著者
宮川 弘之 藤沼 賢司 鎌田 国広
出版者
特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会
雑誌
化学生物総合管理 (ISSN:13499041)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.32-38, 2009 (Released:2009-09-16)
参考文献数
12

ビール中のホルムアルデヒドのGC/MSによる分析法を検討し、市販のビール中のホルムアルデヒドを測定した。試料中のホルムアルデヒドをPFBOAにより誘導体化し、n-ヘキサンで液液分配抽出後、GC/MSにより測定した。検出限界は0.009μg/mL、定量限界は0.030μg/mLであった。本法を用いて市販の外国産ビール、国産ビールおよび国産発泡酒類計23品目を分析したところ、1品目から0.032μg/mL、7品目から痕跡量のホルムアルデヒドが検出された。今回ビール類から検出されたホルムアルデヒドの量は、健康に影響を及ぼす量ではないと考えられた。
著者
見上 葉子 高木 優子 宮川 弘之 山嶋 裕季子 坂牧 成恵 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.12-19, 2022-02-25 (Released:2022-03-10)
参考文献数
16
被引用文献数
3

食品添加物であるジブチルヒドロキシトルエン(BHT),ブチルヒドロキシアニソール(BHA)およびtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)のHPLC分析条件について検討した.内径2.1 mmのカラムを用い,タイムプログラムを使用し各至適蛍光波長に切り替えることにより,25分間で一斉分析が可能となった.蛍光検出をUV検出と併用することにより選択性が向上し,夾雑ピークの影響を大幅に改善できた.また,ガス供給不足に対応するため,GC-MSによる確認法の代替としてLC-MS/MSによる確認法を作成した.さらに,上記3化合物標準溶液の長期安定性について検討した.その結果,0.1%アスコルビン含有メタノールを用い−20℃の条件で,TBHQは約1年間保存が可能となったが,BHT, BHAは著しく減少する場合があった.BHA, BHT混合標準溶液の場合は,メタノール溶液で4℃,BHA, BHT, TBHQ混合標準溶液は0.1%アスコルビン酸含有メタノール溶液で−20℃としたときいずれも約1年間安定であることを確認した.
著者
宮川 弘之 杉木 幹雄 田原 正一 山本 純代 山嶋 裕季子 植松 洋子 門間 公夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.213-219, 2018-10-25 (Released:2018-11-14)
参考文献数
11

LC-MS/MSを用いた加工食品中のステビア甘味料のスクリーニング分析法について検討した.試料中のステビア甘味料を透析抽出後,抽出液を水で希釈してLC-MS/MSにより測定した.本法を用い,5種類の加工食品にステビオシド,レバウジオシドAを各10 mg/kg,また,酵素処理ステビアを100 mg/kgになるように添加し回収試験を行った.その結果,いずれの食品においても添加量に相当する濃度の各ステビア甘味料溶液と同等のピーク高さのクロマトグラムが得られ,妨害ピークは観察されなかった.本法を用いてステビア表示がある市販加工食品36製品を分析したところ,すべての製品からステビオシド,レバウジオシドA,酵素処理ステビアのうち1種類以上が検出され,33製品からステビオシドを,33製品からレバウジオシドAを,11製品から酵素処理ステビアを確認することができた.また,ステビア抽出物と酵素処理ステビアを併用したと思われるものが5製品確認された.
著者
大須賀 愛幸 植松 洋子 山嶋 裕季子 田原 正一 宮川 弘之 高梨 麻由 門間 公夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.73-79, 2018-04-25 (Released:2018-04-25)
参考文献数
12

高タンパク食品中の酸性タール色素分析法について,回収率に優れ,かつ簡便で迅速な試験法を作成した.試薬量等のスケールダウンを行い,さらにポリアミド (PA) カラムに負荷する液の調製法として,溶媒留去の替わりに抽出液を水で希釈し有機溶媒濃度を下げ,色素をPAカラムに保持させることにより,操作の簡便化および迅速化を達成した.またPAカラムで色素を精製する際,負荷する液のpHを汎用されるpH 3~4からpH 8.5にすることで,高タンパク食品における,キサンテン系色素の回収率が大きく向上した.高タンパク食品の中でも特に酸性タール色素の分析が困難とされてきた辛子明太子での11種類の色素の回収率はpH 8.5で精製することで63~101%となり,pH 3.5での精製(回収率18~95%)に比べ大幅な改善が認められた(5 μg/g添加).