:160.4±6.1cm, weight:55.6±7.0kg, body mass index:20.9±1.6kg/m2, mean±SD). Bathing was performed for 30 minutes and 3times a week, with a level of epigastrium without immersing arms. Changes of blood flow and energy expenditure were measured during bathing at 0W and 4W. Results and Discussion: By continuing bathing, blood flow increased more rapidly and higher during bathing, in addition, resting energy expenditure increased by 200 kcal/day with a significant difference. From these findings, it is assumed that repeated half-body bathing enhances the increase of blood flow through repeating thermal stimuli, which leads to elevated basal metabolism.