著者
見上 葉子 高木 優子 宮川 弘之 山嶋 裕季子 坂牧 成恵 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.12-19, 2022-02-25 (Released:2022-03-10)
参考文献数
16
被引用文献数
3

食品添加物であるジブチルヒドロキシトルエン(BHT),ブチルヒドロキシアニソール(BHA)およびtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)のHPLC分析条件について検討した.内径2.1 mmのカラムを用い,タイムプログラムを使用し各至適蛍光波長に切り替えることにより,25分間で一斉分析が可能となった.蛍光検出をUV検出と併用することにより選択性が向上し,夾雑ピークの影響を大幅に改善できた.また,ガス供給不足に対応するため,GC-MSによる確認法の代替としてLC-MS/MSによる確認法を作成した.さらに,上記3化合物標準溶液の長期安定性について検討した.その結果,0.1%アスコルビン含有メタノールを用い−20℃の条件で,TBHQは約1年間保存が可能となったが,BHT, BHAは著しく減少する場合があった.BHA, BHT混合標準溶液の場合は,メタノール溶液で4℃,BHA, BHT, TBHQ混合標準溶液は0.1%アスコルビン酸含有メタノール溶液で−20℃としたときいずれも約1年間安定であることを確認した.
著者
佐々木 隆宏 田原 正一 豊原 律子 森川 麻里 坂牧 成恵 貞升 友紀 牛山 慶子 山嶋 裕季子 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.229-234, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
8
被引用文献数
2

第2版食品中の食品添加物分析法の方法(2版法)において,チーズでは抽出液が懸濁する場合,固形物が浮遊して定容が困難な場合,夾雑成分によりHPLC-UV分析が困難な場合がある.清酒では,共沈操作が不要と考えた.そこで,チーズについては抽出液の懸濁の原因となる水酸化ナトリウム溶液の添加量を減らし,固形物を除くため吸引ろ過後に定容する方法を確立した.清酒については,希釈後,遠心分離する方法とした.また,カーボンモレキュラーシーブが充てんされたカートリッジによる固相抽出法も開発した.添加回収試験(n=5)では,91.3~99.6%(CV 0.9~4.5%)と平均回収率および併行精度が良好であり,チーズで0.010~0.20 g/kg,乳で0.010~0.20 g/L,清酒で0.010~0.10 g/kgの範囲に適用可能であった.本法は2版法の問題を解消し,操作が効率的である点で有用な分析法と考えられた.
著者
宮川 弘之 杉木 幹雄 田原 正一 山本 純代 山嶋 裕季子 植松 洋子 門間 公夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.213-219, 2018-10-25 (Released:2018-11-14)
参考文献数
11

LC-MS/MSを用いた加工食品中のステビア甘味料のスクリーニング分析法について検討した.試料中のステビア甘味料を透析抽出後,抽出液を水で希釈してLC-MS/MSにより測定した.本法を用い,5種類の加工食品にステビオシド,レバウジオシドAを各10 mg/kg,また,酵素処理ステビアを100 mg/kgになるように添加し回収試験を行った.その結果,いずれの食品においても添加量に相当する濃度の各ステビア甘味料溶液と同等のピーク高さのクロマトグラムが得られ,妨害ピークは観察されなかった.本法を用いてステビア表示がある市販加工食品36製品を分析したところ,すべての製品からステビオシド,レバウジオシドA,酵素処理ステビアのうち1種類以上が検出され,33製品からステビオシドを,33製品からレバウジオシドAを,11製品から酵素処理ステビアを確認することができた.また,ステビア抽出物と酵素処理ステビアを併用したと思われるものが5製品確認された.
著者
大須賀 愛幸 植松 洋子 山嶋 裕季子 田原 正一 宮川 弘之 高梨 麻由 門間 公夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.73-79, 2018-04-25 (Released:2018-04-25)
参考文献数
12

高タンパク食品中の酸性タール色素分析法について,回収率に優れ,かつ簡便で迅速な試験法を作成した.試薬量等のスケールダウンを行い,さらにポリアミド (PA) カラムに負荷する液の調製法として,溶媒留去の替わりに抽出液を水で希釈し有機溶媒濃度を下げ,色素をPAカラムに保持させることにより,操作の簡便化および迅速化を達成した.またPAカラムで色素を精製する際,負荷する液のpHを汎用されるpH 3~4からpH 8.5にすることで,高タンパク食品における,キサンテン系色素の回収率が大きく向上した.高タンパク食品の中でも特に酸性タール色素の分析が困難とされてきた辛子明太子での11種類の色素の回収率はpH 8.5で精製することで63~101%となり,pH 3.5での精製(回収率18~95%)に比べ大幅な改善が認められた(5 μg/g添加).
著者
小林 千種 中里 光男 山嶋 裕季子 大野 郁子 河野 美幸 安田 和男
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.139-143, 2001-04-25 (Released:2009-03-25)
参考文献数
6
被引用文献数
13 15

RI-HPLC及びパルスドアンペロメトリック検出イオンクロマトグラフィー(PAD-IC)による広範囲の食品に適応可能なスクラロースの分析法を作成した.試料に 10% NaCl 含有 0.01 mol/L HCl を混和して透析膜に充てんし,0.01 mol/L HCl を透析外液として用い,24時間透析を行った.透析外液を Bond Elut ENV カートリッジに負荷して濃縮及びクリーンアップを行い,試験溶液を作製した.従来の前処理方法と比較して夾雑物の影響がなく,RI-HPLC及びPAD-ICの両分析法に適用することができた.両分析法のスクラロースの定量値はほぼ一致した.試料からの添加回収率は 88% 以上得られ,定量下限は前者で10 μg/g,後者で1 μg/g であった.