著者
杉谷 巌 吉本 世一 三谷 浩樹 保喜 克文 苦瓜 知彦 川端 一嘉 鎌田 信悦 柳澤 昭夫
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.41-46, 2000-03-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

甲状腺濾胞癌のすべてを術前に濾胞腺腫と鑑別することは不可能であるが, 遠隔転移を生ずる可能性の高い濾胞癌を区別することができれば臨床上の意味は大きい。濾胞癌34例 (1985~1999年, 男11, 女23, 27~76歳) を対象に遠隔転移例の臨床病理学的特徴を検討した。遠隔転移例は11例 (骨7, 肺2, 骨+肺2)で, うち4例が原病死しており, 非遠隔転移23例 (原病死0) より有意に予後不良であった。遠隔転移例では非遠隔転移例と比較して, (1) 術後血中サイログロブリン値が正常化しない (全例)。(2) 割面の肉眼所見で広範浸潤型を呈し (11例中10例), 厚い被膜を持つ症例が多い (11例中8例が1mm以上の厚さの被膜)。(3) 組織学的に脈管侵襲陽性 (全例) で, 低分化成分を持つ症例が多い (11例中10例)。といった特徴があった。これらの特徴を有する症例については, 例え初診時に遠隔転移がなくとも長期の経過観察が重要と考えられた。
著者
杉谷 巌 川端 一嘉 鎌田 信悦 柳澤 昭夫
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.78-84, 2004-04-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

遠隔転移 (M) は甲状腺乳頭癌 (PTC) において最大の予後不良因子であるが, PTCのMには長期間進行しない例も少なくなく, その予後予測は容易でない。当科におけるPTC 604例 (1976~98年, 微小癌は除く) 中, 初回治療時Mを認めたものは32例 (5.3%), 術後経過観察中にMを認めたものは26例 (4.3%) であった。全M症例58例中28例 (48.3%) が原病死していたが, うち5例は局所の原因による死亡であった。一方, 7例は治療によりMが消失していた。5年以上の経過観察でMが進行していない24例とMが急速に進行した24例を比較すると, 前者には若年者, Mが小さいもの, 肺のみに遠隔転移したもの, 原発巣の病理組織像が高分化成分主体のものが有意に多かった。Mに対しては131Iによる内照射治療や切除手術を適宜行うが, 特に進行の遅いことが予測されるM症例では, 局所の制御も重要であると考えられた。
著者
小林 雅夫 兼平 千裕 加藤 孝邦 青柳 裕
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.159-165, 2003-03-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
16

鼻前庭扁平上皮癌5例に小線源治療主体の放射線治療を施行した。鼻前庭に限局した3例には外部照射40Gy後に鼻腔内へ1cm径, 2cm長のアプリケータを挿入し, 18-20Gy/4frの高線量率腔内照射 (1例ではさらにAuグレインによる組織内照射を追加) を行った。鼻唇溝皮膚に浸潤した2例には外部照射50-60Gy後に30-40Gy/3-4日の低線量率組織内照射を施行した。1年2ケ月で他癌死 (肺癌) した1例を除くと全例 (7年8ケ月, 7年2ケ月, 2年6ケ月, 4ケ月) とも無病生存であった。重篤な晩期有害事象は認めなかった。T1-2N0鼻前庭扁平上皮癌に対しては, 小線源治療を主体とした放射線治療で高い局所制御率が得られ, 美容の面でも優れていた。鼻前庭に限局した病変には組織内照射と比べてより侵襲が少なく, 外来で治療可能な高線量率腔内照射が適していると思われた。
著者
矢野原 邦生 高橋 志光 加藤 昭彦
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.117-121, 1991-05-20 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

過去1年間の人間ドック受診者2103名にたいして, 超音波を用いた甲状腺腫瘍スクリーニングを行った。超音波検査にて異常所見を認めたもののうち, 一定の条件を満たすものについて, 穿刺吸引細胞診を行い, 手術適応を決定した。その結果甲状腺癌を14例発見した。ドック全受診者に占める甲状腺癌患者の割合は0.67%である。また全女性受診者に占める割合は1.28%であり, これは過去のどの報告よりも高率である。甲状腺腫瘍を耳鼻咽喉科疾患として内外に認知させるための1つの手段として, われわれ耳鼻科医もこのような甲状腺腫瘍検診に係わっていくことが将来的見地からも必要であろう。
著者
西田 光男 飯塚 忠彦
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.291-296, 1998

Supraomohyoid Neck Dissection は口腔扁平上皮癌症例におき, 高頻度でリンパ節転移が認められるオトガイ下・顎下, および胸鎖乳突筋後縁より前方かつ肩甲舌骨筋より上方に位置する上中深頸部のリンパ節群のみを一塊切除する領域頸部郭清術である。胸鎖乳突筋, 副神経, 内頸静脈は温存する。一般的には選択的 (予防的) に適用されているが, 一部の症例では治療的にも実施されている。本術式は節外浸潤症例を除き, 頸部のリンパ組織が頸筋膜, 血管鞘により筋肉, 血管実質から隔絶されているという解剖により成立し, この fascia をリンパ組織とともに鋭的に切除すれば根治性を失わず, かつ筋肉, 神経, 血管の温存が可能で形態, 機能障害などの後遺症は最小限となる。しかし適応症例は厳選されねばならない。手術手技上, 上内深頸領域の郭清が難しく, 頭板状筋, 肩甲挙筋面から完全に郭清し, その郭清組織は同領域から副神経の下面を通して潜らせ前方へ運ばねばならない。

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出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.47, 1993-01-30 (Released:2010-04-30)
著者
嘉田 真平 林 正彦 岡沢 秀彦
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.191-196, 2003-03-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

頭頸部悪性腫瘍患者への全身18FDG-PET検査の有用性を検討した。当院では2年間に全身FDG-PETを54件45例に施行した。原発巣やリンパ節転移に関して, FDG-PETのみの診断能力とCT・MRI・診察所見のFDG-PET以外の検査を用いた従来の診断能力とを比較し検討した。FDG-PET診断の原発巣に対する感度は90%・特異度は93%であり, FDG-PET以外の診断では感度は95%・特異度は100%であった。リンパ節転移に対するFDG-PET診断の感度は90%・特異度は84%, FDG-PET以外の診断では感度は72%・特異度は80%であった。リンパ節転移に対する診断はFDG-PETが優れていた。しかし, FDG-PETでの診断では, 炎症に集積し偽陽性となることや, 早期の喉頭癌や食道癌などの薄い腫瘍では集積せず偽陰性となる点に注意が必要である。FDG-PETは他の診断と組み合わせることでほとんどの症例で的確な診断ができたが, FDG-PETを用い定期的に経過観察することでさらに正確な診断が期待できる。
著者
草間 幹夫 岸 豊子 星 健太郎 名取 恵子 松本 玲子 生田 稔 亀卦川 昭宗 酒井 英紀 榎本 昭二 倉林 亨
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.631-636, 1997-11-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
19
被引用文献数
3 3

下顎歯肉癌に対する手術は, 従来より区域切除を主体として行われ, 良好な治療成績が得られているが, それを基本としつつ患者のQOLを考慮し辺縁切除の適応の拡大に努めてきたので報告した。下顎骨吸収深度 Grade2 (骨体部, 下顎管上の骨吸収) で, 骨吸収様式が平滑型 (Pressure type) の症例までは下顎辺縁切除が可能であった。腫瘍の軟組織進展範囲別では頬側進展型に原発巣再発の頻度が高く, 区域切除の適応が多かったが, 下顎歯肉癌全体で術前治療後の縮小手術は14.9%に行われた。画像診断特に Dental CTにより, 下顎下縁の保存に関する判断が容易となった。
著者
亀山忠光
雑誌
頭頸部腫瘍
巻号頁・発行日
vol.12, 1985
被引用文献数
2
著者
武宮 三三
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.416-422, 1996-12-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
3

20年間における163例の上皮小体機能亢進症の経験から, 手術における留意事項を述べ, その1例をビデオで供覧した。上皮小体は小さい臓器であるだけでなく, 過剰腺や位置異常に富むから, 術前術中の局在診断が時によっては難しい。過不足のない切除をおこなうために必要な, 無血的な丁寧な手技について論じ, 剥離面の正確さの必要性を強調した。
著者
毛利 光宏 木西 實 天津 睦郎
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.483-488, 2000-11-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
9

1988年から1997年までの10年間に神戸大学医学部耳鼻咽喉科で治療した下咽頭扁平上皮癌新鮮例134例を検討し, 治療成績の現状と当科で行っている治療成績, QOL向上のための工夫について紹介した。134例中根治手術を行ったのは105例 (78%) であり, 残る29例では手術不能あるいは患者の拒否により放射線治療, 化学療法を行っていた。根治手術施行例の5年累積生存率は38.3%, 非施行例は19.3%で, 全体では34%であった。手術例の主な原病死因は遠隔転移, 局所・頸部再発であった。治療成績向上のために, 当科では1988年以来咽後リンパ節の郭清を77例に行い, 13例 (17%) に転移を認めた。N2cに高い転移率を認めたがN0でも10%に認め, 現在は全手術症例に行っている。QOL向上のためには, 喉摘後の音声再建として気管食道瘻あるいは気管食道瘻形成術を行い良好な結果を得ている。
著者
大田 洋二郎 海老原 敏 真島 一彦 中塚 貴志 羽田 達夫 平野 浩一 原口 秀俊 緒方 寿夫
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.67-71, 1994

国立がんセンター中央病院で1962年から1992年までに治療された口唇扁平上皮癌症例, 44例 (一次症例: 30例, 2次症例: 14例) を対象とし治療成績を検討した。<br>性差に関しては, 男性31例, 女性13例, 2.4:1の比率で男性が多かった。年齢は38歳から85歳にわたり, 平均年齢は63.1歳であった。発生部位は上口唇5例, 下口唇34例, そして口角部5例であった。一次症例の他病死を除く5年推定生存率は80%, 2次症例で67%であった。治療後の障害は, 放射線治療では放射線性口唇炎, 手術では進行癌で口唇変形, 口唇閉鎖不全が認められた。
著者
新谷 悟 松浦 秀博 長谷川 泰久
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.180-184, 1996-03-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10
被引用文献数
6 3

舌癌原発巣の深さは転移予知因子の一つであることを明らかにした。外科治療のみを行った70例の, 頸部転移陽性31例の深さの平均値は12.1mm, 陰性39例では6.1mmであった (p<0.05)。また, 遠隔転移発生の有無では20.2mmに対し6.6mmであった (p<0.01)。N0例の転移後発を高率に予知できれば選択的郭清の適応を決めるのに役立つ。70例のT1, 2N0 41例を深さ5mm未満と5mm以上に二分して頸部転移後発率をみると4% (1/26) と60% (9/15) であった (p<0.05)。術前の深さを知るために最近の17例に対し, 超音波診断を試みた。病変部は明瞭に描出され, 腫瘍の深さはmm単位で計測できた。さらに, 超音波エコーによる病巣の深さ (Y) は病理組織標本上の測定値 (X) とよく相関したことから (Y=0.792X), 術前の超音波エコーで, 深さ6ないしは7mm以上のN0症例は, 選択的頸部郭清を行うべきであると考える。