著者
山崎 晋
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.169-175, 1992-08-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
20

アオオサムシ(Carabus insulicola insulicola)を卵期から3齢脱皮まで,T28, T24, T21, LLの4種の光周条件下でそれぞれ飼育し,続く3齢幼虫期の活動リズムを記録・解析した。T24とT21にはすべての個体が同調したが,T28にはすべての個体が同調できなかった。同調様式は,夜行性と昼行性の中間的な特異的活動パターンを示した。T24区では,暗期開始2.6時間から活動を開始し,その活動が明期開始後4.5時間まで続いた。T21区では同様に消灯後4.0時間から点灯後7.0時間まで活動がみられた。両光周条件下において活動時間(α)の暗期中の活動量は低く,間欠的であるのに対し,明期中の活動量は高く,連続的であった。明暗サイクルと活動位相との位相角関係は,環境周期(T)に依存した一定の関係を示し,Tが長くなると前進した。同調しなかったT28区では,半数の個体が26.6h(平均)の周期を示した。この場合,αと明期が一致している間は活動量は増加した。残りの半数では,リズムは不明瞭であった。T21で飼育した3齢幼虫の自由継続周期(τ)は,T24で飼育した幼虫に比べ約1時間短くなった。しかしT28で飼育した幼虫は,T24と有意な差がなかった。
著者
長谷川 博 山崎 晋 幕内 雅敏 水口 公信 平賀 一陽 横川 陽子
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.152-166, 1983

国立がんセンター肝外科グループでは, 麻酔科と協同で肝切除の術前術中後管理のほぼ一定した方式を決めることができた. この方式は, 昭和48年の肝外科独立以来の172例の肝切除の経験において, 術後直接死亡率が肝硬変合併肝癌でも非合併例でも8%前後であり, 術中出血量は最近3,000m<i>l</i>を上廻るものがなくなったという経験的事実で裏付けられている.<br>1. 基本方針: (1) dry side に維持する. (2) Naを toxic ion 的に考える. (3) 尿浸透圧, 尿中電解質濃度とその動きを, 血清電解質よりも重視する (そのためには医師が常時使用できる血液ガス分析装置, Na&bull;K&bull;Cl電極, 浸透圧計が必需品である).<br>2. 術前管理: (1) Idsep で換気訓練を行ない, (2) IVH約1週間で耐糖能を向上させ, (3) 術後の dry side の輸液に腎が耐え得るか否かを濃縮テストで調べる (800mOsm/kg以上).<br>3. 術中管理: (1) 塩酸ケタミン点滴麻酔を加湿回路をつけて行なう. (2) 術中輸液を一律に1号液のみとし, 6m<i>l</i>/kg/h滴下する. (3) 術中乏尿(0.2m<i>l</i>/kg/h程度)には積極的には対処しない. (4) 出血量に対する輸血は, 80%をなま全血, 20%以上を血漿で補う. (5) 肝硬変例では術中から Trasylol 1日10,000単位/kgを点滴し術後5, 6日続行する. (6) 術中高血糖(250mg以上) には Insulin で対処する.<br>4. 術後管理: (1) なま血漿700~1000m<i>l</i>連日点滴をPT値60%まで続行, (2) Ht値を35&plusmn;3%に維持 (45%以上では瀉血), (3) KClを術終了直後から30~40mM/<i>l</i>以上の濃度で補給, (4) ClをモリアミンSで補給 (transfusion alkalosis 予防, O<sub>2</sub>解離曲線考慮), (5) Na<sup>+</sup>はACD液から入るので輸液中には一切加えない, (6) 総輸液量を, 血漿を含めて40m<i>l</i>/kg/dayに統一する(IVHから1m<i>l</i>/kg/h, 血漿&bull;抗生物質の合計0.6~0.9m<i>l</i>/kg/h). (7) ブドー糖0.1&rarr;0.25g/kg/h点滴(1POD以降 dose up), (8) 低Na血症を原則的に補正せず, 120mEq/<i>l</i>までは尿浸透圧>300mOsm/kgである限り輸液の速度を下げるのみ. 3POD以降で尿中Na100~150mEq/<i>l</i>ならば10%NaClを20m<i>l</i>静注, 著効ある時のみ反復. (9) 乏尿には武見処方を静注し, furosemide を原則的に使用せず(Cl利尿~ACD液による相対的Cl不足や予防のために), (10) Heparin 3~4000u/day IVHに混合(細網内皮系賦活, stress ulcer や血栓の予防).<br>かくて肝外科は, 肝実質の「とり過ぎ」をしない限り安全な手術となりつつある.