著者
佐々木 隆宏 田原 正一 豊原 律子 森川 麻里 坂牧 成恵 貞升 友紀 牛山 慶子 山嶋 裕季子 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.229-234, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
8
被引用文献数
2

第2版食品中の食品添加物分析法の方法(2版法)において,チーズでは抽出液が懸濁する場合,固形物が浮遊して定容が困難な場合,夾雑成分によりHPLC-UV分析が困難な場合がある.清酒では,共沈操作が不要と考えた.そこで,チーズについては抽出液の懸濁の原因となる水酸化ナトリウム溶液の添加量を減らし,固形物を除くため吸引ろ過後に定容する方法を確立した.清酒については,希釈後,遠心分離する方法とした.また,カーボンモレキュラーシーブが充てんされたカートリッジによる固相抽出法も開発した.添加回収試験(n=5)では,91.3~99.6%(CV 0.9~4.5%)と平均回収率および併行精度が良好であり,チーズで0.010~0.20 g/kg,乳で0.010~0.20 g/L,清酒で0.010~0.10 g/kgの範囲に適用可能であった.本法は2版法の問題を解消し,操作が効率的である点で有用な分析法と考えられた.
著者
佐々木 隆宏 田原 正一 坂牧 成恵 貞升 友紀 牛山 慶子 門間 公夫 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.176-182, 2019-12-25 (Released:2020-01-23)
参考文献数
9
被引用文献数
1

既存の透析法および直接抽出法を用いてチューインガム中の3種甘味料の定量値を比較したところ,透析法では直接抽出法に比べ,一部の製品でアスパルテームの定量値が顕著に低値であった.一方,直接抽出法はガムベースが器具に付着する点で操作が煩雑であった.そこで,ガムベースを透析チューブ内にとどめたまま抽出が完了可能な透析法の条件を変更し,定量値が改善可能か試みた.その結果,透析液に60%メタノールを用いて室温で24時間,または恒温振とう水槽中(50℃)で2時間透析する方法を開発した.本法は,3種甘味料のいずれも直接抽出法と同程度の良好な値を得ることが可能であった.
著者
武森 真由美 坂牧 成恵 貞升 友紀 植松 洋子 門間 公夫 新藤 哲也 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.99-105, 2018
被引用文献数
1

<p>HPLCおよびLC-MS/MSを用いた食品中のエリスリトール,マルチトール,ラクチトールおよびトレハロースの分析法を開発した.HPLC分析では,アミノ基結合型ポリマーカラムを用い,カラム温度を室温とすることで定量することが可能になった.LC-MS/MSでは,SRMモードにより定量・確認を行うことができた.また,試験溶液を1,000倍以上に希釈することで,試料由来のマトリックスによる影響を抑えられた.紅茶飲料,ゼリー,ラムネ菓子およびチョコレートを用いた添加回収試験の結果,回収率はいずれもHPLCで90%以上(CV≦6.1%),LC-MS/MSで94%以上(CV≦4.8%)であった.クッキーについては,まず水で抽出してからエタノールを加えることで,HPLCで回収率83%以上(CV≦4.1%),LC-MS/MSで回収率90%以上(CV≦3.0%)と良好な結果が得られた.</p>
著者
武森 真由美 坂牧 成恵 貞升 友紀 植松 洋子 門間 公夫 新藤 哲也 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.99-105, 2018-06-25 (Released:2018-07-21)
参考文献数
7
被引用文献数
1

HPLCおよびLC-MS/MSを用いた食品中のエリスリトール,マルチトール,ラクチトールおよびトレハロースの分析法を開発した.HPLC分析では,アミノ基結合型ポリマーカラムを用い,カラム温度を室温とすることで定量することが可能になった.LC-MS/MSでは,SRMモードにより定量・確認を行うことができた.また,試験溶液を1,000倍以上に希釈することで,試料由来のマトリックスによる影響を抑えられた.紅茶飲料,ゼリー,ラムネ菓子およびチョコレートを用いた添加回収試験の結果,回収率はいずれもHPLCで90%以上(CV≦6.1%),LC-MS/MSで94%以上(CV≦4.8%)であった.クッキーについては,まず水で抽出してからエタノールを加えることで,HPLCで回収率83%以上(CV≦4.1%),LC-MS/MSで回収率90%以上(CV≦3.0%)と良好な結果が得られた.
著者
平田 恵子 島村 保洋 鈴木 敬子 貞升 友紀 伊藤 弘一
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.263-269, 2005-12-25
参考文献数
9
被引用文献数
3

食品添加物酵素処理ステビアの成分分析法を開発した.分析条件を設定するため,まずグルコアミラーゼを用いて付加糖の加水分解条件を検討したところ,反応温度および時間は55℃,3時間,グルコアミラーゼ量は反応溶液10mL中250 Uが適切な条件であった.C18カートリッジカラムによる固相抽出法で試料から多糖類などの除去を行い,さらに加水分解して得られた配糖体および遊離糖をC18カートリッジカラムで分離し,それぞれの含有量をHPLCにより測定した.本法により,3試料を分析したところ付加糖としてグルコースが検出され,その含有量は25~42% であり,未反応配糖体含有量を除いた配糖体総含有量は35.7~52.5% であった.両含有量を合計した酵素処理ステビア成分含量は77.5~80.4% で,回収率(C18カートリッジカラム処理後の試料量を100としたとき)はすべて85% 以上であった.また,糖量に係数(×0.9)を乗じさらに乾燥物換算して得られた成分含量値は,すべての試料で80.0% 以上であり,日本食品添加物協会の規格値を満たした.