著者
岩間 彬 青柳 鐘一郎 祖父江 照雄 山崎 毅六
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.713-716, 1966-06

固体ロケットモータにおいては,点火器が燃焼室構造の重要な要素となっている.その幾何学的形状とケース材が燃焼室内のガスに与えるじょう乱の大きさによっては,点火器自身が音響振動を増幅するきっかけをつくり,不安定燃焼に成長する原因となり得る.この研究は,SSR1/4モータ(グレイン100mmφ×560mmL)に,管状点火器とかご型点火器の2種を装備して,地上燃焼実験を行ない,モータの燃焼安定性に主眼をおいて,両者を比較したものである.管状点火器は,軟鋼またはアセチルセルローズ製ケースに肌色火薬とMAK-54を充填したもので,フォアヘッド側自由流路にとび出している.ー方かご型点火器は,フォアヘッド鏡板の外側に取付けられ,着火後,未燃固型物がノズルを通過するおそれは仝くないという特長をもっている.前者は,ノズルスロートを未分解のケース材の一部が通過するとき,燃焼ガスにかなり大きいショックを付与し,燃焼圧カー時間曲線に小スパイクを生じ振動燃焼を起こす場合もある.これに対し,後者はこのようなトラブルがなく,モータの燃焼安定性を高めている.資料番号: SA0124890000
著者
山崎 毅六 三井 光
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.417-422, 1958-07-20 (Released:2011-10-21)

反応室において天然ガスを酸素により部分酸化して, いおゆる合成用ガスを得る方法は一般に知られている。ところが, この反応が内燃機関の燃燒室を反応器として利用して進めた場合にどうなるかに興味をもち, 生成ガス組成, 燃燒温度, 排気温度, 熱効率および機関出力を算出して4サイクルのオットー機関による天然ガス変成の可能性を検討した。天然ガスはほとんどメタンであると考えられるので, 純メタンおよび純酸素が反応して, 炭素ガス, 一酸化炭素, 水蒸気, および水素を生成し, さらに未反応のメタンおよび酸素が生成ガス中に存在するものとし, 物質収支, 熱収支および生成ガス成分間の平衡関係から, 燃燒時および排気時のガス組成, ガス温度, 熱効率および機関出力を計算によつて求めた。種々の混合比について計算した結果, 天然ガスの燃燒範囲の上限界附近において反応させることにより, 4サイクル機関を燃燒反応を利用した反応器として, 有効ガス (CO+H2) 86~88%, H2/CO 1.8のすぐれた組成の合成用ガスを生成すると共に, 熱効率6.5~7.0%ではあるが, 原料メタン1Nm3当り0.65~0.70kWhの動力を直接回収でぎることが推定された。近ごろ, 天然ガスを水蒸気あるいは酸素により変成して, アンモニア, メタノールなどの合成用ガスを製造する研究が盛んに行なわれ, すでに工業化されたものも多い。4サイクルのオットー機関中で天然ガスを酸素により部分酸化して, 水素と一酸化炭素を含むいわゆる合成用ガスを製造すると同時に, その反応熱を直接動力として回収する研究があるけれども, 著者らはこの方法を応用する場合の燃燒温度, 排気温度, 熱効率, 出力および生成ガス組成などをすでに報告した各種燃料化合物のシリンダ内における燃燒温度計算の手法を用いて算出し, すぐれた組成の合成用ガスを生成させながら, 直接に動力を回収しうることを計算値によつてたしかめた。
著者
山崎 毅六
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.2-11, 1960-01-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
4

ロケット推進剤としては化学エネルギ, 核エネルギおよび太陽エネルギを利用するものが考えられるが, 本報では主として化学エネルギによる推進剤について解説した。まず, ロケットの基本原理によれば大きな比推力を得るには燃焼生成物の温度が高く平均分子量がなるべく小さいことが要求される。このため燃料成分としてはH, Li, Be, Bなどの元素から成る化合物, 酸化剤としては0およびFの化合物が適している。この中, Beなどは資源酌ならびにその他の制約があるので, 現在の水準ではBの水素化物が注目されている。しかし, たとえばB10H14などはBの毒性が強いという欠点があるので, Bの水素化物の水素をアルキル基で置換したものが脚光を浴びることになろう。さらに本報で略衝推進剤の基本的性質, 分子量と温度の限界誰進剤とし腰求される液体ならびに固体推進剤の共通性質, 固体および液体推進剤の具体的な例などについて述べている。