著者
神崎 寛子 秋山 尚範 金本 昭紀子 阿部 能子 山田 琢 荒田 次郎 梅村 茂夫 池田 政身
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.507, 1989 (Released:2014-08-11)

我々は1987年1月より1988年10月の間に分離された204株の黄色ブドウ球菌のフシジン酸(FA)に対するMICを測定し,また高知医大で1987年9月から1988年9月に分離された123株の黄色ブ菌のFAに対するMICと比較した.1987年1月から1988年3月の分離菌では5/123(4.1%)に耐性菌(MIC≧12.5μg/ml)が認められたのみであったが,1988年4月より10月の分離菌では42/81(51.9%)の耐性菌が認められた.高度FA耐性株は全てメチシリン耐性菌であった.高知医大ではMIC1.56~3.13μg/mlの株が少数認められたのみであった.高知医大の結果で耐性株が認められていないことよりFA耐性菌の出現には現在のところ地域差があるものと思われた.FAは現在外用剤としてのみ使用されているが,耐性出現の早い薬剤として知られており,このような薬剤を外用剤として使用することは耐性菌を増加させる可能性を強く示唆した.
著者
國井 乙彦 齋藤 厚 熊澤 淨一 荒田 次郎 松田 静治 大石 正夫 馬場 駿吉
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.655-664, 1995

新しく開発された経口ペネム系抗生物質TMA-230を各科領域の細菌感染症を対象として, 100mg1日3回投与を中心に, 有効性・安全性を検討した。呼吸器感染症では, 100mg1日2回から200mg1日3回投与を行った (1日投与量200~600mg)。急性気管支炎では全例有効で, 細菌性肺炎では90%に近い有効率が得られたが, 慢性気道感染症での有効率は56.7%であった。また, 細菌学的効果では主要起炎菌のうち<I>Staphylococoamus</I>や<I>Streptococcus pneumoniae</I>では80%以上の菌消失率であったが, <I>Haemopmus influenzae</I>に対しては9.1%(1/11) と低く, 不十分な成績であった。尿路感染症および皮膚科, 産婦人科, 眼科, 耳鼻咽喉科領域感染症では100mg1日3回投与で満足できる臨床効果および細菌学的効果が得られた。自他覚的副作用発現率は13.2%(28/212) で, 特に下痢・軟便, 悪心・嘔吐など消化器症状の発現頻度が9.9%(21/212) と高かった。臨床検査値異常の発現頻度は8.0%(17/212) で, GOT, GPT, Al-P上昇の肝機能異常が主なもので, すべて一過性の変動であった。
著者
荒田 次郎
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.226-229, 2000-04-01 (Released:2010-09-02)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2
著者
山本 康生 玉木 宏幸 池田 政身 広谷 由佳里 荒田 次郎
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1102-1105, 1988

新しく開発された経口用セファロスポリン剤であるCS-807を皮膚科学的に検討した。<BR>1) 皮膚感染病巣より分離した<I>S. aureus</I> 51株に対するR-3746 (CS-807の活性体R-3763のNa塩), セファレキシン (以下CEX), セファトリジン (以下CFT) のMICを108/ml接種で測定した。R-3746は3.13μg/ml以上に分布し, 100μg/ml以上に26株であった。CEXは1.56μg/ml以上に分布し, 100μg/ml以上に24株であった。CFTは0.78μg/mlから50μg/mlまでに分布していた。<BR>2) ラットにR-374620mg/kgを陰茎背静脈より静注30分後の血清内, 皮膚内濃度は各16.4±0.7μg/ml, 9.0±0.6μg/g (湿重量)(n=5) で, 皮膚移行率 (血清内濃度に対する皮膚内濃度比) は平均0.55であった。<BR>3) 当科を訪れた皮膚感染症21例 (1日200mg17例, 400mg3例, 200mgから400mgに増量1例) にCS-807を使用した。著効5, 有効8, やや有効7, 無効1例で有効以上61.9%であった。1日20mg使用例のみでみると著効5, 有効6, やや有効6例で有効以上64.7%であった。副作用として1例に軟便がみられた。13例で行った使用前後の臨床検査値において, 本剤との関連が疑われた異常変動は, 好酸球数の増加 (2例), S-K, S. GPT, LDHの上昇 (各1例) であった。