- 著者
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山岡 政紀
- 出版者
- 創価大学日本語日本文学会
- 雑誌
- 日本語日本文学 (ISSN:09171762)
- 巻号頁・発行日
- no.24, pp.27-39, 2014-03-20
日本語の動詞テイル形の解釈はアスペクトの視点から行われることが多いが,「ああ,腹が立つ」のように人称制限のある主観的感情表現をテイル形に換えると,「彼は腹が立っている」のように人称制限が解消される。このような現象を根拠として,テイル形のより本質的な意味をアスペクトではなくエビデンシャルであるとする主張がなされている。本稿では動詞ル形が持つ発話時への局在性とテイル形が持つ時間幅との意味対立が結果として <感情表出> と <状態描写> という文機能の対立を表していることを論証した。また,「私は腹が立っている」のような第一人称主語で感情表現のテイル文は <状態描写> ではあるがエビデンシャルとは言えないので,それを根拠の一つとしてテイル形の意味はエビデンシャルよりもアスペクトの方がより本質的であることを考察した。