著者
山本 康生 玉木 宏幸 池田 政身 広谷 由佳里 荒田 次郎
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1102-1105, 1988

新しく開発された経口用セファロスポリン剤であるCS-807を皮膚科学的に検討した。<BR>1) 皮膚感染病巣より分離した<I>S. aureus</I> 51株に対するR-3746 (CS-807の活性体R-3763のNa塩), セファレキシン (以下CEX), セファトリジン (以下CFT) のMICを108/ml接種で測定した。R-3746は3.13μg/ml以上に分布し, 100μg/ml以上に26株であった。CEXは1.56μg/ml以上に分布し, 100μg/ml以上に24株であった。CFTは0.78μg/mlから50μg/mlまでに分布していた。<BR>2) ラットにR-374620mg/kgを陰茎背静脈より静注30分後の血清内, 皮膚内濃度は各16.4±0.7μg/ml, 9.0±0.6μg/g (湿重量)(n=5) で, 皮膚移行率 (血清内濃度に対する皮膚内濃度比) は平均0.55であった。<BR>3) 当科を訪れた皮膚感染症21例 (1日200mg17例, 400mg3例, 200mgから400mgに増量1例) にCS-807を使用した。著効5, 有効8, やや有効7, 無効1例で有効以上61.9%であった。1日20mg使用例のみでみると著効5, 有効6, やや有効6例で有効以上64.7%であった。副作用として1例に軟便がみられた。13例で行った使用前後の臨床検査値において, 本剤との関連が疑われた異常変動は, 好酸球数の増加 (2例), S-K, S. GPT, LDHの上昇 (各1例) であった。