著者
山本 直佳 川端 博子 小柴 朋子 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.606-613, 2016

<p><tt>本研究は,がん治療の副作用である脱毛時に利用される医療用ウィッグの温熱特性を明らかにすることを目的とする.サーマルマネキンによる</tt>6 <tt>つのショートヘアスタイルのウィッグの熱抵抗を計測した.あわせて剃髪した</tt>10 <tt>名の男性被験者による夏季を想定した環境下でウィッグを着用し,快適感とウィッグ内温度と湿度を計測した.結果は以下の通りである.</tt> (1) <tt>顕熱抵抗値は</tt>0.06<tt>(℃・</tt>m²/W<tt>)前後で,ウィッグ間の差は少なかった.潜熱抵抗値は</tt>0.07<tt>(</tt>kPa<tt>・</tt>m²/W<tt>)前後で,人工毛の割合が多くなると高くなる傾向を示した. </tt>(2) <tt>発汗を想定した人工気候室での静止時の着用実験では,</tt>10 <tt>人中</tt>9 <tt>人が頭部に暑さを感じ,</tt>8 <tt>人が蒸れを感じていた.この間のウィッグ内温度は</tt>36.5<tt>℃,湿度は</tt>80<tt>%</tt>RH <tt>であった.</tt></p>