著者
澤村 良二 櫻井 映子 山本 美枝子 立川 真理子 長谷川 明
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.267-273, 1982-10-30 (Released:2008-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

In the reaction of hypochlorite with amino acids, chloramine is formed at the first stage, and then decarboxylation and oxidation occur. Thus, either corresponding aldehyde and ammonia or corresponding nitrile is formed from amino acids. In the present studies, the products in the reaction mixture of glycine with hypochlorite at neutral condition are determined quantitatively. When the molar ratio of hypochlorite to glycine was less than 1, the residual chlorine and glycine were stable in the reaction mixture ; thus no ammonia and no aldehyde were formed. At the molar ratio ranging from 1 to 3, cyanide and cyanogen chloride were produced. Maximum formation of cyanide was observed at the ratio of about 2, but its yield was only 20% of glycine. When hypochlorite reacted on glycine at the molar ratio of 3, cyanogen chloride was produced in a quantitative yield. Cyanogen chloride was degraded by subsequent addition of excess hypochlorite. From these results, it is concluded that the nitrile formation is a main reaction of glycine with hypochlorite.
著者
山本 美枝子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.233-242, 1992-08-20
被引用文献数
1

『婦人之友』戦後誌の肉料理記事から焼肉料理のみを取り出して調査資料とし,焼肉の調理素材としての利用状況,料理の種類と調理法,調味法などから焼肉料理としての年代的た変化を捉え,さらに執筆者別に焼肉の利用度,食事目的別に肉種別の利用度と料理の内容について比較分析し,家庭料理としての焼肉調理の特色を考察した。要約すると次のようである。1.焼肉の利用度は,塊肉料理の通年出現頻度としては肉料理総数に対して約2割であり,肉種別では特に豚焼肉の利用度が高く焼肉総数の半数を占め,肉種別の最多例数を示す年代は牛焼肉では60年代,豚焼肉は40年代後半,丸鶏では30年代の後半であった。年代別の利用度は食肉の供給状況・消費傾向との関連が認められた。2.焼肉の調理形態は部位焼肉,中抜き丸鶏・七面鳥などの基本形態のほかに,特殊形態として背開き鶏,詰め巻・袋状詰め肉,鶏ガランティンなどの多様な形態がみられ,45年以降に多かった。3.調理法のうち焼肉で頻度の高い調理法は,1位ロースト,2位ゆで煮,3位煮込みの順であるが,肉種別では,牛肉はゆで煮,豚肉は煮込み,丸鶏では天火焼ローストが1位を占める料理であった。4.ゆで煮料理やロースト類にみる調味法の変化は,50年以後に顕著に認められ,醤油や複合調味料,香味材料だとが併用され,用い方には和風感覚が活かされ,より高度な味を求める嗜好の変化が,調味に多様性をもたらしている。5.執筆者別による焼肉の利用は他の婦人雑誌と異なって,プロ,セミプロなどによる料理よりも一般主婦による料理が多く,6割を占めていた。そしてそれは50年代に多くみられた。6.一般主婦の料理は多様であり,日常食と特別食の料理とに分けられ,ほぼ同じ程度に用いられていたが,牛焼肉の場合に日常食がやや多かった。7.一般主婦の焼肉料理はロースト,ゆで煮,煮込み,銀ロースト,の順に利用され,主にローストは特別食,他は日常食の利用形態であった。