著者
山本 憲二郎 沼田 宗純 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.561-564, 2014-11-01 (Released:2015-01-15)
参考文献数
2

世界の約6割もの人々が組積造構造物を住宅として使用している.組積造構造物の問題点は,地震に対する脆弱性が非常に高い点にあり,これまでに発生した地震による組積造構造物の崩壊で,世界中で多くの人的被害が出ている.組積造構造物の耐震性能を向上させるために,多くの技術的方法が開発されてきた.しかし,それらの方法は,実際の組積造構造物に適用する際,多くの時間と労力を必要とし,更に,多くの方法は新築の組積造構造物に対してのみ適用できる技術である.これらの問題は,技術を普及する上での妨げとなっている.そこで本研究では,既存・新築の組積造構造物の両方に適用でき,更にこれまでの方法と比較して,圧倒的に施工が簡単な耐震補強方法を提案する.この方法に使用する材料は,「SG-2000」というガラス繊維を混ぜ込むことにより強化された特殊繊維塗料である.本稿では,この材料の組積造構造物の耐震補強への適用可能性と効率的な塗布方法に関する実験的な検証結果を紹介する.