著者
山本 達之 高橋 哲也 山本 直之 神田 啓史 伊村 智 工藤 栄 田邊 優貴子
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

南極上空に南半球の春先に発生するオゾンホールの影響で,地上への紫外線照射量が増加したための生態系への影響を,動物の眼の組織に注目して, FT-IRやラマン散乱スペクトルなどの分光学的手法によって調べた。その結果,牛眼の角膜のコラーゲン分子が,紫外線によって断片化していることが明らかになった。また,牛眼の水晶体のクリスタリンが,紫外線照射によって黄変し,トリプトファン残基だけが特異的に破壊されていることが明らかになった。
著者
山本 達之 松田 みゆき
出版者
島根大学
雑誌
島根大学生涯学習教育研究センター研究紀要 (ISSN:1347264X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-14, 2009-03

A new Japanese reading reader written in Japanese, named MATSUERIA, was developed by a newly formed Japanese teaching volunteer group. The reader was written in easy Japanese to introduce the culture of Matsue mainly to settled foreigners. It was composed of a number of chapters each of them has an original index label, which visually indicates the recognizability of the topic and the Japanese level of the chapter. The processes of making up the reader and its application to the class room gave important learning opportunities to the each member of the volunteer writers and editors. Such learning experiences may give a trial model which helps the effort to build up a distinctive multicultural society in Matsue region.
著者
山本 達之 山本 直之 安藤 正浩 秋吉 英雄 伊村 智 工藤 栄
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

砕氷艦しらせが,H24,25年度の2か年連続して接岸に失敗したために,南極昭和基地周辺でのリアルタイム分光分析の実施を断念せざるを得なかった。このため,夏隊期間中の研究計画のうち,比較的遂行が容易な研究計画は実施されたが,本研究計画遂行の前提となるヘリコプターが,物資輸送に専念することとなったためである。そこで,生体固体の採取を断念して,すでに確保されていた死亡個体解剖学的研究を中心に計画を変更し,アデリーペンギン眼のガングリオン細胞分布の様子と種間差に関する基礎的データを得ることができた。
著者
山本 達之 高橋 哲也 神田 啓史 伊村 智 神田 啓史 伊村 智
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

研究成果の概要:南極上空に発生するオゾンホールにより増加したB領域の紫外線が,動物眼の角膜や水晶体に及ぼす影響を,分子分光学的手法により研究した。牛角膜に紫外線を照射すると,照射時間に応じて,角膜コラーゲンのアミドII赤外バンドの強度が,アミドI赤外バンドと比較して強度を減少させることが,FT-IR測定によって明らかになった。これは,コラーゲンの主成分であるプロリン残基が紫外線によって損傷を受けた結果と解釈された。また,ビタミンを添加した牛眼試料では,上記の強度減少が抑制されることも確かめられた。更に,南極で紫外線曝露した牛眼の水晶体の近い赤外ラマン散乱測定の結果,水晶体のトリプトファン残基由来のラマンシグナルが,他のアミノ酸残基と比較して著しく減少していることが明らかになった。主にシステイン残基が酸化されて重合することが原因で生じる老化による白内障とは,明らかに異なる機構で紫外線による白内障が進行していることを示していた。一方,南極昭和基地周辺で実施した,野生アデリーペンギンの眼の目視による調査では,眼に異常を来たしている個体を発見することは出来なった。ただし,ペンギン眼の分光学的な調査を実施しているわけではないので,分子レベルでの異常が眼に発生しているかどうかは未だに不明である。また,南極昭和基地周辺の紫外線強度の季節変動を連続的にモニターする目的で,昭和基地の環境科学棟に設置した分光装置の記録を日本に持ち帰って検討した。その結果,太陽光高度が等しい春と秋の紫外線強度が大きく異なり,春の強度が明らかに大きいことや,夏と比較してもB領域紫外線に限ってみると春の強度の方が大きいことも明らかになった。このように,本研究によって紫外線が眼に引き起こす白内障などの異常を分光学的手法によってある程度解明することが出来た。オゾンホールによる紫外線強度の増大による影響を今後も継続して調査することが望ましい。