著者
水越 興治 二川 朝世 山川 弓香
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.119-127, 2013-06-20 (Released:2015-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
5 1

皮膚は最外層に位置する臓器であり,温湿度,日照量等の環境や日焼け等の流行といった体外から身体に影響を及ぼす外的要因や,かゆみ,痛み等の身体内部の個人差に起因する内的要因からの影響を受け,その状態は個人間でさまざまに異なっていると考えられる。したがって,それら外,内的要因を知り適切なスキンケアをすることは,健やかで美しい肌を維持するために重要であると考えられる。そこでわれわれは,外的,内的要因による皮膚状態の違いや変化が存在するかを検討するために,沖縄県から北海道に及ぶ日本全地域の,のべ5893536件の女性の皮膚状態の調査を20年間にわたり行ってきた。その結果,見た目のシミ,肌の色,シワの状態が2000年付近を境に傾向が変化し,この変化は肌色に関する流行の変化 (ガングロブーム,美白ブーム) や,UVの害に対する社会的認識の変化 (母子手帳から「日光浴」の項目の削除) との関連性が考えられた。また,毛穴の目立ちが,日照時間に相関する傾向が示された。皮膚のバリア機能の指標である角層細胞の配列規則性が,すべての季節で,敏感である対象者ほど悪いスコアをとる傾向が示された。また,健常な肌と考えられる対象者のほうが,角層細胞の配列規則性の年間の変動が大きい傾向であることが示された。