著者
兵頭 政光 小林 丈二 山形 和彦 森 敏裕
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.671-677, 2001-11-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

口腔および中咽頭癌切除再建後の嚥下および構音機能に関し、嚥下圧検査および発語明瞭度から検討を行った。嚥下圧は口蓋切除後には軟口蓋圧がわずかに低下したが、義顎を装用することでほぼ正常に回復した。中咽頭側壁切除では軟口蓋から中咽頭の圧が低下した。舌半側切除および亜全摘では、術後早期には正常の嚥下圧が得られる例が多かったが、経時的には術後の皮弁萎縮により嚥下圧が低下した。また、中咽頭と下咽頭での圧の同時発生や嚥下反射に先立つ口腔内の小刻みな舌運動を示す所見も認められたが、経過とともに改善傾向を示した。構音機能では口蓋切除後には発語明瞭度は著しく低下したが、口蓋欠損部を義顎により閉鎖すると改善した。中咽頭側壁切除後には軟口蓋音の障害が認められた。舌半側切除後には構音機能はあまり障害されないのに対し、亜全摘では声門音以外のすべての音の障害が高度であった。
著者
山形 和彦 兵頭 政光 前谷 俊樹 影山 慎一 浅井 真紀
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.27-30, 2003-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7
被引用文献数
2

多発性の甲状軟骨骨折の整復術を他医で受けたにもかかわらず、不完全な整復であったため「高い声が出せない」という音声障害を来した症例に対し、音声障害を解消するために再手術を行った。再手術の内容として、軟骨骨折部の整復を予定していたが、術中所見で確実な整復が困難と判断し、代わりに甲状軟骨形成術IV型を行った。短縮していた声帯長を長くし、たるんだ声帯の緊張度を上昇させることを目的としていたので、甲状軟骨形成術IV型の原理に適合していると考えた。術後の音声機能検査の結果も改善していた。喉頭枠組みの骨折に対しては、整復術のみならず甲状軟骨形成術も考慮することが重要であると考える。