著者
熱田 淳 渡邉 恵介 藤原 亜紀 篠原 こずえ 川口 昌彦 橋爪 圭司
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.529-533, 2016 (Released:2016-11-04)
参考文献数
5

脳脊髄液漏出症の診断において,CT myelography(CTM)の硬膜外造影剤貯留像は精度が高く有用であるが,漏出点を特定することはできない.今回,dynamic myelography(DM)を用いてCTMを行い,漏出点の検出を試みた.脳脊髄液漏出症疑いの4症例に対し,計5回のDMを用いたCTMを行った結果,5回のDMのうち3回では,造影剤がくも膜下腔から硬膜外腔に流出し始める部位を確認することができ,漏出点を特定しえた.他の2回では漏出点は特定できなかったが,漏出点の範囲を限定することが可能であった.脳脊髄液漏出症の漏出点検出にdynamic myelographyが有用である可能性がある.
著者
杉本 浩士 松成 泰典 川西 秀明 萱島 道徳 川口 昌彦 古家 仁
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.531-537, 2014 (Released:2014-09-06)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

日本麻酔科学会による周術期管理チーム養成の提唱等により,病院長の方針のもと,麻酔アシスタントとして麻酔補助業務を担当する臨床工学技士が誕生し,平成26年3月現在,6名が当院の研修プログラムを修了した.その業務内容は,術前準備を含めた麻酔補助・機器管理の大きく2つに分けられ,詳細は多岐にわたる.麻酔科医の業務軽減と医療安全の向上を目的として当制度が発足して現在約4年が経過した.麻酔補助においては業務の拡大と教育体制の充実が今後の課題であり,機器管理においてはますます業務が増える傾向にある.われわれ麻酔アシスタントと当院麻酔科医が共同で業務を行うことにより,医療安全の向上につながる可能性があると考える.
著者
林 浩伸 川口 昌彦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.262-268, 2017-03-15 (Released:2017-04-21)
参考文献数
11

術中視覚機能モニターとして,視覚伝導路からの電位を測定する視覚誘発電位(VEP)がある.VEPとは網膜に視覚刺激を与えたときに大脳視覚領に生ずる反応である.全身麻酔下での視覚刺激は,フラッシュ刺激によって網膜を照射する.近年,全身麻酔下でのVEPが普及するようになった背景として,LEDを用いることで網膜を強くフラッシュ刺激することが可能になり,VEPの抑制効果が少ないプロポフォールを用いることで安定した記録が行えるようになったことがあげられる.さらに,フラッシュ刺激が網膜に確実に到達していることを確認するためにVEP記録と同時に網膜電図の記録を併用することで,全身麻酔下VEPの信頼性が高まった.
著者
川口 昌彦 国沢 卓之 岡本 浩嗣 野村 実
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.684-690, 2019

<p>日本心臓血管麻酔学会が目指すサブスペシャルティは,理念に掲げたとおり,「心臓血管麻酔専門医制度は,麻酔科専門医のサブスペシャルティとして,心臓血管麻酔に関する十分な専門知識と技能を有し,より安全で質の高い心臓血管麻酔の提供と教育的,指導的な役割を果たせる専門医を育成し,国民の健康・福祉の増進に貢献することを目的とする.」である.学会独自の教育と専門医制度を設立・運用してきているが,今後は,日本麻酔科学会の承認を得られた後,日本専門医機構の認定を得られることを目標として,機構の示す要件を一つずつ検討し,必要のあるものは改善を開始している.最終的に患者,メディカルスタッフ,会員の皆様に恩恵をもたらせるよう,活動を進めていく予定である.</p>

1 0 0 0 OA 観察研究

著者
田中 優 川口 昌彦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.676-680, 2016-11-15 (Released:2016-12-09)
参考文献数
11

観察研究には,コホート研究,横断研究,ケースコントロール研究,ケースシリーズ研究,記述研究がある.各々の研究デザインの良いところとそうでないところが存在する.観察研究はバイアスがあり,知っておかないと,論文の内容について誤解を生じる可能性がある.結果に影響を与えるものに偶然誤差,系統誤差,結果-原因,交絡があり各々調整方法がある.こういったことを踏まえて論文を読んでいけば大きな誤解は防げると思われる.
著者
恵川 淳二 井上 聡己 川口 昌彦 瓦口 至孝
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、テトラサイクリン系抗生物質であるミノサイクリンの脳への直接投与が頭部外傷モデルのマウスの運動機能、高次脳機能を改善するかについての研究を行なっている。評価の方法としては、行動実験、組織学的評価、生化学的評価を用いて行う計画としている。現在、動物の倫理的扱いに十分留意してし、実験を行なっている。頭部外傷モデルは、安定した作成が可能となった。現在、inverted gird試験を用いた行動実験を行なっている。Invereted grid 試験の評価方法としては、体重×落下までの時間を計算し、頭部外傷前からの変化率で評価を行なっている。個体による差が非常に大きく、サンプル数が不十分なため、統計学的にはミノサイクリン投与群と生理食塩水投与群で有意な差は見られていないが、ややミノサイクリン投与群で良い結果を示している傾向がある。今後、サンプル数を増やして行く必要がある。組織学的評価についても、手技的には大きな問題を生じず行うことができるようになった。頭部外傷48時間後の外傷部のミクログリアやアストロサイトの活性の評価及びHE染色を用いた欠損体積について検討を行なっているところである。欠損部体積については、ミノサイクリン投与群で小さい傾向にあるが、こちらについてもサンプル数を増やして統計学的検討を行って行く必要がある。生化学的評価は、組織学的評価終了後に検討して行く予定にしている。
著者
上田 順宏 今井 裕一郎 後藤 安宣 青木 久美子 山川 延宏 井上 聡己 山本 一彦 川口 昌彦 桐田 忠昭
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.37-44, 2014-06-15 (Released:2014-07-25)
参考文献数
28

本研究の目的は,術後の消化管運動と栄養状態に対する大建中湯(DKT)の効果について検討することである。2008年3月から2013年5月の間に,進行口腔癌の切除後に生じる欠損部に対して遊離組織移植による即時再建術を施行した40例を対象とした。20例には術翌日からDKT 15g/dを投与した。他の20例はDKTを投与しない対照群とした。消化管機能として腸蠕動音,排ガスおよび排便の確認時期,経腸栄養(EN)の開始時期,術後2週の体重減少量および体重減少率について後向きに検討した。その結果,腸蠕動音(p<0.001),排ガス(p<0.005),ENの開始(p<0.01),排便(p<0.005)はDKT投与群で早期に確認された。また,術後2週の体重変化量(p<0.05),体重変化率(p<0.05)ともDKT投与群で有意に抑えられていた。術前化学放射線療法や手術侵襲は,これらの指標に影響を及ぼさなかった。以上の結果より,DKTは進行口腔癌患者における遊離組織移植による再建術後の消化管機能の改善と体重の維持に有用であることが示唆された。