著者
下村 忠弘 山本 一彦 栗原 都 柳生 貴裕 高野 梨沙 桐田 忠昭
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.600-603, 2012-10-20 (Released:2014-11-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2

A case of sting wounds of the oral mucosa caused by spermatophores of a raw squid is reported. The patient was a 61-year-old woman. She noticed pain of the oral mucosa immediately after eating part of a raw squid. Several milky white, club-shaped foreign bodies measuring 3 to 5 mm were stuck in the tongue, buccal mucosa, and floor of the mouth. These were not mobile and were hard to remove. The clinical diagnosis was sting wounds of the oral mucosa caused by spermatophores of a squid. These foreign bodies were excised together with the surrounding tissue under local anesthesia. Wound healing was uneventful. Histologically, the foreign bodies contained numerous spermatozoa and were identified as spermatothecae, which were ejected from the spermatophores of a raw squid.
著者
澁谷 美穂子 藤尾 圭志 山本 一彦
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.281-285, 2013-12-30 (Released:2015-06-30)
参考文献数
11

目的:自己免疫疾患における自己免疫寛容破綻のメカニズムを解析する. 方法:コラーゲン誘発性関節炎を用いて,所属リンパ節で増殖するCD4陽性T細胞を単一細胞レベルで解析した.また,抗原特異性の判明している2種類のT細胞受容体(T cell receptor: TCR)トランスジェニックマウスのCD4陽性T細胞とその特異抗原を用いた実験系(拡張抗原刺激モデル)を構築し,抗原濃度を種々に変化させてT細胞の解析を行った. 結果:Ⅱ型コラーゲン存在下に増殖するクローンを複数認め,分化した表現型を示したクローンのTCRを再構築したが,再構築したTCRをもつT細胞にはⅡ型コラーゲン特異性は認められなかった.しかしⅡ型コラーゲン特異的なT細胞存在下に共培養すると,増殖反応を認めた.拡張抗原刺激モデルを用いた実験では抗原Xが大量に存在しそのXに特異的なT細胞が十分に増殖する条件下で,ごく少量しか存在しない抗原Yに依存してY特異的なT細胞が活性化する現象を観察した.抗原X以外の抗原Yによる刺激に依存性が高い点で,従来のbystander activationとは異なる新しい活性化様式と考えた.3種類のT細胞を共培養する実験系でも,特異抗原の存在しないT細胞はまったく分裂せず,抗原特異的な刺激が重要であることが示された. 結論:免疫反応を惹起した抗原Xとは異なる抗原Yに対する免疫反応が確認され,自己免疫病態において観察されるエピトープスプレディングの基盤現象である可能性が考えられた.
著者
岩崎 由希子 藤尾 圭志 岡村 僚久 柳井 敦 山本 一彦
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.40-46, 2013 (Released:2013-02-28)
参考文献数
33
被引用文献数
2 2

IL-10は炎症・自己免疫応答を抑制するサイトカインとして知られており,近年報告が相次いでいる誘導性制御性T細胞(Treg)の抑制能の一端を担うサイトカインとしても重要である.Type1 regulatory T (Tr1)細胞は,IL-10産生を特徴とするIL-10産生制御性T細胞の中でも代表的なものである.Tr1を特徴づける細胞表面マーカーや分化誘導機構については未解明の部分も多いが,近年IL-27がT細胞にIL-10産生を誘導し,Tr1を誘導し得るサイトカインとして注目されてきている.また,既に我々が報告しているCD4+CD25−lymphocyte activation gene (LAG-3)+ Treg(以下LAG3+ Treg)は末梢で誘導されるTregであり,やはりIL-10がその制御活性に重要である.LAG3+ Tregにおいて,T細胞にanergyを誘導する働きをもつ転写因子Egr-2の発現亢進が確認され,Egr-2のCD4+ T細胞への強制発現によりLAG-3発現およびIL-10産生が付与されることを我々は見出しており.Egr-2がLAG3+ Tregの抑制能付与において重要な働きをする可能性が示唆されている.本稿では,Tr1およびIL-27誘導性IL-10産生に関する知見について概説し,LAG3+ Tregについて紹介すると共に,自己免疫疾患の新規治療応用への可能性について考察する.
著者
山本 一彦
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第42回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.EL3, 2015 (Released:2015-08-03)

生体は自己の抗原とは反応しないという、免疫寛容のシステムを有しているが、これが破綻すると自己免疫現象、自己免疫疾患が惹起される。免疫寛容の破綻の詳細は明らかでないが、1)隔絶抗原の免疫系への提示、2)分子相同性、3)自己の抗原の修飾、4)樹状細胞の活性化、5)制御性T細胞の機能障害など、様々なメカニズムが考えられている。そしてこれらのメカニズムの背景には、遺伝要因と環境要因が複雑に影響しあっているとされている。本講演では、自己免疫疾患の一つである関節リウマチ(rheumatoid arthritis, RA)を例にとり、その免疫寛容の破綻について考察したい。RAは、自己免疫応答に起因する慢性炎症性病態が複数の関節に生じて、進行性の破壊性関節炎にいたる病態である。RAの発症に遺伝的な背景があることは、疾患の多発家系が存在すること、一卵性双生児における発症の一致率が高いことなどから示唆される。遺伝要因の最大のものはHLA-DR遺伝子であり、遺伝要因の10-30%を説明可能とされている。それ以外の遺伝要因として最近のゲノムワイド関連解析で約100程度の遺伝子多型が明らかになっている。環境要因としては、性ホルモンや喫煙、感染などが挙げられているが、最近では喫煙がもっとも注目されている。RAにおけるもっとも特異性の高い自己抗体は抗シトルリン化蛋白抗体(ACPA)である。ACPAは発症前から認められることが多いので、シトルリン化蛋白に対するトレランスの破綻が発症前より起こっていると考えられている。環境因子である喫煙との相互作用に関して、喫煙者の気管支肺胞洗浄液ではシトルリン化酵素(PAD、遺伝子はPADI)の発現とシトルリン化蛋白の増加が見られることから、喫煙がシトルリン化された自己抗原に対する免疫応答を誘導している可能性が示唆されている。HLA遺伝子多型、PADI遺伝子多型と、免疫寛容の破綻についても考察したい。
著者
粕谷 大智 山本 一彦 戸島 均 坂井 友実
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.32-42, 2002-02-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
29
被引用文献数
1 4

末梢性顔面神経麻痺に対する鍼治療の効果を検討するため、日本顔面神経研究会治療効果判定委員会の提唱する基準に基づき、対象の選択を発症して2~3週間以内の新鮮例で, 電気生理学的検査 (Electroneurography : ENoG) による神経変性の程度を診断した上で、顔面運動スコアを用いて、薬物療法と鍼治療の比較、また薬物療法に鍼治療を併用した際の薬物単独療法との回復の違い等について111例の症例に対しretrospective study により治療効果を検討した。その結果、 (1) 鍼治療と薬物療法の回復の比較では、ENoG値41%以上の群で鍼単独療法群はステロイド経口投与療法群と比べ有意に麻痺の回復が劣った。 (2) ENoG値21%以上の群でステロイド経口投与療法群と鍼併用群群では特に有意差は認められず、鍼を併用しても薬物療法単独群と比べ麻痺の回復は変わらなかった。 (3) ENoG値1~20%の群ではステロイド大量投与群とステロイド大量投与に鍼治療を併用した群と比べると回復に有意差は認められず、ステロイド大量投与群とステロイド大量投与に鍼治療を併用した群と比べると、ステロイド経口投与に鍼治療を併用した群は明らかに回復が劣った。 (4) 薬物療法単独群と鍼治療を併用した群において、特に鍼を併用することで回復を早めるといった効果は認められないが、逆に回復を遅延させるといった逆効果も認められなかった。以上より、急性期末梢性顔面神経麻痺に対する治療は、発症して7日以内に適切な治療が求められており、鍼治療よりもステロイドなどの薬物療法が第一選択として重要であると考える。
著者
露木 基勝 大儀 和彦 今井 裕一郎 青木 久美子 山本 一彦 桐田 忠昭
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.430-434, 2007-07-20 (Released:2011-04-22)
参考文献数
31
被引用文献数
1

An odontoma is an odontogenic, tumor composed of enamel, dentine, and cementum, commonly less than 30 mm in diameter. We describe a large compound odontoma arising in the left anterior region of the mandible.A 16-year-old boy was referred by an orthopedist to our hospital for evaluation of a radiopaque lesion in the left side of the mandible. Clinical examination revealed a bony-hard swelling in the left anterior region of the mandible at presentation. The left mandibular canine and lateral incisor were not erupted. Radiographic and CT examinations showed a large, circumscribed, radiopaque lesion, measuring 30×40×28mm and surrounded by a thin radiolucent area accompanied by two impacted teeth. There were many small tooth-like structures within the lesion. The clinical diagnosis was odontoma. The tumor and the impacted teeth were surgically removed by an intraoral approach under general anesthesia. The tumor was covered by a thin capsule and consisted of 321 small tooth-like structures. The histopathological diagnosis was a compound odontoma. The clinical course has been uneventful for 4 years 3 months after surgery.
著者
村上 和宏 山本 一彦 杉浦 勉 井上 智裕 嶌岡 英起 桐田 忠昭
出版者
Japanese Society of Oral Medicine
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.70-75, 2005-12-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

口蓋に生じた壊死性唾液腺化生の2例について報告する。症例1は, 患者29歳の女性, 主訴は右側口蓋部の腫脹および潰瘍形成。症例2は, 26歳の女性, 主訴は左側口蓋部から頬部にいたる自発痛。2例とも, 生検を行い, 壊死性唾液腺化生の確定診断にいたった。両症例ともに, 抗生剤と消炎鎮痛薬の投与で経過観察を行った。病変は自然治癒し, その後の再発は認めなかった。
著者
高地 雄太 山本 一彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.150-155, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

膠原病・リウマチ性疾患の多くは,環境・遺伝因子によって発症する多因子疾患である.従来より,HLA遺伝子多型と各疾患の感受性との関連が知られていたが,近年,ゲノム全体を探索対象とするゲノムワイド関連解析が可能となったことにより,非HLA遺伝因子の解明が急速になされつつある.これらの疾患には,PTPN22,TNFAIP3,CTLA4などの共通遺伝因子が存在する一方で,関節リウマチにおけるPADI4遺伝子のように,疾患特異的な遺伝因子も存在する.したがって,これらの遺伝因子の組み合わせによって,個人における各疾患への感受性が規定されているものと考えられる.また,遺伝因子を複合的に解析することによって,個人の病態予測・治療反応性予測にも応用されることが期待されるが,遺伝因子には少なからず人種差が存在するため,今後,日本人における全貌を明らかにする必要がある.
著者
立石 晶子 山本 一彦
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.251-255, 2002-06-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
27

本来, 自己の抗原に対して応答しない (免疫学的寛容) という原則に基づき, 免疫系は成り立っている. この免疫学的寛容に破綻をきたし, 自己の抗原に反応し, さまざまな組織障害や代謝機能異常を引き起こすのが自己免疫疾患である. 自己免疫疾患の発症のメカニズムは明らかにされていないが, 一つの機序としてウイルスや細菌などの微生物感染による自己免疫反応の発現, さらには自己免疫疾患への進展の可能性が以前より想定されている. そのメカニズムとして微生物感染による組織障害が隔絶抗原の露出を引き起こし免疫系へ提示されるという機序や, スーパーアンチゲンによる自己反応性T細胞の活性化, また感染に伴う炎症性サイトカインによる自己反応性T細胞の活性化 (By-stander activation) などがあり, molecular mimicry (分子相同性) もその一つである. (表1)molecular mimicry とは, 本来無関係である感染微生物抗原と宿主抗原の間に一次構造, あるいは高次構造の類似性が存在することをいう. これにより両者の間に免疫学的に交差反応が生じ, 自己抗原に対して抗体が産生されたり, T細胞を介した免疫応答による自己組織の障害が生じ, 自己免疫反応が生じると考えられる. 一方で molecular mimicry とは関係なく微生物感染では多くの場合, 副刺激分子 (costimulatory molecular) の発現の増強やプロフェッショナル抗原提示細胞上の主要組織適合遺伝子複合体 (major histocompatibility complex: MHC) 発現の増強, また末梢からリンパ組織への樹状細胞のリクルートなどにより, T細胞活性は増強される. さらに実験的に組織にサイトカインを強制発現させることで微生物の感染なく自己免疫疾患を発症させることが可能であったり, 微生物の molecular mimicry による特異的自己反応性T細胞の活性化の必要なく, 慢性感染による組織障害や自己抗原の放出で自己免疫疾患を引き起こすとも言われている. 本稿では, 自己免疫疾患における molecular mimicry の関与について最近の知見を交えて概説する.
著者
山本 一彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.10, pp.2380-2386, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10

関節リウマチ(RA)は早期より関節破壊が進むこと,早期の治療開始がそれを抑止しうることなどから,早期の診断が重要である.しかし,診断の基本であるアメリカリウマチ学会の分類基準は早期における感度が高くない.鑑別すべき疾患は多くあり,臨床所見,血清学的検査,画像所見を組み合わせ,関節破壊の進行が予想される症例を把握する必要がある.治療開始後も,治療効果,副作用の有無を定期的にチェックし,治療薬の継続,変更を常に考慮し,治療の目標である寛解を目指すことが求められる.
著者
粕谷 大智 沢田 哲治 磯部 秀之 赤尾 清剛 吉川 信 高田 久実子 山口 智 小俣 浩 山本 一彦
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.193-202, 2005 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8
被引用文献数
2

(はじめに) 我々は関節リウマチに対する鍼灸治療の有効性と有用性および安全性を、外来にて薬物療法を行っている群を対照とした多施設ランダム化比較試験により検討した。(方法) 鍼灸臨床研究において重要な endpoint (評価項目) は、1. ACRコアセット (アメリカリウマチ学会提唱の活動性指標) による改善基準と、2. RAのQOL評価法であるAIMS-2日本語版を用い、介入 (治療法) については、関節リウマチの病期別に患者の活動性や機能障害を考慮しながら局所と全身の治療を行えるように病期別治療法チャートを作成し、患者の病態に応じて統一した治療法にした。(結果)1. 症例の収集についてはA群 (薬物療法群) 80例 (女性80例、男性2例、うち2例脱落)、B群 (鍼灸治療併用群) 90例 (女性90例、男性6例、うち6例脱落) の計170例が解析の対象となった。2. ACRコアセット改善基準を満たしている症例 (改善例) は、A群80例中8例、B群90例中20例で、2×2カイ二乗検定よりP=0.04で両群間において有意差を認め、鍼灸併用群の方が有意に改善を示した。3. AIMS-2質問紙によるQ0L変化: 12ケ月時点で両群間でP=0.001と有意差を認め、鍼灸併用群の方が有意に改善を認めた。4. AIMS-2質問紙の各項目の変化: 両群間で有意に鍼灸併用群に改善を認めた項目は歩行能、手指機能、家事、社交、痛み、気分、自覚改善度であった。(結語) 今回、多施設ランダム化比較試験において鍼灸併用群で上述の項目において有意に改善を認めたことは、従来の治療に鍼灸治療を併用することで身体機能低下を予防し、血行改善や精神的安定も得られ、関節リウマチ患者のQOL向上に寄与することが示唆された。
著者
山本 一彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.305-307, 1991

明治4年の廃藩置県, の時、現在の愛知県の区域は13の県に分かれており、旧藩の形態がなお残っていたが、明治5年になって名古屋県が額田県を吸収してようやく愛知県の原形が成立した。県の土木行政が実動しはじめるまでには更に数年を要したと見られる。明治8年には全国的に大巾な人事移動が行なわれ、当愛知県でも国貞廉平という人物が参事(現在の副知事)として名東県(現香川県)から転出してきた。彼は後に愛知県令(現知事)になるのであるがこの年同県から一人の若い土木技術者をスカウトしてきだ。名を黒川治悪(以下治愿という), といい、以後明治18年まで愛知県につとめた。わずか10年間ではあったが県令に昇進した国貞廉平の下で治愿は愛知県下の土木工事に多くの実績上げた。治愿の業績は「名古屋市史・人物編」始め県下のいくつかの市町村誌等に述べられているが、彼の足跡を知るうえで非常にユニークな情報源は現地に残る石碑である。彼の名とともに係った土木工事のことを刻んである石碑は広く県下19ケ所に現存している。その分布は岡崎市5、春日井市4、名古屋市・西尾市・犬山市各2、安城市・幸田町・弥富町・立田村各1である。建碑年は明治13年から大正8年に渡っており、文献上でしが確言忍できなかった1個を除き企て硯地で確認できた。多くは治水碑であり、中には頭部の欠落したものや台座が流失したとみられるものもあるが大半は良好に管理されている。また現在でも毎年田植の時期になると近辺の人々が集まり感謝の意を込めて彼の碑の前で頭を下げる祭事が行なわれているところもいくつか知られている。碑文を集めてみると、多くの場合建碑者は付近の村々の連名であり、内容はそれまでの劣悪な治水上の旧状がその土木工事を遍していかに改良されたかを記述しており、地元からみた当時の土木の事情をかいまみることができるのではないかと思う。
著者
粕谷 大智 竹内 二士夫 山本 一彦 伊藤 幸治 坂井 友実
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.201-206, 1999 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13

We executed an acupuncture therapy to 62 lumbar spinal canal stenosis cases who were diagnosed by CT, MRI photo state and clinical symptom and examined the result.The 36 men and 26 women in this study had a mean age of 67.3 years.An acupuncture was executed by aiming to give an effect to the soft tissues and a blood circulation around the area where the stenosis was recognized then pierced facet joint closely and deeply and gave an electric acupuncture stimulus.14 cases were very good and 17 cases had good results according to the JOA score. No cases worsened.We concluded an acupuncture treatment was effective for treating lumbar spinal canal stenosis.
著者
竹島 雄介 岩崎 由希子 岡村 僚久 藤尾 圭志 山本 一彦
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.12-20, 2017 (Released:2017-05-23)
参考文献数
64
被引用文献数
1 1

細胞の代謝制御の重要性は,癌細胞においてエネルギー産生を解糖系に依存する現象がWarburg効果として報告されたことに始まる.近年,免疫担当細胞における代謝の制御が細胞の分化や機能において鍵となるという知見が蓄積されつつあり,免疫担当細胞が休止状態から活性化状態に入る際には,酸化的リン酸化に依っていたエネルギー産生から,解糖系に依存したエネルギー産生へと大きな代謝状態の変化を要することが明らかとなっている.特にT細胞においては,ナイーブT細胞からエフェクターT細胞への分化過程における代謝制御の研究がより詳細に解明されており,免疫代謝の分野では最も研究が進んだ分野となっているが,B細胞や骨髄球系の細胞においても特徴的な代謝制御が明らかにされつつある.現在,全身性エリテマトーデスを始めとする自己免疫疾患において,免疫担当細胞における代謝変調は慢性的な免疫系の活性化の結果としてばかりでなく,疾患の引き金としても極めて重要であると考えられている.本稿では,全身性エリテマトーデスにおける代謝制御について,T細胞およびB細胞を中心に概説し,病態と如何に関わっているか,更には将来的な治療ターゲットの可能性について考察する.
著者
庄田 宏文 藤尾 圭志 山本 一彦
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.46-50, 2012 (Released:2012-02-28)
参考文献数
15

Immunoglobulin Binding Protein (BiP)は熱ショック蛋白(HSP)70ファミリーに属するタンパク質で,生理的にはストレス応答蛋白として滑面小胞体に発現し,蛋白のfoldingを行うシャペロン蛋白である.BiPに対する自己免疫応答の報告は,関節リウマチ,全身性エリテマトーデスなどでみられ,主に血清抗BiP抗体が上昇するとの報告がある.我々のグループからは,新たにシトルリン化BiPに対する自己抗体が関節リウマチで出現することを報告した.抗シトルリン化蛋白抗体は関節リウマチの発症機序に密接な関与が推定されており,BiPに対する自己免疫応答の重要性が示唆される.また関節リウマチにおいては,BiPを認識するT細胞の報告もある.一方でBiPそのものには制御性活性があることが知られている.マウスモデルにおいてはBiPを認識するT細胞がIL-4, IL-10を産生し関節炎を抑制することや,BiPで刺激された樹状細胞は制御性活性を持つことが知られている.このようにBiPに対する免疫系の応答は多様であり,そのバランスが崩れることで自己免疫寛容が破綻することが,自己免疫疾患発症に繋がりうると考えられている.
著者
藤本 昌紀 堀内 克啓 内田 裕也 杉浦 勉 山本 一彦 川上 正良 杉村 正仁
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 = Journal of Japanese Society of Oral Implantology (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.54-62, 2001-12-31
参考文献数
23
被引用文献数
2

An alveolar bone graft, followed by the insertion of threaded titanium endosseous (Brnemark System) implants, was performed in two patients with cleft lip and palate.<br/> One patient, with bilateral cleft lip and palate, underwent an iliac bone graft after orthodontic treatment. An oronasal fistula was simultaneously closed by bilateral labial flaps and a tongue flap. Brnemark System implants were placed for treatment of congenital missing lateral incisors, 17 months after the grafting. The other patient, with unilateral cleft lip and alveolus, underwent a chin bone graft. Although necrotic bone resulting from exposure of the palatal side of the grafted bone was removed, most of the grafted bone survived. Six months later, occlusal reconstruction using Brnemark System implants was performed. The postoperative course was uneventful in both cases. Moreover, these patients were satisfied with both esthetic and functional results, which improved the patient's QOL.<br/> These results indicate that endosseous implants combined with bone grafting are more reliable than conventional procedures for occlusal reconstruction in patients with alveolar cleft.<br/>