著者
芦田 和毅 永井 弘樹 岡本 正行 宮尾 秀俊 山本 博章
出版者
社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.1817-1824, 2005-09-01
参考文献数
20
被引用文献数
11

本論文では, カラー情景画像に現れる文字列を抽出する手法について提案する. ほとんどのカラー情景画像に現れる単語若しくは文字列は, 同じ色とフォントで印刷されている. そこで本手法では, まずエッジに基づき画像を大まかなブロックに分割する. 次にそれらのブロックをクラスタリング手法によって色の類似している領域に分割し, 各領域中に存在する外接最小方形について縦横比, ピッチなどの特徴を用いてそれらを統合し文字列パターンの候補を得る. 更にこれらの候補に対して幾何学的特徴を求めてSVMにより文字列パターンを識別する. ICDAR 2003 Text Locating Competitionで用いられた251枚のカラー情景画像について実験を行い, 本手法の有効性を確認した.
著者
山本 博章
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究は五感と色素細胞機能の連携を探索することを目的としている。今年度は、聴覚や視覚への影響に加え、臭覚と味覚に関しても解析しようと計画していたが、飼育室の空調のせいか、ケージを置くラックの位置によって、給水瓶の残存水量が大きく異なることに気づいた。室内の微気候を整えようと、加湿器の調整また扇風機による送風を試みたが改善されなかった。そこで空調のダクト工事により、風量を下げ、より均一な温湿度を保とうとしたが、それでも十分改善されなかったため(ケージの場所によって、給水瓶残存水量が数倍異る場合があった)、今回も聴覚に関する解析を優先することにした。このような飼育室の微気候改善に試行錯誤しているうちに、聴覚において興味ある現象に気づいた。脊椎動物特異的な神経冠より発生する色素細胞を欠損すると、白毛色となり、内耳に移動する色素細胞も無くなるため聴覚を失うことが知られている。我々が維持するblack-eyed whiteと呼ばれる変異体で、Mitf (Microphthalmia-associated transcription factor)遺伝子座にアリルMitf^<mi-bw>をホモに持つと、やはり全身白毛色で遺伝的な難聴を示すが、これらの集団中に、高い音に反応する個体がある割合で検出できることに気づいた。当該の系統は一時期絶滅の危機に直面し、それまでの遺伝的背景であるC57BL/6J(コンジェニック系統)から、元々の系統であるC3Hに変更してレスキューした経緯がある。前者の遺伝的背景では詳細な解析結果が残されているが、全て難聴を示すことが報告されている。現在飼育中の変異体は4〜5世代C3Hに掛け合わせ、それからクローズドコロニーとして維持を続けてきた。従って、現時点では、C3Hに由来するある遺伝子(群)が、内耳色素細胞が保障する聴覚に何らかの影響を与えていることを発見したのではないかと期待している。
著者
市川 龍治 山本 博章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.708, pp.41-48, 2002-03-05

本論文では,拡張正則表現に対する文字列照合問題を扱う。すなわち,長さmの拡張正則表現rと長さnのテキストxが与えられたとき,xの中にrと一致する文字列が存在するかどうか判定する問題である。山本の認識アルゴリズムを利用することによってこの問題を簡単にO(mn^2 +kn^3)時間かつO(mn+kn^2)領域で解くことができる。ここでは,このアルゴリズムを非決定性有限オートマトンおよび決定性有限オートマトンを使って実装することにより,その効率さについて実験的に評価する。
著者
山本 博章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.72, pp.59-66, 2005-05-13

拡張正規表現に向けた照合アルゴリズムとして, 与えられた拡張正規表現を正規表現に分割し, 各正規表現をNFAに変換することによって照合を行うオートマトン型のアルゴリズムが提案されている.正規表現からNFAを得るための方法はいくつか提案されてるが, 本論文は, オートマトンに基づいた拡張正規表現照合アルゴリズムをいろいろなNFAに対応可能なように修正し, それぞれのNFAによってアルゴリズムの性能がどうのように変わるかを実験的に評価した.特に, Thompsonオートマトン, Glushkovオートマトン, Followオートマトンについて実際に実装し, その性能を調べた.
著者
山本 博章 宮崎 敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.127, pp.85-92, 2007-06-22

正規表現はコンピュータサイエンスの分野で広く利用されている。本論文では、正規表現に共通集合演算および補集合演算を加えた拡張正規表現(EREと略す)の所属問題および検索問題を扱う。所属問題は、アルファベットΣ上のEREr及び記号列xが与えられたとき、x∈L(r)かどうかを判定する問題である。また、検索問題は、xからy∈L(r)なるすべての部分列yを見つけ出す問題である。ここで、L(r)はL(r)によって表される言語を意味する。そのとき、我々はO(n^2(k_12^H+(k-k_1)&lceil;n/log n&rceil;)時間かつO(n(k_12^H+(k-k_1)&lceil;n/log n&rceil;)領域で所属問題を解くアルゴリズムを与える。さらに、このアルゴリズムを拡張して、同程度の計算量で検索問題を解くことができることも示す。ここで、nはxの長さ、kはrに出現する共通集合演算及び補集合演算(これらを拡張演算子と呼ぶ)の数を表し、その内k_1は、我々が良性と呼ぶある条件を満たす拡張演算子の数である。また、HはH=max{m_j|m_jはrのj番目のモジュールに出現するΣの記号と拡張演算子の数}と定義する。