著者
竹 瀟瀟 田村 照子 小柴 朋子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.64-73, 2017-01-25 (Released:2017-01-27)
参考文献数
8

振動抑制に配慮したブラの設計を目的とし,ハイスピードカメラを用いて,歩行,走行,ジャンプ時の乳房振動を観察した.異なる乳房の大きさの若年女性8 名を被験者として,皮膚粘弾性と乳房の圧縮性を測定,乳房振動との関係を検討した.主たる結果は以下のとおりである.(1)乳房x,z 軸方向の振動軌跡は運動の種類によって特異的であり,乳房が大きいほど上下の振幅が大きい.(2)乳房の上下振動は,いずれの運動においても基体の動きとは時間的なズレを持って振動し,乳房振動には慣性の影響が大である.(3)いずれの運動も平均振幅,速度,加速度は,乳房外側2 点は内側の2 点より大きく,運動中の乳房外側の振動を抑制することが重要である.(4)乳房の大きさと,歩行・走行時の乳房上下・左右方向およびジャンプ時の上下方向の平均振幅,速度との間には,有意な高い正の相関が認められた.歩行・走行時の振幅は皮膚の回復率R7 との間に正の,走行時の振幅は圧縮応力F10mm と負の相関を示し,柔らかい乳房ほど大きく揺れることが示された.
著者
竹 瀟瀟 田村 照子 小柴 朋子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.64-73, 2017

<p><tt>振動抑制に配慮したブラの設計を目的とし,ハイスピードカメラを用いて,歩行,走行,ジャンプ時の乳房振動を観察した.異なる乳房の大きさの若年女性8 名を被験者として,皮膚粘弾性と乳房の圧縮性を測定,乳房振動との関係を検討した.主たる結果は以下のとおりである.(1)乳房x,z 軸方向の振動軌跡は運動の種類によって特異的であり,乳房が大きいほど上下の振幅が大きい.(2)乳房の上下振動は,いずれの運動においても基体の動きとは時間的なズレを持って振動し,乳房振動には慣性の影響が大である.(3)いずれの運動も平均振幅,速度,加速度は,乳房外側2 点は内側の2 点より大きく,運動中の乳房外側の振動を抑制することが重要である.(4)乳房の大きさと,歩行・走行時の乳房上下・左右方向およびジャンプ時の上下方向の平均振幅,速度との間には,有意な高い正の相関が認められた.歩行・走行時の振幅は皮膚の回復率R7 との間に正の,走行時の振幅は圧縮応力F10mm と負の相関を示し,柔らかい乳房ほど大きく揺れることが示され</tt><tt>た. </tt></p>
著者
小柴 朋子 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.119-124, 1995-01-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
6
被引用文献数
3

人体皮膚の濡れ感覚感受性の支配要因を明らかにするため, 2種の方法で身体各部に濡れ刺激を負荷し, 濡れ感受性を調査した.I.面積の異なるろ紙 (12.52cm, 7.52cm, 52cm, 2.52cm) を温水で濡らして身体26部位の皮膚に貼付したときの濡れ感を測定した.被験者は成人女子5名.II.環境温25・34℃において身体6部位に対し水温・水量・荷重の異なる濡れた綿メリヤス布を接触子として静止・滑動させたときの濡れ感を測定.被験者は成人女子10名.その結果, 温度・熱流量変化が皮膚濡れ感の主たる要因であり, 荷重・水量等は温熱的要因ほどには皮膚濡れ感覚に影響しなかった.濡れ感受性には部位差が見られ, 皮膚濡れ感受性の内的支配要因として温・冷点や触点の知覚神経の分布密度が重要であることが示唆された.
著者
大塚 美智子 森 由紀 持丸 正明 渡邊 敬子 小山 京子 石垣 理子 雙田 珠己 田中 早苗 中村 邦子 土肥 麻佐子 原田 妙子 小柴 朋子 滝澤 愛 布施谷 節子 鳴海 多恵子 高部 啓子 河内 真紀子 増田 智恵 川端 博子 薩本 弥生 猪又 美栄子 川上 梅 渡部 旬子 倉 みゆき 丸田 直美 十一 玲子 伊藤 海織 角田 千枝 森下 あおい 上西 朋子 武本 歩未
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2014~2016年に関東、関西、中部、中国、九州地区で3200名、約50項目の日本人成人男女の人体計測を行い、マルチン計測による3200名と三次元計測による2000名のデータベースを構築した。これにより、アパレル市場の活性化と国際化が期待でき、JIS改訂の根拠データが得られた。人体計測データの分析の結果、現代日本人は20年前に比べ身長が高く、四肢が長いことが明らかになった。また、若年男子のヒップの減少と中高年成人女子におけるBMIの減少が顕著であった。
著者
竹 瀟瀟 田村 照子 小柴 朋子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.420-430, 2017-05-25 (Released:2017-05-25)
参考文献数
8

振動抑制に配慮したブラの設計を目的として,乳房サイズの異なる被験者6 名の乳房表面展開パターンに基づき,同一素材・構造で,アンダーバスト詰め寸法の異なる3 種の実験用ブラを製作した.これを用いて,ブラ非着用時およびブラ着用時の,歩行,走行,ジャンプ運動中の乳房振動を,ハイスピードカメラで撮影し三次元動作解析を行った.結果は以下のとおりである.(1)アンダーバストの衣服圧は詰め寸法が大きくなるほど大となり側面部で高い.(2)ジャンプ時では上下方向の振幅と加速度においてブラ着用による有意な振動抑制効果があったが,詰め寸法間には有意差がなかった.各運動の上下方向の振幅・加速度ともに,乳房サイズの大きいL 群は中程度のM 群より有意に高かった.(3)ブラ着用時,走行・ジャンプ時上下方向の加速度は乳房サイズと正の相関を示すが,左右方向の加速度は身体運動と有意な相関を示した.(4)いずれの運動においても乳房とブラはほぼ同様な軌跡で振動し,ブラと乳房のズレは僅少であり詰め寸法の影響も小さかった.
著者
小柴 朋子 新藤 麻奈美 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.42, 2009 (Released:2009-09-02)

【目的】服装において肌の露出が、着用者あるいはその着用者を見る人の心理に及ぼす影響は大きい。肌の露出に対する女子大学生の意識について調査し、肌の露出に対する注目度と露出部位あるいは露出程度がストレス程度に及ぼす影響について評価した。 【方法】1)肌の露出に対するアンケート調査:18~22才の女子大学生320名を対象とし、人前で肌を露出できる限界、露出への関心度などについて調査した。2)視線の観察:被験者は21~22才の女子大学生5名。中等温環境下の室内で、腕・脚・胸・腹の露出程度の異なる着衣条件で、5分間被験者は鏡に映る自分を凝視。鏡の横で観察者が椅座。アイマークレコーダ((株)nac)で視点を測定した。3)心拍変動評価:21~22才の健康な女子3名を対象とし、2)と同様な測定条件・着衣条件下で心電図を記録後、BIMUTAS2(キッセイコムテック(株))でR-R間隔変動を周波数解析した。4)肌露出時のストレス測定:唾液中αアミラーゼ活性をストレス指標とし、各着衣実験終了直後に唾液を採取、α―AMY(ヤマハ発動機(株))を用いて測定した。 【結果】アンケートの結果、肌を露出できる限界は胸のふくらみが始まる程度、背中は肩甲骨上端、腕全体、大腿部中間、腹部は露出できないという回答が多いことが示された。視点の滞留時間については、露出者は、胸と腹の露出部分への注視は短く、腕と脚の露出部分へは注視時間が長かった。第3者の視線も同様な結果を示した。心拍変動解析の結果では、露出したくない部位を露出した場合、副交感神経活動が小となる傾向が見られ、脚部では露出の影響が少なく、腹部では大きかった。唾液アミラーゼ活性からは、腹の露出が胸や腕よりもストレスが大きいことが推測された。
著者
小柴 朋子 田村 照子 丸田 直美 丸田 直美
出版者
文化女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

災害時における避難所に必要とされる備蓄衣料の検討を目的として、大地震後の実態調査報告書および被災地における聞き取り調査から被災時の衣料供給における問題点を抽出し、救援用衣料について検討した。必要衣服の保温力を検討するため、サーマルマネキンを用いて現在市販されている成人男性用衣服類約150点、靴および靴下6点、幼児用衣服23点の顕熱抵抗を測定した。それらをもとに日本各地の季節別必要Clo組み合わせ服マップを作成、汎用型衣料をデザインして保温力を評価し、備蓄用基準パッケージを提案した。
著者
小柴 朋子 田村 照子 永井 伸夫 綿貫 茂喜 森 由紀
雑誌
服飾文化共同研究最終報告
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.108-115, 2011-03-30

Fashion brings pleasure to people and provokes strong emotions in them. It is difficult to reveal any physiological effects that fashion may have on the human body. These days, methods which objectively measure the effects of stimulation on the physiological activity of the human body have been developed. In this study we evaluate how fashion affects the psychological and physiological activity of the human body and attempt to measure the effects that wearing clothes or looking at fashionable clothes have on this activity. For this, we conducted four different types of research. First, we invited experts in the psychological and physiological research fields to give lectures. It became clear through their lectures that psychological surveys related to fashion and self- conception, and multiple physiological indices of stress tests were important. Second, we reviewed psychological research about fashion in journals and reports over the past 30 years and lectures given by researchers. Although much research had been done, we found that the types of people used for the research were limited, and questionnaires were not uniform. It became clear that it is important to clarify the physiological variability that fashion has on depressed subjects and to learn more about the psychological effects of fashion on various types of people. We also learned that using multiple physiological indicators for stress experiments is important, and that psychological research focusing on the impressions that fashion forms and the relationship between self-concept and fashion are needed.Third, we extracted questions about fashion consciousness, pleasantness and stress from literature over the last 30 years and considered their psychological effects. From these, a questionnaire was compiled. Finally, we conducted several psychological tests and wearing tests using physiological markers to clarify how fashion affects the human body. We found that when people wear their favorite clothes, stress caused by anxiety decreases, the parasympathetic nervous system is activated, and salivary sIgA concentration increases. Other experiments showed that salivary alpha amylase activity increases due to stress caused by wearing thongs, panniers or other minimal coverings. It was suggested that people’s level of emotion can be determined by measuring psychological and physiological markers
著者
内田 幸子 小柴 朋子 田村 照子 森本 美智子 田辺 文憲
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.44-51, 2014

<p>臨床現場で働く看護師にとってナースウェアは,看護業務を行っていく上で不可欠であり,超高齢社会に突入した我が国において,高齢者のケアに多くの時間を要する看護師の衣環境の工夫は急務である.本研究の目的は現状のナースウェアについて調査し,問題点を抽出して今後の改善課題を明確にすることである.アンケート調査は東京都,山梨県で実施,対象者は554名である.ナースウェア選択時に重視する項目は「動きやすさ」「素材」「デザイン」が上位で,回答者の45%が現行のナースウェアに「動きにくさ」を感じていた.ナースウェアの型としてはパンツスーツ型が,開きではファスナー開きが好まれていた.ナースウェアの色は「白」が最も好まれ,次いで「ピンク」であった.洗濯は大多数が病院契約のクリーニング業者で行っていた.ナースウェア選択基準の特性について因子分析を行った結果,耐洗濯性,素材,付加機能,デザイン性,動きやすさを重要視していると解釈することができた. </p>
著者
山本 直佳 川端 博子 小柴 朋子 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.606-613, 2016

<p><tt>本研究は,がん治療の副作用である脱毛時に利用される医療用ウィッグの温熱特性を明らかにすることを目的とする.サーマルマネキンによる</tt>6 <tt>つのショートヘアスタイルのウィッグの熱抵抗を計測した.あわせて剃髪した</tt>10 <tt>名の男性被験者による夏季を想定した環境下でウィッグを着用し,快適感とウィッグ内温度と湿度を計測した.結果は以下の通りである.</tt> (1) <tt>顕熱抵抗値は</tt>0.06<tt>(℃・</tt>m²/W<tt>)前後で,ウィッグ間の差は少なかった.潜熱抵抗値は</tt>0.07<tt>(</tt>kPa<tt>・</tt>m²/W<tt>)前後で,人工毛の割合が多くなると高くなる傾向を示した. </tt>(2) <tt>発汗を想定した人工気候室での静止時の着用実験では,</tt>10 <tt>人中</tt>9 <tt>人が頭部に暑さを感じ,</tt>8 <tt>人が蒸れを感じていた.この間のウィッグ内温度は</tt>36.5<tt>℃,湿度は</tt>80<tt>%</tt>RH <tt>であった.</tt></p>
著者
神谷 法子 小柴 朋子 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>0A-0 </b><b> 寝衣が睡眠に及ぼす影響</b><b> </b><b>-寒冷環境下における睡眠―</b><b></b><b>○神谷<sup> </sup>法子<sup>1</sup>,小柴 朋子<sup>1</sup>,田村 照子<sup>1</sup></b><b></b>(<sup>1</sup>文化学園大)&nbsp;<b>目的</b> 寒冷環境下における寝衣の違いが睡眠の質へ及ぼす影響を明らかにし、より適切な寝衣について検討を行う。<b>方法</b> (1) 10~20才代男女450名を対象に、就寝時の寝具、着衣に関するアンケートを実施。(2) 終夜18℃55%一定に制御した人工気候室にて、半袖・半ズボン、下着のみ、スウェットの3種の着衣条件下で、午前0時より7時間睡眠中の、体動、布団内気候・衣服内気候、心拍、足指(親指) 皮膚温、睡眠満足度:OSA睡眠調査票を測定した。<b>結果</b> (1)アンケート結果から、冬は厚着をして寝る人が多く、52%がスウェット、パジャマ43%(フリース19%、襟なし14%、襟付10%)冬用ネグリジェ5%で、それ以外も長袖41%と長ズボン83%の着用者が多かった。(2)睡眠実験の結果、皮膚温は個人差があるものの、着衣条件による差はみられなかった。布団内気候、衣服内気候は共に下着のみ、半袖・半ズボンが厚着のスウェットよりも温度が高い傾向で、布団内は着衣に関わらず暖かさが保たれることが明らかとなった。スウェットの場合、腕まくりをしたり足を外に出すなど体動が多く、また夢みが多く、深い睡眠がとれていなかった。半袖・半ズボンでの睡眠は入眠までの時間が短く、睡眠時間が長く、目覚めが良い傾向を示し、3条件の中で最も良好であった。
著者
田村 照子 小柴 朋子
出版者
文化女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

湿潤感は着衣の快適性研究において極めて重要である。本研究の目的は着衣による湿潤感の感知構造を探り、湿潤感の中枢・自律神経系への影響を探ることにある。主たる結果は以下のようである。1)全身の湿潤感を左右する重要な要因としては、湿度そのものよりも湿度によって影響を受ける皮膚蒸散量並びに人体-環境間の体熱平衡から求められる蒸発放熱量であることが明らかになった。2)カプセル又はポリエチレンフィルムを用いた閉塞性の局所湿潤負荷装置による実験の結果、人体の局所湿潤感を左右する要因は、皮膚からの水分蒸発に伴う皮膚温変化と皮膚水分に対する触感量の複合であることが示された。3)衣服内湿度の生理影響を調査するために、異なるサイズの孔を穿ったポリエチレンフィルムを用いて実験衣服を製作、その物性値及び熱・蒸発熱抵抗をKES法並びに発汗サーマルマネキンを用いて評価した。穿孔の有無、穿孔サイズにより衣服内湿度および皮膚濡れ状態に差を生じたので、これを以下の実験に供した。4)心電図R-R間隔のパワースペクトル分析により自律神経の活動レベルを測定した結果、衣服内の湿度が高いほど副交感神経活動の指標HF/(HF+LF)が低下し、交感神経活動の指標LF/HFは上昇した。5)国際10-20法による13部位の脳電図並びに脳波CNVを測定した結果、衣服内湿度が上昇するにつれて脳波のα波含有率、β波含有率ともに少なく、CNVでは振幅の抑制が認められた。6)衣服内湿度の内分泌反応への影響を調べた結果、衣服内湿度が高いほど唾液中のストレスホルモンといわれるコルチゾール、分泌型IgAともに増加し、尿中アドレナリン分泌量が低下する結果となった。以上の結果は、すべて衣服内の湿度上昇が心理的不快感のみならず、自律神経活動、内分泌反応、中枢神経活動のいずれにも負の負荷を与えることが生理学的に示唆された。本研究成果の一部は平成12年9th国際環境工学会(ドイツ)において発表した。