- 著者
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山本 遼平
奈良間 千之
福井 幸太郎
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- 日本地理学会発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- pp.100275, 2016 (Released:2016-04-08)
北アルプスの北部に位置する立山連峰は日本で唯一の氷河が存在する地域であるが,氷河の年間質量収支や形態,環境条件などは明らかにされておらず,例えば北アルプスの局所的に氷河が維持されている要因なども不明である.そこで本研究では,立山連峰における氷河の年間質量収支および,局所的に氷河と越年性雪渓が発達する環境条件を明らかにすることを目的として,現地調査や解析をおこなった.以下に研究方法と結果を示す. 1),立山三山に存在する御前沢氷河に対し,融雪期末期の氷河上および氷河周辺の位置情報を高精度GNSS測量により取得した.また,冠雪の2日前の2015年10月9日に北アルプス北部で小型セスナ機からの空撮を実施した.現地調査により得たGNSS測量データと空撮画像からSfMで氷河表面の25cm解像度のDEMを作成した.作成したDEMから算出した融雪期末期の御前沢氷河の平均表面高度は2637.7m,末端高度は2502.0mであり,面積は0.112km2であった.また,作成したDEMの精度検証のために現地のキネマティックGNSS測量データと比較をした結果,氷河全体の平均鉛直誤差が0.55mであった. 2),衛星画像と国土地理院の解像度10mDEMを用いて,北アルプス全域において主稜線から一定の距離にある点を流出点とする集水域を作成し,雪の涵養・消耗に関連する地形的要素を集水域ごとに比較した.解析の結果,北アルプスに現存する氷河はその周辺の谷地形よりも涵養に関わる要素の値が大きい結果が得られた.