著者
山本 憲幸
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、免疫チェックポイント阻害剤(抗CTLA-4,抗PD-1など)の出現により固形癌に対する治療も変わりつつある。これらと放射線治療の併用により遠隔病変にも治療効果が期待できることがわかってきた。しかし、温熱療法とこれらの併用による基礎的な研究報告はほとんどない。申請者らは、温熱治療の結果、免役機構が賦活化し治療をしていない腫瘍まで効果がある「アブスコパル効果(バイスタンダー効果)」と呼ばれる現象がありその効果を確認してきた。本研究は、口腔癌に対する半導体レーザーによる温熱療法と免疫チェックポイント阻害剤(ICI)との併用療法の効果及びその作用機序の解明することである。
著者
光藤 健司 藤内 祝 不破 信和 古谷 和久 西口 浩明 福井 敬文 山本 憲幸 杉村 友隆 斎藤 昌樹 上田 実
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部癌/ 日本頭頸部癌学会 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.93-97, 2006-03-25
被引用文献数
13 11

口腔癌の治療において浅側頭動脈からの超選択的動注法は放射線療法との連日の同時併用が可能となった。この方法を口腔癌の治療体系に組み入れ,治療効果について検討してきた。超選択的動注法を用いた連日同時放射線化学療法をStage III,IVの口腔癌症例に対して術前治療として行い,摘出した原発巣について病理検索したところ約90%という高いCR率を認めた。そこでわれわれはStage III,IV口腔癌に対して原発巣の手術が回避される可能性について検討した。治療スケジュールとして,動注化学療法(DOC 60mg/m<SUP>2</SUP>,CDDP 100mg/m<SUP>2</SUP>)および放射線治療〔40Gy(2Gy/日)〕を4週間の連日同時併用療法を行い,臨床的にCRと診断した15症例には放射線,超選択的動注化学療法を続行した。その結果,13例(87%)については再発を認めず,2例(13%)は局所の再発を認めた。15例中12例(80%)が生存,3例(20%)が死亡(2例が遠隔転移,1例が原病死)した。この治療法は臓器温存が可能となり,機能障害も少なく,患者のQOLの向上に寄与する治療法と考えられる。