著者
桐田 忠昭 山川 延宏 上田 順宏 柳生 貴裕 上山 善弘 今田 光彦 今井 裕一郎
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.41-48, 2015-09-15 (Released:2015-10-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1

われわれは,腫瘍切除後の下顎再建法の選択について,1997年1月から2012年12月までの症例と特に下顎区域切除後に腓骨皮弁で再建した症例については,1987年7月から2012年12月までの症例について検討を行った。われわれの下顎切除後の下顎再建についての再建方針は,以下の通りである。1.腫瘍の進展が軟組織進展が主で下顎骨欠損が骨高径の1/4~1/3未満で残存骨高径が少なくとも15mm以上と予想される場合は,歯槽骨再建,軟組織再建ともになし,もしくは軟組織再建のみ。2.欠損が下顎骨高径1/3以上1/2未満または残存骨高径が10mm以上15mm未満と予想される場合は,(半側)腓骨または半側橈骨付き前腕皮弁による歯槽骨再建と軟組織再建。3.欠損が1/2以上または残存骨高径が10mm未満または区域切除となる場合は,腓骨皮弁による歯槽骨再建と軟組織再建を行う。症例数は,それぞれ77症例および47症例についてであり,腫瘍切除後の下顎再建におけるわれわれの再建方針と再建法の選択について,その妥当性を検討した。
著者
上田 順宏 今井 裕一郎 後藤 安宣 青木 久美子 山川 延宏 井上 聡己 山本 一彦 川口 昌彦 桐田 忠昭
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.37-44, 2014-06-15 (Released:2014-07-25)
参考文献数
28

本研究の目的は,術後の消化管運動と栄養状態に対する大建中湯(DKT)の効果について検討することである。2008年3月から2013年5月の間に,進行口腔癌の切除後に生じる欠損部に対して遊離組織移植による即時再建術を施行した40例を対象とした。20例には術翌日からDKT 15g/dを投与した。他の20例はDKTを投与しない対照群とした。消化管機能として腸蠕動音,排ガスおよび排便の確認時期,経腸栄養(EN)の開始時期,術後2週の体重減少量および体重減少率について後向きに検討した。その結果,腸蠕動音(p<0.001),排ガス(p<0.005),ENの開始(p<0.01),排便(p<0.005)はDKT投与群で早期に確認された。また,術後2週の体重変化量(p<0.05),体重変化率(p<0.05)ともDKT投与群で有意に抑えられていた。術前化学放射線療法や手術侵襲は,これらの指標に影響を及ぼさなかった。以上の結果より,DKTは進行口腔癌患者における遊離組織移植による再建術後の消化管機能の改善と体重の維持に有用であることが示唆された。