著者
牟田 秀俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.72, pp.39-44, 2005-05-13
参考文献数
7
被引用文献数
3

計算量理論の応用法の一つにパズルの計算量を測って難しさを推定するのがある.本研究では, ぷよぷよという同じ色のぷよをくっつけて消すというパズルゲームのオフライン版を3-PARITIONからの還元でNP完全問題であることを示す.
著者
松金 輝久 武永 康彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.743, pp.95-103, 2005-03-11
参考文献数
7
被引用文献数
1

計算量に関する研究において、最近ではテトリスのようないわゆる「落ちもの」ゲームの計算量にも興味が集まっている。本研究ではぷよぷよというゲームを取り上げる。一般化ぷよぷよの連鎖数判定問題のNP完全性を3-PARTITIONからの帰着によって示す。
著者
伊藤 大雄 藤井 愼二 上原 秀幸 横山 光雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.194, pp.17-24, 1999-07-21
参考文献数
17
被引用文献数
4

詰め将棋の盤面をn×nにし、王将以外の駒を0(n)個の用意した、一般化詰め将棋問題の計算複雑さについて論じる。詰め将棋には見た目や詰め方などに面白みを出すため、駒の初期配置に工夫をしたり、正解の詰め手順に美しい趣向が隠されている様な、趣向詰めというものがある。本稿では、飛車と角を使用しない「小駒図式」、初期配置に成り駒が無い「成り駒無し」、王将が初期配置で居た場所に戻って詰む「還元玉」、王将が中央のマスで詰む「都詰め」の4つの趣向を同時に満たすものに限定しても一般化詰め将棋問題がNP困難であることを証明する。
著者
横田 雅也 築地 立家 北川 智博 諸橋 玄武 岩田 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.402, pp.41-48, 2000-10-20

縦横nマスに将棋の盤面を拡張し, その盤面上で詰将棋が与えられる.この詰将棋が詰むかどうかを決定する問題を, 一般化詰将棋問題と呼ぶ.本稿では一般化詰将棋問題が指数時間完全であることを証明する.一般化詰将棋問題の指数時間困難さの証明はG_3を利用する.G_3はすでに指数時間完全であることが知られている問題である(Provably difficult combinatorial games, SIAM J.Comput.8, 1979)
著者
柳澤 弘揮 宮崎 修一 岩間 一雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.537, pp.1-8, 2008-03-03

安定結婚問題は,GaleとShapleyによって提案されたマッチングの問題である.任意の例題について,解が存在し,それを見つける多項式時間が存在することが知られている.しかし,このアルゴリズムによって得られるマッチングは「男性最適」,つまり,男性にとっては好ましいが女性にとっては好ましくないマッチングである(逆に,男女の役割を入れ替えれば,女性最適なマッチングになる).GusfieldとIrvingによって提案された男女平等安定マッチング問題は,男女両者にとって「公平な」安定マッチングを求める,つまり,男性側の不満足度の和が女性側の不満足度の和になるべく近づくような安定マッチングを求める問題である.この問題は,強NP困難であることが知られている.本稿では,男女平等安定マッチング問題に対して,ほぼ最適な解を求める多項式時間アルゴリズムを与える.さらに,評価指標を一つ増やして,男女平等(sex-equality)の観点でほぼ最適なもののうち,全体の公平さ(egalitarian)が最小の安定マッチングを求める問題を考える.我々は,この問題がNP困難であることを示し,この問題に対して近似度が2より良い多項式時間アルゴリズムを構築した.
著者
阿久津 達也 深川 大路 高須 淳宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.63, pp.17-24, 2006-05-17

木の類似度の尺度として、木の編集距離が20年以上前に提案され、それ以来、多くの研究が行われてきた。順序木に対する編集距離計算アルゴリズムとしては(入力の木のサイズをO(n)として)O(n^3 logn)のものが現時点で最速であるが、文字列の編集距離がO(n^2)時間で計算できることが知られている。そこで本研究では、木を文字列に変換して文字列の編集距離を計算することにより、木の編集距離を近似する方法を提案する。そして、入力される木の次数が限定されており、かつ、編集操作には単位コストがかかるという場合には、木の編集距離が変換後の文字列の編集距離の1/6以上かつ、O(n^<3/4>)以下となることを示す。
著者
永持 仁 岩田 健吾 石井 利昌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.31, pp.31-38, 2003-04-18

本研究では,グラフG= (V, E)と2つの素な節点集合(資源節点集合)T_1,T_2&subne;V(|T_1|,|T_2| : 偶数)が与えられたとき,次の(i),(ii)を満たす節点集合の2分割{V_1,V_2}を見つける問題を考える。(i) |V_1∩T_j|=|V_2∩T_j|=|T_j|/2,j=1, 2, (ii) V_1とV_2が誘導するGのグラフはともに連結。この資源集合の均等問題はNP-困難であるが,入力グラフGが3点連結グラフならば,必ず(i),(iii)を満たすVの分割が存在し,そのような分割がO(|V|^2log|V|)時間,O(|V|+|E|)領域で求められることが知られている。このアルゴリズムでは,いったん入力グラフGを,凸埋め込みと呼ばれる配置として平面上に埋め込み,その埋め込みに対し,資源節点集合を均等分割するハムサンドイッチカット定理を適用することで,Vの分割を求めている。しかし,計算機上で実装する場合には,グラフの節点に対し実際に平面上の点座標を計算,格納することに伴う計算誤差のために,節点数の多い問題に対しては計算が破綻する恐れがある。本研究では,まず,凸埋め込みの方法について,従来法よりも簡単に節点の配置場所を計算する方法を提案し,次に,各節点の座標を実際に計算する代わりに,各節点間の相対位置関係に基づいたデータ保持方法を提案する。新しいアルゴリズムはO (|V|^2)時間,O (|V|^2)領域でグラフの分割を求める。実行中に各セルの保持する数値は大きさ|V|以下の整数だけでよく,実装における問題点を解決することができる。
著者
月本 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.82, pp.29-36, 2003-05-16

本論文ではSATの多項式時間アルゴリズムを提示する。基本的な考えは、以下の通りである。CNFを線形不等式の集合で表現し、値を{O,1}から[0,1]に拡張することで、多面体を得るが、この多面体には充足可能性と関係のない領域が存在する。その領域をある種の線形不等式で切除してゆく。充足不能のときには空になリ、充足可能のときには空にならない。本アルゴリズムは多項式時間アルゴリズムである。よって、P=NPが証明されたことになる。
著者
宇野 毅明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.31, pp.55-62, 2003-04-18
被引用文献数
5

グラフG=(V, E)の頂点集合Sの任意の2頂点間に枝があるとき、Sをクリークとよぶ。また、2部グラフG=(V_1∪V_2, E)の頂点集合Sの任意の頂点v_1 &isins; V_1とv_2 &isins; V_2の間に枝があるとき、Sを2部クリークとよぶ。本稿では,巨大で疎なグラフ極大クリークと極大2部クリークを列挙する,実用的に高速なアルゴリズムを提案する。グラフの最大次数を△とすると,本稿の改良により,極大クリーク1つあたりの計算時間がO(|V||E|)からO(△^4)に,極大2部クリークはO(|V||E|)からO(△^3)に改善された。計算機実験により,ある程度ランダムな入力に対しては,1つあたりO (△^2)時間程度しかかからないことを示し、さらに現実のデータに対しても高速であることを示す。
著者
湊 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.72, pp.31-38, 2005-05-13
被引用文献数
6

二分決定グラフ(BDD)は, 大規模な論理関数データを効率よく表現する技法として広く利用されている.BDDの中でも, ゼロサプレス型BDD(ZBDD)と呼ばれるデータ構造は, 大規模な組合せ集合を非明示的に列挙し効率よく演算処理するのに適しており, 情報科学における様々な問題に適用できる.我々は, 数式により組合せ集合の演算を記述し, これをZBDDを用いて計算するプログラム「VSOP」を開発した.VSOPは単なる組合せ集合演算だけでなく, 集合の各要素に整数値(係数あるいは重み)を定義し, 加減乗除や大小比較等の算術演算を含む数式を処理できることを特長とする.本稿では, VSOPの内部データ構造や演算方法, データ表示形式について述べ, いくつかの応用例を示す.
著者
中野 浩嗣 オラリウ ステファン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.481, pp.25-32, 2000-11-27

本論文では、シングルホップの1つのチャネルをもつ無線ネットワーク上にn台のステーションが存在する場合に、リーダ選択を行う省電力確率プロトコルを提案する.提案するプロトコルは、全てのステーションが台数nを知っている場合に、任意のf(f&ge;1)に対して確率1-1/fで、O(log f)時間でリーダ選択を行い、また、どのステーションも高々O(log log f+log f/log n)回の送受信を行う.どのステーションもnを知らない場合、提案するプロトコルは、平均O(log n)時間でリーダ選択を行い、また、確率1-1/fで、O(min((log n)^2+(log f)^2, f^<3/5>olg n))時間動作し、どのステーションも高々O(log n+log f)回の送受信を行う.
著者
牛島 瑞恵 藤原 暁宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.339, pp.25-32, 2004-10-08

近年の高性能計算に関する研究において,非シリコン型計算の1つとしてDNA分子を用いて計算を行うDNA計算が注目を集めている.本研究では,DNAを用いて表現された2進数の集合に対してソートを行うアルゴリズムを2つ提案する.これらのアルゴリズムに対する入力は, O(mn)種類の一本鎖DNAで表現されているn個のmビットの2進数の集合である.本研究では,まず最初に2つのソートアルゴリズムの基本演算として,2つの数を比較し昇順に並べる比較交換操作を定義し,この比較交換操作を効率よく行うアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムの計算量はO(n)個の対のmビットの2進数に対してO(1)ステップで実行可能である.次に前述の比較交換操作を用いて奇偶転換ソートに基づくソートアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムは,O(mn^2)種類のDNAを用いることによりO(n)ステップでソートを実行可能である.最後に,前述の比較交換操作を用いてシェアソートに基づくソートアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムは,O(√n log n)種類のDNAを用いることにより O(mn√n log n)ステップでソートを実行可能である.
著者
安達 由洋 小林 卓 中島 祐一 土田 賢省 夜久 竹夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.98, no.442, pp.49-56, 1998-12-04

グラフ文法はパターン認識に関する研究を起源とし、その後VLSIレイアウト, ソフトウェア工学, その他様々な分野で幅広く応用されている。このような研究において, 多くのグラフ文法が提案されているが, 利用されているグラフ文法の多くは文脈自由グラフ文法であり, 文脈依存グラフ文法を利用しているものはあまり多くない.本研究では, Rozenberg[1]によるedNCEグラフ文法を拡張してedNCE文脈依存グラフ文法を定義する.さらに, edNCE文脈依存グラフ文法の部分集合となるdNCE文脈依存グラフを定義する.次に, この文脈依存グラフ文法の応用したブロック線図文法について述べる.最後に, この文脈依存グラフ文法に基づいた構文解析アルゴリズムについて説明する.
著者
渡邊 辰也 瀧本 英二 丸岡 章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.707, pp.73-79, 2002-03-04
被引用文献数
4

ランダムプロジェクションは,高次元空間における任意の2点間のユークリッド距離が,高い確率で,射影先の低次元空間においてもほとんど変わらないという性質を持つ.ここで,ランダムプロジェクションは,各成分がそれぞれ独立にある確率分布に従うランダムn×k行列として定義される.本稿では,{-1,+1}上の一様分布U(-1,+1)を成分に持つランダム行列のユークリッド距離の保存性に対する評価を与える.この評価は,従来のものに比べて弱いものの,行列の各列については各成分が独立である必要はなく,4限定独立であれば成立するものである.一方,各列が3限定独立な分布に従う成分を持つランダム行列は,一般に距離の保存性を持たないことも示す.また,ランダムプロジェクションを半空間概念の学習問題に適用し,サポートベクトルマシンに匹敵する性能を持つ単純なアルゴリズムを与える.
著者
トム アルトマン 五十嵐 善英 小保方 幸次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.93, no.123, pp.9-18, 1993-06-25

グラフG=(V,E)が,V={0,…,N-1},E={{u,v}|v-u modulo Nが2の冪乗}であるときこのグラフを頂点数Nのハイパーリング(N-HR)という。本稿では,HRの構成法,特性,埋め込み,スパナについて論じる。頂点数Nのハイパーキューブや,a×b格子,頂点数Nの完全二分木を,N-HRに部分グラフとして埋め込む.また,HRのスパナの構成方法を3タイプ紹介する.これらのタイプのスパナの伸び率は,HRの頂点数をNとすると高々[log_2N],任意の1【less than or equal】k【less than or equal】[log_2N]に対し2k-1,任意の2【less than or equal】k【less than or equal】[log_2N]-1に対し2k-1である.また,これらのタイプのスパナを構成する辺の数は,N-1,高々N[log_2N), k],高々N(log_2N-k)/2k+Nkである.最後に,HRのγシンクロナイザに関する伸び率と辺の数の表を示す.
著者
齋藤 忠志 大谷 純 上土井 陽子 吉田 典可
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.724, pp.25-32, 2000-03-22
被引用文献数
2

オンラインに逐次発生するジョブをネットワーク上のどの資源に割り当てると効率良い処理が行えるかを考える負荷分散問題であるオンラインスケジューリング問題について考察する。Aspnesらにより8-competitive ratioをもつオンラインアルゴリズムSLOWFITが提案されている。理論的にはSLOWFITは効率の良い手法であるが、実験的には貪欲法GREEDYが良質な解を得ている。本稿ではSLOWFITに導入されているステージの概念とダブリング・トリックに注目して、新しい2つのオンラインスケジューリングアルゴリズムを提案する。シミュレーション実験により、提案手法の有効性を検証する。
著者
谷口 博人 井上 美智子 増澤 利光 藤原 秀雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.724, pp.9-16, 2000-03-22
参考文献数
6

移動端末だけからなる分散移動システムであるアドホックネットワーク上でのクラスタ構成法を考察する.クラスタ構成法とは, ネットワーク上の全ノードをクラスタヘッドとそれと直接通信可能なノードであるクラスタメンバからなるクラスタに分割することである.分散システムの問題として, 端末の移動や, トポロジーの変化に伴うオーバヘッドを考慮しなければならない.本稿では, アドホックネットワーク上にクラスタを構成するクラスタ構成法および, 移動端末の移動などによりトポロジーが変化した場合に対応するクラスタ再構成法を提案する.提案手法は, クラスタ構成法, クラスタ再構成法ともに, 従来手法に比べ, クラスタ数が少ない, またクラスタヘッドの変更数が少ないことをシミュレーション実験で示す.
著者
戸田 誠之助
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.708, pp.15-24, 2002-03-05
被引用文献数
1

本稿では,グラフ同型性判定問題の計算量に関する研究動向を概説する.まず,この判定問題がNP困難ではないと予想させる二つの基本的な根拠を説明し,次に,グラフの様々なクラスに関する同型性判定問題の計算量について解説する.なお,本稿は文献[戸田,グラフ同型性判定問題の計算量,電子情報通信学科論文誌D-I,2002年2月掲載予定]から抜粋したものである.より詳しい内容については,この文献かまたは文献[戸田,グラフ同型性判定問題,日本大学文理学部叢書,冨山房,2001年11月]を参照されたい.
著者
鈴木 拡 湊 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.54, pp.1-7, 2009-05-19
参考文献数
11
被引用文献数
1

二分決定グラフ(BDD)は,論理関数のグラフ表現であり,大規模な論理関数データでも比較的コンパクトなデータ構造として表現できる.さらに,BDDの特殊な型であるゼロサプレス型BDD(ZDD)は組合せ集合データの表現・処理に適しており,情報科学における様々な問題に応用できる.その一つの例が制約充足問題である.制約充足問題を解くために多くのアルゴリズムが考案されているが,その一方で,解集合の解析や新たな制約を加えて別の制約充足問題を解くということは,また別の問題として残っている.そこで,BDDまたはZDDで解全体を同時に表現することで,それらを効率よく行う方法を述べる.本稿では,古くから親しまれてきたペントミノパズルを取り上げ,これを制約充足問題として定式化した上でBDDとZDDに基づいた解法を示す.
著者
酒井 秀晃 中村 雅子 五十嵐 善英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.388, pp.41-48, 1999-10-25
参考文献数
7

公開鍵暗号に対するSemantic Securityの新しい定義を提案する.Semantic Securityとは,平文に関するどのような部分情報も部分解読困難であることをいう.従来のSemantic Securityの定義はChosen-Plaintext Attackに対しての定義であり,Chosen-Ciphertext Attackに対しては定義されていなかった.そこでChosen-Plaintext Attackに対してもChosen-Ciphertext Attackに対しても有効な定義を提案する.また,公開鍵暗号に対してSemantic SecurityとIndistinguishabilityが等価であることを示す.新しいSemantic Securityの定義とGoldwasserとMicaliによるSemantic Securityの定義の関係を示す.Chosen-Plaintext Attackに対して,ある公開鍵暗号が新しい定義の意味でSemantic Securityを満たしているならばGoldwasserとMicaliによる定義の意味でもSemantic Securityを満たしているが,その逆は成り立たない.